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五輪ビッグエア2連覇中の女王 アンナ・ガッサーがミラノ・コルティナ五輪後に引退を表明
2025.03.26
スイス・エンガディンで開催されているFIS(国際スキー・スノーボード連盟)世界選手権の開催中に、平昌、北京五輪と2大会連続でビッグエアの金メダルを獲得しているオーストリアのアンナ・ガッサーはOlympics.comの取材に対して、ミラノ・コルティナ五輪を最後に現役を引退する意向であることを発表。33歳の女王が大きな決断を下した。
Olympics.comの取材に対してアンナは、次のように答えている。
「次のオリンピックが私の自宅からとても近いエリアで開催されるということも、モチベーションのひとつです。私はオーストリア南部に住んでいるので、イタリアとの国境までわずか30分の距離なのです。ミラノ・コルティナ五輪が私にとって最後の大会になると思うので、そこで自身のキャリアについて祝うことは、競技生活の完璧な締めくくりになるでしょう。だから、自分のスタイルと創造性をトリックに少しずつ取り入れて、自分がスノーボーダーであることを誇りに思いたいのです。以前は結果ばかりにこだわり、上達することやもっとも難しい技を練習することに集中していました。今は、自分のライディングにスタイルを加え、スノーボードでやっていることに誇りを持てるようにしています」
すべてのワールドカップ(以下、W杯)を見ている筆者としては、アンナの滑りが年々カッコよくなっていると強く感じていた。15歳まで体操選手だった彼女は2013年にワールカップデビューを果たし、同年に女性スノーボーダーとして初のダブルコーク900に成功。翌年2014年、22歳のときにソチ五輪スロープスタイルでオリンピックデビューを果たし、予選は1位通過するも結果は10位だった。2018年の平昌五輪からビッグエアが正式種目として追加されると、体操がバックグラウンドにある彼女にとってうってつけの競技となる。先述のとおり、現在2連覇中だ。
その勝負強さとは相反するように、当時の彼女のライディングスタイルにカッコよさをあまり感じてこなかった。しかし、近年のアンナはその部分に強くこだわっているということだ。アクロバティックではなくスタイリッシュなスノーボーダーとして、競技人生のラストを飾ろうとしている。ジャンプでのBSダブルコーク1080で多くのライダーがウェドルグラブをするところ、アンナはメロングラブで唯一無二のスタイルを放つ。ジビングでのスムースさやカッコよさも際立ってきた。
技術力よりも表現力にとことんこだわり、33歳で迎えた今シーズン。「X GAMES」ビッグエア、自国開催となったW杯ビッグエアでともに優勝を飾った。オリンピックのビッグエア3連覇も十分に可能性がある。
男子ハーフパイプのショーン・ホワイト、女子スロープスタイルのジェイミー・アンダーソン(ともにアメリカ)も3連覇はかなわなかった。アンナはスノーボーダーとして初のオリンピック3大会連続金メダリストに輝き、有終の美を飾ることができるのか。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photo: Sam Strauss / Red Bull Content Pool