
NEWS
中国の室内ゲレンデが“世界最大”をさらに更新。「HUAFA ICE & SNOW WORLD」が深センに9月誕生
2025.09.12
中国・深センに建設されていた「HUAFA ICE & SNOW WORLD」が、2025年9月29日(月)に営業を開始する。ゲレンデ面積は100,000㎡に及び、これまで最大とされていた上海の「SHANGHAI L+SNOW INDOOR SKIING THEME RESORT」を約10,000㎡上回る規模だ。
最長滑走距離は441mでFIS(国際スキー・スノーボード連盟)公認。パークやスノープレイエリアに加え、ホテルや商業施設、レストランも併設される。館内は通年で−6℃に保たれ、温暖な亜熱帯気候の深センにおいて雪上体験を可能にする。また、ドイツの国際デザイン賞「GERMAN DESIGN AWARD 2025」を受賞し、太陽光発電や水循環システムなど環境配慮も特徴だ。
深センは香港から高速鉄道で20分という好立地にあり、人口1,500万人を超える大都市圏に誕生するこの巨大施設は、中国におけるウィンタースポーツの普及をさらに後押しするだろう。
ただし、“世界最大”の称号は長く続かない。上海近郊の太倉で進行中の「ALPS RESORT」が2029年に第2期を完成させれば、延べ19万㎡、最長滑走距離650mに達し、規模でもコース長でも世界一となる見込みだ。
現在、中国では現在66の室内ゲレンデが稼働しており、その数は世界最多。北京五輪を経て広がったウィンタースポーツ人気を背景に、スノーボードやスキーを手軽に体験できる場として需要は拡大している。アルプス圏諸国にはひとつもなく、北米でも1施設のみという現状を考えれば、中国がいかに独自の道を歩んでいるかがわかる。
日本にもかつて、千葉・船橋に「ららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)」が存在した。ゲレンデ面積は41,500㎡とHUAFA ICE & SNOW WORLDの半分以下だが、最長滑走距離はむしろ長い480mを誇った。四半世紀以上も前に建設されたことを考えると、そのスケール感には改めて驚かされる。しかし、2002年に閉鎖に追い込まれてしまった。
山岳地形やパウダースノーを強く求める欧米諸国のスノーボーダーやスキーヤーからすると、人工の空間でのターンは対照的に映るかもしれない。だが、日本ではザウスでスノーボードやスキーを始めた人も少なくなかった。裾野を広げる装置としての役割を考えれば、こうした動きもまたウィンタースポーツの未来に欠かせない一面といえるだろう。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)