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平野流佳・平野歩夢・山田琉聖が表彰台独占。清水さらが3位に入ったW杯ハーフパイプの中身を知る
2025.02.03
米コロラド州アスペンで「US GRAND PRIX」との併催で行われたFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)の結果はすでに周知のとおりだと思うが、男子は日本人ライダーが表彰台を独占。優勝は平野流佳、2位は平野歩夢、3位は山田琉聖となった。女子は15歳の清水さらが3位となり、今シーズンから参戦しているW杯で2度目の表彰台を射止めた。
ひとり3本のランを行いそれらのベストポイントで争われ、男子は大逆転劇の展開で幕を下ろした。優勝した流佳は、スイッチBSダブルコーク1260スイッチジャパン→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440インディ→CABトリプルコーク1440トラックドライバー→FSダブルコーク1260インディというベストルーティンを見事に決め、唯一の90点台となる93.25ポイントを叩き出し、同じく3本目でトップに立った歩夢を逆転しての優勝を飾った。アスペンのハーフパイプは中国のシークレットガーデンやスイスのラークスのそれに比べるとサイズが若干小さいため、その形状に合わせるのに苦戦しているライダーが多い中、流佳のスキルの高さが光り輝く結果となった。
今季のW杯で3大会連続となる表彰台を射止めた歩夢だが、先日同地で行われた「X GAMES」中に負傷した様子をInstagramにポストしているように、満身創痍の状態で今大会に挑んでいた。FSトリプルコーク1440トラックドライバー→CABダブルコーク1440ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1080トラックドライバーと、北京五輪で金メダルを手繰り寄せたルーティンに比べるとラストヒットは360回転数を落とした内容だったが、89.5ポイントを記録。2022年2月に披露した世界最高峰のルーティンは、3年経過した今でも十二分に通用することを証明した。もちろん、ほかにもニュートリックは持っているはずなので、ここからの躍進が楽しみだ。
3位の琉聖は、おなじみになりつつある唯一無二のルーティンを披露。ダブルマックツイスト・ジャパン1080→スイッチマックツイスト・ジャパン→CABダブルコーク1440ウェドル→FSダブルコーク1440インディ→CAB1080ウェドルを1本目に決めて、88.25ポイントをマーク。W杯を全戦配信しているJ SPORTSの対するコメントに、やりたかったルーティンができなかったと悔しさを滲ませていた。ラストヒットで本来、スイッチダブルBSロデオ1080を狙っているからだ。とはいえ、初戦の3位に続けて今季2度目の表彰台獲得。新星として大きな存在感を示している。
4位には戸塚優斗が入り、1、2、3、4位を日本人ライダーが占めるという素晴らしい成績を収めた。同じハーフパイプで行われたX GAMESでは、トリプルを放つことができたのがスコッティ・ジェームス(オーストラリア)のみだったが、歩夢はもちろん、成功はしなかったものの優斗も繰り出し、流佳やスコッティも含めてトリプルコーク合戦となった。そのスコッティはCABトリプルコーク1440を含めたベストルーティンを決めるも、今大会ではジャッジに嫌われ5位でフィニッシュした。
女子3位のさらは2本目、BS900ウェドル→FS1080テール→CAB720ウェドル→FS900テール→BS540ウェドル→クリップラー・インディと6ヒットをルーティンに入れ込み、85.25ポイントをゲット。1080をスムースに操るほか、ハーフパイプの使い方が非常に上手かった。X GAMESでも銅メダルを手中に収めるなど、日進月歩で成長中。さらなる活躍に期待したい。
2位にはチェ・カオン(韓国)、優勝は絶対女王に返り咲いたクロエ・キム(アメリカ)。ノーマルスタンスとスイッチスタンスの両方でバック・トゥ・バック900を決めるなど、16歳とは思えない貫禄の滑りを魅せたチェ。韓国系アメリカ人であるクロエは、そのチェの姉貴分的存在だ。BS720からのスイッチメソッドや、女性で唯一操れるCABダブルコーク1080など今シーズンの必勝ルーティンをひっさげ、圧勝だった。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photo: FIS SNOWBOARD
男子結果
1位 平野流佳(日本)
2位 平野歩夢(日本)
3位 山田琉聖(日本)
4位 戸塚優斗(日本)
8位 重野秀一郎(日本)
13位 村上広乃輔(日本)
15位 菊地原小弥汰(日本)
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女子結果
1位 クロエ・キム(アメリカ)
2位 チェ・カオン(韓国)
3位 清水さら(日本)
6位 工藤璃星(日本)
8位 小野光希(日本)
10位 冨田せな(日本)
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