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イタリアの18歳 イアン・マッテオリが驚異の6回転 FS2160に続き世界初のCAB2160にも成功
2024.11.05
オーストリア・スチューバイ氷河に造成された特設パークを舞台に開催されている「PRIME PARK SESSIONS」にて、イタリアの18歳、イアン・マッテオリがビッグエアで世界初となるCAB2160に成功した。2022年4月、ビッグエアにおける6回転の壁をバックサイドスピンでこじ開けた荻原大翔が、同じくPRIME PARK SESSIONSでBS2160を再び決めた数日後の出来事だった。
イアンがCAB2160をメイクしたのは、現地時間の2024年11月1日のこと。そのおよそ1年前、2023年11月16日に世界初となるFS2160に成功している。鏡に写したかのように、それぞれのグラブはまったく同じ。一瞬だけウェドルグラブをしてからテールグラブに持ち替え、ボードを縦にしてスイングウエイトを軽減させての6回転である。
ともにフロントサイドスピンになるが、身体構造上はわけが違う。FIS(国際スキー・スノーボード連盟)大会ではFS(フロントサイド)、BS(バックサイド)、CAB(キャブ=スイッチフロントサイド)、スイッチBS(スイッチバックサイド)の4方向から回転方向が異なるベスト2ランの合算で争われているのだが、「X GAMES」ではルールが異なり、左回り(レギュラースタンスの場合、FSとスイッチBS)と右回り(レギュラースタンスの場合、BSとCAB)それぞれのベストランの合算となる。要するに、BSスピンとCABスピンで高得点を叩き出しても、どちらか一方しか採用されない。
高回転スピンが誕生してきた背景を見ればわかるように、BSスピンやCABスピンが先行してきた。得手不得手はあれど一般的にはレギュラースタンスの場合は右回りのほうがイージーとされているため、このようなルールが設定されている。こうした中、イアンは左右両方向への6回転スピンを手に入れたわけだ。
ふたりのライダーたちにより、1年に1方向のペースで6回転スピンが生み出されてきた。近代スノーボードのレベルでは、ひとつの大技を習得するために血の滲むような努力を重ねたうえで、1年近くの歳月を要するということになる。
イアンと大翔はともに2005年生まれ。先日、スイス・クールで行われたFISワールドカップのビッグエア開幕戦を制した長谷川帝勝も同い年だ。2026年2月、彼らが20歳で迎えるミラノ・コルティナ五輪は間違いなく、過去最高レベルのスピンバトルが繰り広げられる。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)