BACKSIDE (バックサイド)

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世界最大の室内ゲレンデ建設が加速。中国・太倉アルプスリゾート、フェーズ2に突入

2025.06.13

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昨年、弊ウェブマガジンでも取り上げた世界最大の室内ゲレンデ建設計画が、いよいよ本格的に動き出した。中国・江蘇省太倉市に位置する「太倉アルプスリゾート」は、人口2,600万人超を誇る大都市・上海からわずか1時間の距離にあり、2023年11月にオープンしたフェーズ1ではすでに、100万人以上の来場者を記録している。
そして今年6月6日、その第2フェーズの建設が正式に着工された。総投資額は50億元(約1,000億円)。完成は2029年を予定しており、完成時には延べ床面積30万㎡という、世界的にも類を見ないスケールの複合施設となる計画だ。最大の目玉は、全長650m・高低差100mの世界最長となる屋内スロープ。世界最長を誇るドイツの「ALPINE CENTER BOTTROP」を上回り、記録を塗り替える見込みだ。
この施設の特徴は、単なる室内ゲレンデの域を超えている点にある。高級ホテル、テーマ型ホテル、ウォーターパーク、温泉、巨大水族館、さらには地上型遊園地まで併設予定。まさに“雪”をテーマにした都市型バカンスのすべてが集約されている。
中国政府は2023年に発表した観光政策のなかで、「氷雪経済の発展」や「冬季スポーツおよび観光産業の成長」を重要課題として掲げている。北京五輪を契機とした冬のスポーツ人気を一過性のブームで終わらせず、持続的な経済機会へと転換する──その一端を、このプロジェクトが担っているのは間違いない。
とりわけ興味深いのは、このリゾートが雪を知らない層にとっての“初めての雪体験”の場となり得る点である。雪国出身でなくとも、スノースポーツに気軽に触れられる環境を都市部に構えることは、かつて日本でも一度は試みられたが、長らく実現していないモデルだ。ウィンタースポーツの間口を広げるという意味で、再考の余地はあるのかもしれない。
世界最長の屋内スロープを擁し、四季を問わずスノーボードができる太倉アルプスリゾート。気候変動や雪不足が現実味を増すなかで、「どこで」「どう滑るか」の選択肢は、これからも多様化していく。そのひとつの未来形として、注視すべきプロジェクトであることは間違いない。

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