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スノーリゾートは“大自然の中”という現実。クマによる車両被害が多発したマンモスマウンテンに学ぶ
2025.08.05
スノーリゾートにいると、整備されたコースやリフト、ホテルなどの存在が、“自分が大自然の中にいる”という事実を忘れさせてしまう。しかし、米カリフォルニア州マンモスマウンテンで現在起きている出来事が、現実を突きつける。
ここ数週間、マンモスマウンテンの駐車場で車両の被害が相次いでいる。破壊された窓、こじ開けられたドア、引き裂かれたトランク。犯人は、空腹のクマたちだ。マンモスマウンテンによると、これらの車は夜間に駐車場に放置されていたもので、車内には食べ物の包装紙やクーラーボックス、さらにはリップクリームのような香りのある小物まで残されていた。クマの嗅覚は人間の約2,100倍とも言われており、それらをエサの匂いとして察知してしまうのだという。
これは、決してアメリカだけの話ではない。日本でも、近年はクマの出没が各地で報告されており、ときに人的被害にまで至っている。近年、春先のバックカントリーはもちろん、夏山や町中でも、クマとの距離が確実に縮まってきた。僕たちスノーボーダーは山で遊ぶ人間として、そういう時代を生きているのだ。
チェアリフトのある山は安全地帯ではない。その土地に生きる野生動物たちの暮らしの中に、人間が一時的に滞在しているという意識を持つことが大切だ。その意識が事故を防ぐだけでなく、自然に対する敬意を取り戻すための第一歩になる。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)