BACKSIDE (バックサイド)

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X GAMESスーパーパイプで平野流佳と小野光希が銀メダル。平野海祝が銅メダル&ハイエストエア

2024.01.27

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米コロラド州アスペンで開幕した真冬の祭典「X GAMES」。世界中から選りすぐられた招待ライダーのみが参戦できる、世界最高峰のコンテストのひとつだ。初日のナイトイベントとして開催されたスーパーパイプで男女とも日本人が表彰台を獲得。まずは男子の中身をお届けする。

今大会はひとり3本のランを行いベストポイントで争われた。平野流佳は2本目に、スイッチBS1080インディ→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440インディ→CABダブル1080トラックドライバー→FSダブルコーク1260で87ポイントをマーク。このランで銀メダルを決めた。

平野海祝も同じく2本目に、今シーズンより武器としているオリジナリティあふれるマックツイスト・メソッドから入ると、FSダブルコーク1440インディ→CABダブルコーク1080ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドルを決めて86.33ポイント。その後に出走する流佳が前述したルーティンで海祝を上回り2位に浮上したため、3位につけて臨んだラストランが今大会一番の魅せ場となった。

アプローチでパンピングしながら加速させ、これまでの2ランよりも助走距離を長くとりドロップイン。十八番である巨大メソッドを放ち、22フィート10インチ(約6.96m)の今大会ハイエストエアを叩き出した。北京五輪で7.4mの高さでハーフパイプにおけるハイエストエア世界記録を樹立したわけだが、その舞台となったシークレットガーデンのハーフパイプよりもアスペンのサイズが小さいことを踏まえると、限界を超えたハイエアだったことが理解できるのではないか。さらにここから、リップトリックやハンドプラントなどを織り交ぜたクリエイティブな滑りを披露。まさしく、海祝劇場だった。銅メダルという記録を残したうえでさらに、オーディエンスの記憶に残る最高のパフォーマンスを発揮してくれた。

金メダルに輝いたのはスコッティ・ジェームス(オーストラリア)。同種目で3連覇を達成した。1本目に伝家の宝刀、スイッチマックツイスト・ジャパンから180戻す妙技を放つと、BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440テール→CAB900インディ→スイッチBS1080インディで88ポイントを記録。今季の常勝ルーティンはラストヒットがスイッチBS1260のはずなのだが、繰り出すまでもなくこのポイントで優勝を決めた。2本目にはベストルーティンを決めて93ポイントを叩き出し、自身のポイントを上書きするという圧勝だった。

しかし、スコッティは最後まで気を緩めることができなかった。平野歩夢がFSトリプルコーク1440を含む北京五輪で金メダルを獲得したルーティンを決めた暁には、逆転を喫する可能性が非常に大きいからだ。そのいっぽうで、歩夢の敵はスコッティではない。今シーズンは完全に己との戦いだ。別のルーティンでメダルを狙うことはもちろん可能だが、トリプルコークを決めたうえでの頂点しか狙っていない。

そのうえで臨んだ3本は、2本目にトリプルコークは決めたもののルーティンを完遂させることはできず万事休す。シークレットガーデンやスイス・ラークスのハーフパイプに比べるとサイズが小さいため、十二分な滞空時間が必要不可欠なトリプルコークを繰り出すのはハイリスクそのもの。ワールドカップを含めた今シーズンのリザルトだけを見ている人にとっては歩夢の時代は終わったかのように感じているかもしれないが、一戦一戦で間違いなく進化している。それだけは断言しておこう。

1週間前の「LAAX OPEN」でスコッティに次ぐ2位だったヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)が急遽欠場となり、繰り上げでX GAMES初出場となった重野秀一郎はFS1440などを含むルーティンを3本とも決めて4位に。ケガから復帰したばかりの戸塚優斗は精彩を欠き、6位に終わった。

女子は小野光希が1本目、BSインディ→FS900テール→BS540ウェドル→FS720インディ→CAB720ウェドルで87ポイントを叩き出した。2本目はラストヒットにCAB900を繰り出し難易度を上げるも着地に嫌われてしまい、後がなくなった3本目は3ヒット目のBS540でミス。結果、1本目のランで銀メダルを手繰り寄せた。

2021年大会以来の金メダルを獲得したクロエ・キム(アメリカ)は1本目、メソッド・トゥイーク→FS1080テール→CAB900スイッチメロン→スイッチメソッド・トゥイーク→CAB1080ステイルフィッシュという表現力と難易度をハイレベルで融合させた素晴らしいルーティンを成功させて96.33ポイントを獲得。

この時点で金メダルを手中に収めたわけだが、ウイニングランで迎えた3本目、ドラマが待っていた。バランスを崩してしまい3ヒット目のCAB900は540に回転数を落としたが、ラストヒットで女性史上初のCAB1260を成功。クリーンメイクとはならなかったが、女王が自らネクストステージへの扉をこじ開けたのだった。

「言葉が出ません。この場に戻ってこれて興奮しています。CAB1260をどうしても決めたくて、北京五輪で初挑戦し、再びトライしたかったのです。私が望んでいたようなクリーンな成功とはいきませんでしたが、なんとか決めることができ、これまで取り組んできた成果をみなさんの前で披露できてうれしかったです」

このようにインタビューでクロエは答えている。女子ハーフパイプ界のレジェンドとして知られるケリー・クラーク(アメリカ)と並ぶ、同種目7個目の金メダル獲得となった。

男子結果
1位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
2位 平野流佳(日本)
3位 平野海祝(日本)
4位 重野秀一郎(日本)
6位 戸塚優斗(日本)
8位 平野歩夢(日本)

女子結果
1位 クロエ・キム(アメリカ)
2位 小野光希(日本)
3位 ツァイ・シュートン(中国)

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: X GAMES

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