BACKSIDE (バックサイド)

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戸塚優斗&小野光希が優勝。日本人男女5名が表彰台を席巻したW杯ハーフパイプ速報

2024.02.04

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出場した日本人ライダー全員が決勝に進出し、うち5名が表彰台に登るという素晴らしい結果を残した。アメリカ代表の選考レースであるUS GRAND PRIXとの併催で行われたFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)が米カリフォルニア州マンモスマウンテンで行われ、男子は戸塚優斗が優勝、2位に平野流佳、3位に平野海祝が入り表彰台を独占。女子は小野光希が優勝、冨田せなが2位とワンツーフィニッシュを果たした。

強風が吹き荒れる中、ファイナルはひとり2本のランが許され、ベストポイントで争われた。優勝した戸塚優斗は1本目、スイッチBS900インディ→CABダブルコーク1080ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440インディを決めて92.25ポイントをマーク。1本目を終えた時点でトップにつけ、結果としてはこのポイントで逃げ切ることもできたのだが、出走順は後ろに流佳と海祝を控えている状態で迎えた2本目。1本目では回転が余っていた2ヒット目のCABダブルコーク1080を1440まで回転数を上げて94.75ポイントを叩き出した。2021年3月以来、およそ3年ぶりのW杯優勝を飾ったのだ。

「ひさびさに“決めた”っていう感覚を味わえたし、滑り出すときにいつもとは違う感覚もあって、決められるなと思いました。後半は1440と1260を全部つなげられてよかったので、あとは昨シーズンまではスイッチBS1080をやっていたんですけど、これからは1260が必要になると思うので練習して、そこにトリプル(コーク)を入れられるように頑張ろうと思っています」

表彰式直後、J SPORTSの生放送で解説を務めさせていただいている筆者は優斗と言葉を交わすことができた。ひさしぶりの手応えに喜びを噛み締めていると同時に、次なるフェーズへ向けて自信をのぞかせているように感じられるインタビューだった。

2位の流佳は2本目、特大かつリップ・トゥ・リップのスイッチBS1080インディから入ると、BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440インディ→CABダブルコーク1440ウェドルに成功。これまでは5ヒット目にFSダブルコーク1260を入れていたのだが、リモートインタビューで5ヒットではなく4ヒットで勝負することに決めていたと教えてくれたのでベストランを繰り出したということだ。しかし、ヒット数の少なさもあってか、ポイントは91.75と優斗には届かなかった。

海祝は1本目のランを決めて3位で迎えた2本目、表彰台は確定していたが順位を上げるべく難易度を高めたルーティンで勝負に挑む。マックツイスト・メソッド→FSダブルコーク1440インディ→CABダブルコーク1080ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドルと、ラストヒットのBSダブルコーク900をアップグレード。順位を上げることは叶わなかったが自身のポイントを上書きし、89.25ポイントとして3位でフィニッシュした。

BSダブルコーク1260を決めた直後、1、2位につけているためフィニッシュエリアで待機していた優斗&流佳と拳を重ね合う姿は、それぞれがベストランを出し切ったことを称え合うかのように映った。大会中とはいえ、まさにセッションをしている感覚なのだろう。素敵なシーンだった。

女子優勝の光希は1本目で勝負を決めた。BSメロン→FS900テール→BS540ウェドル→FS720インディ→CAB900ステイルフィッシュを成功させて93ポイント。このポイントを誰も塗り替えることができず、最終走者だったため2本目はウイニングランとなった。しかし、光希はファーストヒットでBSインディを放つと、1本目の同じルーティンをさらに磨きをかけて披露したのだ。トリックのクオリティもエアの高さも増しており、95.5ポイントを記録。圧勝となった。

「私が滑るときは風も落ち着いていて、気持ちを固めてスタートできたので運がよかったですね(笑)。1本目のランではバックサイド側が少し失敗してしまっていたのがすごく悔しくて、リベンジじゃないですけど同じルーティンをやりました。BSインディもBS540も上手くできてよかったです」

コンディションが芳しくない状況だったにもかかわらず、攻めの姿勢を貫いた光希。彼女の強さが垣間見えるウイニングランだった。

スイス・ラークスで行われた前回大会のW杯では決勝までコマを進めるも、ケガによりDNS(Did Not Start)だったせな。昨シーズンは競技活動を休んでいたため、北京五輪以来の表彰台となった。FS540ステイルフィッシュ→BS540ウェドル→FS720インディ→CAB720ウェドル→FS900メロンというルーティンで88.5ポイント。2本目はファーストヒットにFS900メロンをもってくるも着地時に若干トウサイドに流れてしまい、2ヒット目のBS540で転倒。1本目のポイントで2位獲得となった。

今大会には女王、クロエ・キム(アメリカ)も参戦していた。だが、1本目は2ヒット目のFS1080で、2本目は3ヒット目のCAB900でそれぞれ転倒。復帰戦となったラークスでの前回大会に引き続き、W杯で結果を残すことができなかった。出場した大会で優勝しないことのほうが珍しいクロエなので、W杯で2大会連続して表彰台圏外というのは、彼女にとって初めて味わった屈辱に違いない。

重野秀一郎と冨田るきはそれぞれ、6位と7位で終わった。

2002年のソルトレイクシティ五輪ハーフパイプ男子はアメリカ勢が表彰台を独占し、女子の金メダルもアメリカに渡った。あれから22年の月日が流れた今、アメリカ最高峰の大会で日本人が表彰台を席巻している事実。優斗、流佳、海祝、光希、せなの5名に拍手を贈りたい。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

男子結果
1位 戸塚優斗(日本)
2位 平野流佳(日本)
3位 平野海祝(日本)
6位 重野秀一郎(日本)
全結果はこちら

女子結果
1位 小野光希(日本)
2位 冨田せな(日本)
3位 マディ・マストロ(アメリカ)
7位 冨田るき(日本)
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