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北京五輪で平野歩夢に対する大誤審に吠えた米解説者 トッド・リチャーズがK2を傘下に置くEOCのアンバサダーに就任
2024.10.12
10月7日、K2 SNOWBOARDING(ケイツー スノーボーディング)やRIDE SNOWBOARDS(ライド スノーボード)を傘下に置くElevate Outdoor Collective(EOC)が、レジェンドライダーであり解説者であるトッド・リチャーズを、戦略的アンバサダーに任命したことを発表した。トッドは今後2年間、K2とMORROW SNOWBOARDS(モロー スノーボード)の両ブランドを代表し、その豊富な経験と情熱を提供していく。
若い読者はMORROWについて知らないと思うので、簡単に補足しておこう。1989年に産声をあげた同ブランドは90年代初頭には世界的に知られるブランドにまで成長を遂げ、現役時代のトッドをサポートしていた。1994年にはトッドのシグネチャーボードをリリース。やがて消滅してしまったが、2020年のパンデミック中にトッドは計画を練り始め、4年の歳月を経て今シーズン、あのシグネチャーボードが30年ぶりに復活を遂げるのだ。日本でも一部のプロショップで販売される。
そのトッドはハーフパイプを主戦場とし、現役時代に数々のタイトルを獲得。十八番であったマックツイストや3Dトリックの前身と言えるウェットキャットを開発するなど、スノーボード史に名を刻んできた。その後は競技解説者としても活躍。タイトルに綴ったように、北京五輪ハーフパイプ決勝で平野歩夢がトリプルコークを連続で決めた際の点数があまりにも低かった瞬間、アメリカのジャッジがつけたポイントが低かったことに起因しているにもかかわらず、怒りをあらわにして叫んでいた。オリンピックを中継していたNBCはCMに切り替えるも、その怒りはまったくおさまることなく、「あり得ない。これは茶番だ。私は今、怒っている」「この滑りから点数を引く要素がどこにあるのか」など、まくし立てた。その声は日本のマスメディアに大きく取り上げられたほど。
このようにスノーボードを愛する情熱的なトッドは、K2とMORROWの戦略的アンバサダーとして、製品開発の強化やコミュニティとのエンゲージメントを高めるために、両ブランドと緊密に連携していく。彼の洞察力とスノーボードに対する深い理解は、今後のプロダクトの進化において極めて重要な役割を果たすことになるだろう。
「このプログラムの一員になれたことを誇りに思っています。K2は私がスノーボードを始めたときからこのスポーツに関わっており、その長年の実績を非常に高く評価しています。MORROWとK2の両ブランドと新しいプロジェクトに取り組み、創造性と楽しさを追求していくことに興奮しています」と、トッドは自身の思いを語っている。
K2のグローバルブランドディレクターを務めるトム・ジョンソンは、「トッドをEOCファミリーに迎えることができ、非常にうれしく思っています。彼の専門知識、創造性、そして、スノーボードに生涯をかける情熱は、当社の価値観と完全に一致しているからです」と、今後ともにスノーボード文化を発展させていくことに意欲を示した。
この提携により、K2とMORROWは革新を続ける体制を整え、シーンを牽引していくためのリーダーシップを発揮していくことになるだろう。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)