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実力派日本人ライダーたちがしのぎを削った「COWDAY SLOPE 2024」を振り返る

2024.04.07

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FIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)や「X GAMES」などコンテストにおいて、日本人ライダーの活躍が目覚ましかった23-24シーズン。特にW杯カッパーマウンテン大会ビッグエアでは女子ビッグエア史上初、3種類のトリプルコークをメイクした村瀬心椛の大躍進は記憶に新しい。

さる2月26〜28日までの3日間、そんな心椛をはじめとした世界で活躍する若き日本人コンペティターたちが長野・HAKUBA47 WINTER SPORTS PARKに集結した。FIS公認のコンチネンタルカップ「COWDAY SLOPE 2024」に出場するためだ。

結果からお伝えすると、すでに世界トップレベルの戦いでも頭ひとつ以上抜きん出ている心椛が圧巻の滑りを魅せて女子優勝。今シーズンのW杯でもコンスタントに決勝まで残っていたが、惜しくも表彰台を逃していた宮村結斗が男子優勝を果たした。

まずは女子1本目の滑走から振り返っていこう。雪面が見づらいコンディションの中始まった決勝、クリーンなライディングがなかなか見られない中、鈴木萌々が口火を切った。FSボードスライド270オフやBS720→FS720メランを順調に繋ぎ72.28ポイントをマークすると、滑走順は女子の中で一番最後だった心椛は1本目から、他選手より明らかに高難度なトリックを次々にメイク。X GAMESスロープスタイルのジブセクションでも魅せていたFSボードスライド450オフにはじまり、ジャンプセクションでもスタイリッシュなBS900テールからCAB720メロンへ繋ぎ、82.68ポイントを獲得した。結果、この点数を上回るライダーは現れず優勝を果たした形だ。
 

心椛がダブルダウンで魅せたトランスファー・FSリップスライド

 
昨年度のCOWDAY SLOPEは2位だった萌々の2本目、BSスピンを900にアップグレードにしようと試みるが惜しくもメイクならず。続く14歳の石井斐毬はうねるように配置された前半のジブセクションを危なげなく攻略し、続くジャンプセクションで飛距離のあるCAB720メロンとスイッチBS720を披露。グラブが入らず着地でお手つきしてしまったことが原因で点数は伸びなかったが63.78ポイントを獲得し、見事表彰台を射止めた。

男子決勝の1本目も視界不良が影響していたのか、ジャンプセクションで着地に嫌われる者が続く。そんな中でもスケートライクな滑りでジブセクションを攻略した藤谷瞭至や、スイッチBS1260ウェドルを完璧にストンプした飛田流輝のライディングが目立っていた。続く結斗は負けじと上部のダブルダウンでハードウェイCAB270オン270オフをメイクすると、そのままFS1260インディ→スイッチBS1080ウェドル→スイッチFSリップスライド・アンダーフリップ630オフのルーティンを高い完成度で披露し、91.96ポイントをマークした。

逆転を狙う瞭至は自身2本目、最初のアイテムでミスしてしまい万事休す。しかし彼は、「東京雪祭SNOWBANK PAY IT FORWARD 2023」のときもジャッジ時間外にも関わらず、レールへのフロントフリップオンに挑みメイクしていた生粋のエンターテイナー。そのまま続行し、ジャンプセクションでBSトリプルコーク1440ウェドルを完璧に成功させたのだ。これにほかのライダーたちも触発されたのだろう。濱田海人はジブアイテムに対してハンドプラントやバタートリックを仕掛ける独創的なランの完成度を上げて結斗のポイントに挑むが、着地時にお手つきがあり惜しくも表彰台を逃した。飛田流輝はスイッチBS1260ウェドル→FS1080メロンを再度ストンプしたうえで、ドンキーレールでBS180オン・CAB360オフをメイク。卓越したボードコントロールを魅せたが結斗には2.2ポイント届かず、2位となった。

1本目はジャンプセクションでミスがあった昨年度優勝者、木村葵来はあとがなくなった2本目で勝負強さを発揮する。上部セクションで若干ミスがあったものの、CAB1260インディ→BS1260メロンを繋いだうえでCAB270オン・630オフをメイク。ミスが響きポイントは伸び悩んだものの、84.44ポイントをマークしこの時点で3位に浮上した。結果的に順位が覆ることはなく結斗が優勝を飾り、COWDAY SLOPE 2024は幕を閉じたのだった。
 

今シーズンのW杯でもメダルを獲得している葵来。意地を見せた

 
会場となったHAKUBA47には現地での観戦を楽しんでもらうために、大型モニターやフードブースが設置されていた。加えて決勝の様子はYouTubeでライブ配信が行われており、世界トップレベルのライディングをエンターテインメントとして楽しむことができる環境が整っていた。W杯などの国際大会の多くは国外で開催されているため、世界トップレベルとなった日本人ライダーたちの活躍を自国で目の当たりにできる場はとても貴重。来シーズンはミラノ・コルティナ五輪出場を狙うライダーたちが繰り広げる、さらに白熱したバトルが拝めるに違いない。要チェックだ。

text: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)
photos: COWDAY

 
女子結果
1位 村瀬心椛
2位 鈴木萌々
3位 石井斐毬
 
男子結果
1位 宮村結斗
2位 飛田流輝
3位 木村葵来

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