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バックカントリーフリースタイル頂上決戦「NATURAL SELECTION TOUR」が面白い。本戦開幕
2024.03.20
6時間46分にも及ぶ放送を観るには、それなりの覚悟が必要だ。映画3本分近くの時間を費やす価値があるかどうか。答えはイエスだ。ついに始まったバックカントリーフリースタイル頂上決戦「NATURAL SELECTION TOUR」の本戦が、カナダ・ブリティッシュコロンビア州レベルストークで開幕した。
昨シーズンの結果により本戦出場を決めていた17名に、予選に位置づけられる「DUELS」で勝ち上がったライダーたちが加わり、男女24名が集結。出場ライダーの紹介を兼ねて各対戦を記そう。男子は、トースタイン・ホーグモ(ノルウェー)VS マーク・マクモリス(カナダ)、ダスティン・クレイブン(カナダ)VS セージ・コッツェンバーグ(アメリカ)、オースティン・スウィーティン(アメリカ)VS ベン・ファーガソン(アメリカ)、ブレイク・ポール(アメリカ)VS マイキー・シサレリ(カナダ)、ジャレッド・エルストン(アメリカ)VS クリス・ラズマン(カナダ)、ミッケル・バング(ノルウェー)VS ニルス・ミンドニッチ(アメリカ)、トルゲイル・バーグレム(ノルウェー)VS ケビン・バックストロム(スウェーデン)、レッド・ジェラード(アメリカ)VS トラビス・ライス(アメリカ)の8戦。女子は、ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)VS ヘイリー・ラングランド(アメリカ)、マリオン・ハーティー(フランス)VS ロビン・バン・ジン(カナダ)、エレナ・ハイト(アメリカ)VS ジェイミー・アンダーソン(アメリカ)、マリー・ランド(アメリカ)VS ハナ・ビーマン(アメリカ)の4戦が行われ、まずは男子ベスト8、女子ベスト4を決めるバックカントリーバトルが繰り広げられた。
放映権を持っているRED BULL TVは対戦ごとはもちろん、各ポイントごとに早送りできるので、上手く活用しながらご覧いただきたい。まず男子は、トースタイン VS マークの一戦に注目したい。ともにスロープスタイルやビッグエア競技で鍛え上げたトリックバトルが見応え抜群だ。特筆すべきは、この日最高ポイントを叩き出したセージの滑りが群を抜いていたこと。アメリカの専門メディアの情報によると、ダスティンはホームマウンテンということもありコース造成に携わっていたため有利とされていたが、それを圧倒する滑りをセージが披露した。本記事のトップ画像を飾っている、テイクオフすらまともにできない地形でのBS360テールは必見だ。優勝候補と目されていたベンを破ったオースティンの流れるような高速ライン、ジャレッドの卓越したライディングスキル、ニルスの常軌を逸した攻撃的なラインなど、すべてが見どころと言って間違いないが、初戦の目玉はなんと言っても、レッド VS トラビスだ。
ひとり2本のランを行いベストポイントで争われており、2本目はドローン映像の配信が中断してしまい、ヘリからの空撮映像がメインとなった。ところどころ配信が切れてしまう場面もあり少しわかりづらい点もあるが、これだけの規模のイベントなので致し方ない。リキャップ動画ではドローンの映像もあるのでチェックしてほしいのだが、1本目は81.7ポイントを記録したトラビスがリードしており、2本目のランは両名とも、そのポイントを上回るほどの素晴らしいランを魅せつけてくれた。
レッドは特大なBS720を繰り出すと、そこからタイトなセクションを上手く利用して、インディ→FS360→巨大バックフリップを決めて超絶テクニカルなラインを攻略。それを見たトラビスは、ラインは異なるが同じく特大のBS720を決めると、続くビッグヒットでFS720を狙ったのか、空中でバランスを崩してしまい540で雪面をとらえるとレイバック状態でなんとか耐えてノーマルスタンスに戻した。そこからBS180でスタンスをスイッチし、スイッチBS540→クレイルとつないだのだが、クリーンさでいえば間違いなく、レッドだった。
ここからジャッジングにかなりの時間を要した。悩みに悩んで出した答えは、両名ともに82.5ポイント。結果、1本目でリードしていたトラビスに軍配が上がったのだ。ハイレベルな戦いだったが、引き分けという結果が釈然としなかったのは、筆者だけだろうか。
女子は大波乱が起きた。前回大会女王であり、北京五輪スロープスタイル金メダリストのゾーイが、ヘイリーに敗れたのだ。ゾーイが本来の力を出しきれなかったというよりも、ヘイリーのライディングが素晴らしかった。男子と併せて、ヘイリーの滑りも映像でぜひご覧いただきたい。ほかにもジェイミーの逆転劇など、女子も熱いバトルだった。
今シーズンは雪不足のレベルストークだが、素晴らしいコンディションのもと、白熱したバックカントリーライディングバトルが繰り広げられた。男子ベスト8、女子ベスト4からのバックカントリーフリースタイル頂上決戦は、降雪に恵まれ、再びコンディションが整った日にライブ配信される。お楽しみに。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
男子結果
女子結果