BACKSIDE (バックサイド)

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佐藤亜耶が日本人初の大舞台で攻めの滑りを魅せた。地球最強スノーボーダー決定戦「NATURAL SELECTION TOUR」本戦

2025.03.18

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“地球最強スノーボーダー決定戦”と呼ぶにふさわしい「NATURAL SELECTION TOUR(以下、NST)」の本戦が、カナダ・ブリティッシュコロンビア州レベルストークで行われた。新潟・妙高にて、予選に位置づけられているステージ1「DUELS」で勝利を収めた佐藤亜耶が、日本人として初となるNST本戦へ出場。まずは、その初日となるステージ2に男子16名、女子8名の選りすぐられた世界トップライダーたちが一堂に会する。そのうちの半数、ステージ3へとコマを進める男子8名、女子4名を決するため戦いの火蓋が切られた。
 
ステージ3はNSTでもおなじみのトーナメント方式になるわけだが、このステージ2では3ラウンド行われ、各ラウンドの上位ライダーからステージ3への進出者が決まっていくという新しいルール。女子の場合はラウンド1で8名中2名が抜け、残り6名でラウンド2が行われる。ラウンド2ではトップのライダーだけが抜け、最終のラウンド3に残された5名からステージ3へ進出できる残り1名が決まる。
 
自然地形を活かして数多のヒットポイントを造成した、レベルストークのモンタナボウルが舞台。亜耶はラウンド1から果敢に攻めた。ファーストヒットのFS360テールではミスするも、テールボーンさせたインディやメソッドをクリーンに決めたのだが、その後にディープパウダーに足もとをすくわれてしまう。メイクはできなかったものの、長く急峻な連続するピローラインにアタックするなど、セクション間のパウダーライディングのスキルの高さやグラブのスタイリッシュさも含め、亜耶のライディンスタイルが世界中に発信された瞬間だった。
 
NSTは、スロープスタイルやハーフパイプのように公式練習はない。だからこそ、この1本目のランはライダーのスキルや経験値、対応力などが求められる。そうした中、1本目から攻めた亜耶の滑りには大きな価値があると言えるだろう。
 
ラウンド2では、多くのライダーたちが刻んだトラックによりバンピーな斜面を持ち前の滑走スキルの高さで巧みに攻略したのだが、ファーストヒットのFS360のミスが響いてしまい63ポイント。結果的に、彼女にとって今大会の最高得点となったのだが、このラウンドでは5位となり、ラウンド3での大逆転にかけることになった。
 
最終ラウンドでは3度目の正直ならず、ファーストヒットのFS360テールの着地に嫌われてしまうものの、トップ画像を飾っているインディ・テールボーンを超ロンググラブで決めた。超絶美しいこのビッグエアは、観ている者の記憶に刻まれたことだろう。ポイントを伸ばすことはできなかったが、その得点をゴールエリアで待つ亜耶の表情は、ライディングと同じくトップ画像にあるとおり。やりきったのだろう。ポイントが出ると、「ありがとうございました!」と日本語でつぶやいてカメラの前から姿を消した。
 
慣れない英語圏の環境で、しかも、ベストコンディションを見極めて行われる大会のためスケジュールも長期間に渡る中、単身で乗り込むも孤独以上に「みなさんからの応援がとっても力になってます。いつもいつも、ありがとうございます」とSNSでコメントを残しているように、オンラインを通じてたくさんの応援コメントをもらっていたのだろう。日本人スノーボーダーたちの想いを胸に、日本を代表して初めてのビッグイベントに挑んだ亜耶は数々の貴重な経験を積み重ねたことで、飛躍的に成長を遂げたに違いない。Red Bull TVでは各ライダーのラウンドごとの滑りをピンポイントで視聴することができるので、亜耶のすべてのランをチェックしてほしい。

ステージ3は休む間もなく翌日に隣接するエリアで行われ、女子はスペンサー・オブライエン(カナダ)が特大のCAB540などを成功させ、決勝戦でエリーナ・ハイト(アメリカ)を下して初優勝を飾った。男子はトラビス・ライスとベン・ファーガソン(ともにアメリカ)の2名が初日で敗退するという波乱の中、ステール・サンドベック(ノルウェー)がCAB540からFS360につなぐなど、まるでパークライディングかと思わせるようなスムースかつ美しいテクニカルなライディングを終始披露。決勝で相対したブレイク・モラー(アメリカ)はダブルバックフリップで着地した勢いそのままにツリータップにつなぐも、その後も攻め続けて着地がピンポイントのダウン系のヒットで特大のBS720で惜しくも転倒してしまい、万事休す。ステールに軍配が上がった。すべて見応え抜群の対決なので、時間を見つけてぜひチェックしてほしい。ステージ2同様に、Red Bull TVでは各対戦ごとにスキップしての視聴も可能だ。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

 
女子結果
1位 スペンサー・オブライエン(カナダ)
2位 エレナ・ハイト(アメリカ)
3位 シャールカ・パンチョホバ(チェコ)
 

 
男子結果
1位 ステール・サンドベック(ノルウェー)
2位 ブレイク・モラー(アメリカ)
3位 ギギ・ラフ(オーストリア)
 

 

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