BACKSIDE (バックサイド)

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「大好きな雪山は自分たちで守る」──POWチケットから始まる、冬のフィールドを次世代につなぐアクション

2025.07.18

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「いつまで雪の上で遊べるだろう?」「子供たちが大人になったとき、果たして滑れるのか?」

スノーボードを愛する僕たちにとって切実な問題に対して、ひとつの答えを提示する仕組みが動き出している。一般社団法人・Protect Our Winters Japan(POW JAPAN)が導入した「POWチケット」だ。リフト券に300〜1,000円の寄付を上乗せすることで、スノーリゾートのサステナブル化を直接支援できる新しい選択肢である。
2024-25シーズン、全国7カ所のゲレンデでPOWチケットが販売され、1,196人がこの選択をした。寄付総額は80万円以上。その結果、CO2削減効果は年間140t超となり、杉1万本分の吸収量に相当する。

たとえば新潟の舞子スノーリゾートでは、ゴンドラ電力使用量の100%を、湯沢中里スノーリゾートはスキーセンターの電力使用量の50%相当を実質再エネ化。同・ニノックススノーパークでもナイター照明電力使用量の100%が再エネに置き換わった。
長野・白馬八方尾根は森林整備を進め、エイブル白馬五竜では生ゴミ処理機の導入を準備中。新潟・キューピットバレイでは、雪を保存して夏の冷房に活用する「雪室」の伝統を守る活動も続けられている。詳細については、POW JAPANの公式ページをご覧いただきたい。
POWチケット購入者のフリースキーヤー・川口徹は、リフトで滑る以上、自然に負荷はかかるのだからその分、自分のできる範囲で返していきたい、という趣旨のコメントを残している。滑り手が、自分たちの遊び場とどう向き合うか。ただそれだけだ。
2023年12月にローンチした「サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)」には、すでに全国45カ所のスノーリゾートが加盟している。ゼロカーボンやサステナビリティに取り組む、“グリーン”なゲレンデを実現することを目指す。

すぐに世界は変わらないかもしれない。それでも、僕たち一人ひとりの選択が、次の雪を守る力になる。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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