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平野歩夢がハーフパイプ史上初の大技を披露。夢の施設「村上スノーリサーチ&トレーニングセンター」爆誕

2024.09.15

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9月14日、平野歩夢の地元である新潟・村上に、彼がイメージした雪を必要としないハーフパイプのトレーニング施設「村上スノーリサーチ&トレーングセンター」が完成し、その竣工式が執り行われた。同時に、歩夢のスポンサーであるUNIQLO(ユニクロ)とともに、次世代の子供たちを応援するプログラム「UNIQLO Next Generation Development Program with Ayumu Hirano 2024」が開催され、僭越ながら筆者はコメンテーターとして同イベントに参加。今後、世界中のハーフパイプライダーたちからの注目を集め、世界各国のナショナルチームが訪れたくなること間違いなしの施設を目の当たりにしてきた。
 
竣工式では同施設の代表である歩夢の父・英功氏が「アスリートは心が健康でなくてはいけません。トレーニング施設が近くにあれば海外遠征も減り、学校や仕事を休まず余裕を持って練習をすることができます。雪のハーフパイプよりも優れた環境を目指します」と、同施設に対する熱き想いを語った。英樹・歩夢・海祝ら息子たちを育ててきた氏だからこそ培ってきた経験をもとに、世界初の施設が誕生したわけだ。
 

歩夢と海祝を中心に、同施設の誕生を祝いに駆けつけた新潟県副知事や村上市長、スポンサー各位によるテープカットが行われた

 
歩夢はテープカットに登壇し、同施設について次のように語った。
 
「北京五輪が終わってから、次のオリンピックに向けて天候に左右されない環境での練習ができないかと家族や現場の人と打ち合わせを重ねながら、この施設を準備してきました。今日を迎えることができて本当にうれしいです」
 
ここまでの過程で幾度となくテストジャンプが繰り返され、トライ&エラーを繰り返しながら時間と労力をかけてこの竣工式に至ったようだが、その冒頭で英功氏は、ここからさらに改良を加えていく述べていた。そのうえで、実際にパフォーマンスがお披露目されると、歩夢は紹介ジャンプでいきなりFSトリプルコーク1440を放ち、UNIQLOのイベントに参加していた小中学生30名やオーディエンス、マスコミたちを大いに沸かせていた。さらに、ラストジャンプで歩夢は、FSダブルコーク1620という世界初の大技まで披露。同施設は完成形ではないとはいえ、そのポテンシャルの高さを強烈にアピールした。
 

当日は気温が高く人工芝が滑りづらい状況だった。そのうえで、先に述べたパフォーマンスだったということを付け加えておく

 
歩夢&海祝、彼らの後輩に当たる杉崎大翔に同施設でのライディングについて話を聞いたのだが、トリックのトレーニングになることは言うまでもなく、以外にも滑走スキルそのものを上げることができそうとのことだった。雪よりもシビアな人工芝で、しかも、実際にコースに立つと3D状の複雑な形状のアプローチとなっており、コース開発にあたって試行錯誤が繰り返されたということが伝わってくると同時に、ここでアプローチラインを刻んでいればテイクオフやエッジワークなどの精度を格段に高められるように感じた。
 

素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれた歩夢&海祝、そして杉崎大翔(右から3人目)

 
ライディングパフォーマンスに続いて、「自身の夢の実現について」をテーマとしたスペシャルトークセッションが行われた。参加していた子供たちの夢に対して実際に夢を実現させた歩夢が、自身の歩んできた道のりについてのエピソードを交えながらアドバイスを送るという、貴重な時間に。気になるという方は、uniqlo_ambassadorsのアカウントで配信されていたインスタライブの動画がアーカイブされているので、ご覧いただきたい。
 

 
 

30人の小中学生たちの夢に向き合った歩夢

 
歩夢が夢を追い続けてきた姿を10年以上に渡って見てきた立場としていろいろと語らせていただき、最後に今後の夢についてずばり聞いたところ、「夢だった金メダルのその先にいきたい。あと1年半後のミラノ五輪で2連覇を目指して、現在集中をしている。ただ、結果に追われずに日々のプロセスを大切にしたい」と、力強く語ってくれた。スノーボードとスケートボードの二刀流ライダーとして4歳からボードに乗り続け、平昌五輪で2大会連続銀メダリストとなった功績が称えられ世界最高峰のスケートボード施設「村上市スケートパーク」が2019年に誕生した。そして、北京五輪で獲得した悲願の金メダルをひっさげて、今般の村上スノーリサーチ&トレーニングセンターの完成に至ったわけだ。
 
歩夢を中心とした平野家の夢のひとつが実現したことで、このイベントに集まった子供たちのように、これから夢を追いかけていく若者たちのサポートをしていくことになるだけでなく、歩夢にとってもなくてはならない存在になるだろう同施設。歩夢は次なる夢に向けて、盤石の体制で挑む。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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