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AIがライディングを評価する時代に? 「X GAMES」CEOがAIジャッジ会社をローンチ

2025.06.27

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2025年1月、米コロラド州アスペンで行われた「X GAMES」において、AIジャッジの試験導入が実施され、その延長線上に、次なるフェーズが見えてきた。X GAMESのCEOであるジェレミー・ブルーム氏が、AI技術によってスポーツ判定をサポートする新会社「Owl AI」の設立を発表したのだ。
Google共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏との共同プロジェクトとして関わったとされるAIジャッジ「The Owl」は、スーパーパイプ競技において人間のジャッジと並走。最終的な判定はあくまで人間によって下されたが、Owlのスコアは実際の表彰台と一致し、「印象的な結果を出した」とX GAMESの公式アカウントからポストされている。
ただし、Owlは人間よりもスコアを高めにつける傾向があったとされており、AIの精度にはまだ改良の余地があることもうかがえる。にもかかわらず、周囲からの関心は非常に高いようで、今回の法人化と1,100万ドル(約16億円)の資金調達へと至った。
CEOにはGoogle CloudでAI部門を率いたジョシュ・グウィザー氏が就任。ブルーム氏は会長として携わる。「AIの力を使って、スポーツのジャッジ、体験、理解を近代化し、高めることが使命だった」と語るブルーム氏は、「正確性」「公平性」「観戦体験の向上」といった観点から、AIが今後の競技文化に新たな可能性をもたらすと信じている。
いっぽうで、「X GAMESのジャッジはアスリートと同じくらい重要な存在だ」「カルチャーを未来につなぐのは、人間の感性だ」など、こうした動きに対して懐疑的な声があるのも事実。X GAMES側も「人間のジャッジを排除するものではなく、AIはあくまで補助的な役割」と公式に表明している。
カルチャーを担う人間の目と、データに裏打ちされたAIの判断。その共存は可能なのか。スノーボードという競技が“魅せる”表現であるからこそ、ジャッジの在り方にはこれからも議論の余地がある。だからこそ今、この流れを見逃すわけにはいかない。

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