BACKSIDE (バックサイド)

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氷河の大規模崩壊によりスイス南部の村が埋没。地球温暖化の影響か

2025.05.30

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2025年5月28日、スイス・ヴァレー州の小さな村、ブラッテンの集落が、バーチ氷河の一部崩壊により、雪と氷と岩の奔流によって飲み込まれた。報道によれば、数軒の家屋が破壊され、ひとりが行方不明となっている。リヒタースケール(マグニチュードの一種)で3.1の地震が観測されるほどの規模だったという。
現地メディアなどの情報によると、5月19日の時点で地質学者による警告を受け、住民は避難を開始していた。それでもなお、自然の猛威を完全に防ぐことはできなかった。記事下に埋め込んでいる衝撃的な映像は、ABC Newsから配信されている。
今般の事象が地球温暖化と直接的に結びついているのかどうかは、専門家の間でもまだ断定されていない。とはいえ、温暖化が氷河や永久凍土に支えられていた岩壁を不安定化させ、崩落のリスクを高めていることは、スイス科学アカデミーも指摘している。
チューリッヒ工科大学の氷河学者、ダニエル・ファリノッティ氏は同大学のウェブサイトで、次のように語っている。
「温室効果ガスの排出削減を急がれなければ、スイスの氷河は2100年までにすべて失われてしまうかもしれない」
氷河が消えるということは、単に景観や観光資源を失うという話にとどまらない。そこには、サマーゲレンデの存続や山岳地帯の安全性、地域の暮らしそのものがかかっている。スイス国内でも、かつて9ヵ所あった夏季営業の氷河リゾートのうち、現在残っているのはツェルマットとサースフェーのわずか2ヵ所のみだという。
遠い異国の災害かもしれない。けれど、地球全体の気温上昇という構造のなかでは、日本も決して無関係ではない。たとえば、雪解けが早まることによるバックカントリーのリスク。たとえば、スノーリゾートの営業日数減少。そして何より、“雪のある日常”そのものが、少しずつ脅かされている。
スノーボーダーである以上、雪がなければライフスタイルが成り立たない。だからこそ、こうしたニュースを他人事として見過ごすわけにはいかないはずだ。滑ることに熱中するだけでなく、そのフィールドがどう変化しているのかにも、目を向けていきたい。

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