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W杯ハーフパイプ最終戦で平野流佳と冨田せなが優勝。流佳は3シーズン連続シーズン総合王者に輝く
2025.02.22
カナダ・カルガリーで行われたFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)ハーフパイプ最終戦で、男子は平野流佳と戸塚優斗がワンツーフィニッシュを飾り、女子は冨田せながW杯初優勝を飾った。
ファイナルはひとり3本のランが与えられ、ベストポイントで争われるおなじみのルール。男子優勝の流佳は3本目に見事な逆転劇を演じた。ナイター開催だったにもかかわらず気温が6℃と高く、強風が吹き荒れる難しいコンディションだったため、ほとんどのライダーがベストのルーティンを組み立てられずにいる状況。そうした中、流佳は3本目にスイッチBSダブルコーク1080スイッチジャパン→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440インディ→CABダブルコーク1080トラックドライバー→BSアーリーウープ540インディを決めて93ポイント。トップに立っていた親友でもありライバルの優斗のポイントを上回った。
その優斗は1本目に、スイッチBSダブルコーク1260インディ→CABダブルコーク1080トラックドライバー→FSダブルコーク1260インディ→BS900ウェドル→FSダブルコーク1080トラックドライバーという、彼にとっては抑えたルーティンで89.75ポイントを獲得。2本目を終えた時点でトップにつけていた。
予選をトップ通過していた優斗は最終走者だったのだが、その直前に前述した内容で流佳が逆転。優斗の2本目はファーストヒットでヘルメットが脱げてしまうという珍しいハプニングにより途中でキャンセルしていたのだが、おそらくそのランでも狙っていたのだろう。3本目は2ヒット目のCABダブルコーク1080をCABダブルコーク1440に、4ヒット目のBS900をBSダブルコーク1260にアップグレードさせて挑むも、クリーンに決めることができずに2位に終わった。
3位にはアメリカの16歳、アレッサンドロ・バルビエリがスイッチBSダブルコーク1260やFSダブルコーク1260などを決めて初の表彰台を射止めた。北米ライダーとしては珍しく、優斗&流佳を同じくYONEX(ヨネックス)にまたがっているアレッサンドロ。チームYONEXが表彰台を独占し、表彰式で互いを称え合っている姿が印象的だった。W杯カルガリー大会で2シーズン連続して表彰台に上っていた重野秀一郎は、今大会では精彩を欠く結果となってしまった。
女子は、ファーストヒットでダブルクリップラーからBS900につなげる高難度ルーティンを操ったマディ・マストロ(アメリカ)がトップにつけている状況で、せなは3本目、FS1080テール→CAB720ウェドル→FS540ステイルフィッシュ→BS540ウェドル→FS900メロンをクリーンに成功させて90.75ポイントをマーク。エアの高さや安定感が評価されたのだろう。見事、大逆転を飾ったのだ。
北京五輪の銅メダリストだけにすでにW杯での優勝経験はあったかと思いきや、意外にも初。今大会で2位のマディも表彰台の常連ライダーでありながら、今シーズン、初のW杯優勝を果たしていた。それだけに、逆転を許すもハグしながらせなの初優勝を称えているシーンが目に焼きついている。せなは10回目となるW杯の表彰台で見事センターを勝ちとり、最終戦で有終の美を飾ったのだ。
3位には地元カナダのエリザベス・ホスキングが、こちらも逆転で表彰台に滑り込んだ。男女ともに3位争いも含め、非常に見応えのある熱戦となった。
最終戦の結果を受けて、男子は流佳が3シーズン連続してシーズン総合優勝の証であるクリスタルグローブを手にした。女子はマディが同賞に輝いた。
平野歩夢、山田琉聖、清水さら、小野光希らは、ショーン・ホワイトが主宰するハーフパイプのリーグ戦「THE SNOW LEAGUE」に照準を合わせているのか、今大会には出場しなかった。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: FIS SNOWBOARD
男子結果
1位 平野流佳(日本)
2位 戸塚優斗(日本)
3位 アレッサンドロ・バルビエリ(アメリカ)
8位 重野秀一郎(日本)
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女子結果
1位 冨田せな(日本)
2位 マディ・マストロ(アメリカ)
3位 エリザベス・ホスキング(カナダ)
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