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伝統の一戦「LAAX OPEN」スロープで木俣椋真が2位の快挙。村瀬心椛は果敢に1440に挑む
2024.01.22
スイス・ラークスで行われた伝統の一戦「LAAX OPEN」。その前身は「BURTON EUROPEAN OPEN」であり、2020年に幕を下ろした「BURTON US OPEN」と肩を並べる、世界最高峰のコンテストである。現在はFIS(国際スキー・スノーボード連盟)との併催で行われているためワールドカップ(以下・W杯)の一戦となっており、スロープスタイルの開幕戦にあたる。すでにビッグエアで4戦戦ってきたライダーたちは年末年始を挟んで気持ちを切り替え、今大会に臨んでいるわけだ。
そのうえで、伝統の一戦だからこそ世界各国のライダーが出揃う、事実上の世界一決定戦となっている。ハーフパイプでは女王クロエ・キムが復帰戦に選ぶなど、アイテムのクオリティの高さも含めて、やはり世界最高峰の舞台なのだ。
コース設定もかなりハイレベルになっており、スロープスタイルコースにもかかわらず、フロント/バックサイドの両方向を選択できる「BAT WINGS」と名づけられたスパイン、そして、クォーターパイプが用意されている。いわゆるR系アイテムであるトランジションを攻略できるライディングスキルがないと勝てないというわけだ。コースを上部から簡単に説明しておくと、第1セクションはダウンレールとトリプルダウンレールから選択、第2セクションはハイレールとドンキーレールから選択、第3セクションは前出のBAT WINGS、第4、5セクションは2連キッカー、第6セクションはレギュラースタンスのバックサイド側に設定されたクォーターパイプからジブセクションに流れるところまでが含まれたコースとなっている。
そうしたハイレベルなコンテストにおいて、木俣椋真が2位を獲得するという快挙を成し遂げた。ひとり2本のランからベストポイントで争われたのだが2本目、CAB270オン270オフ@ダウンレール→FSリップスライド・FSロデオ630メロンオフ@ドンキーレール→FS1080インディ→BS1620メロン→スイッチBS1620ステイルフィッシュ→BSコーク540インディ→BSボードスライド・50-50・BS180オフという高難度なルーティンを見事に決めて85.31ポイントをマーク。この時点でトップに躍り出た。
しかし、セミファイナルをトップ通過していた最終走者のリアム・ブレアリー(カナダ)が、ラストランで素晴らしいランを披露。スイッチBS270オン・フォワード@ダウンレール→BSボードスライド・FSコーク630テールオフ@ドンキーレール→BS1260ウェドル→スイッチFSダブルロデオ1080トラックドライバー・スイッチインディ→スイッチBS12260ステイルフィッシュ→FS720ステイルフィッシュ→BSノーズスライド・FSボードスライド270オフという、技術力から表現力までフリースタイルスノーボーディングの魅力が凝縮されたかのようなルーティンを決めて89.93ポイントを記録。椋真を表彰台の中央から引きずり下ろし、優勝を飾った。
W杯スロープスタイル初出場となった木村葵来はBS1260メロンとCAB1620ウェドルなどを決めて善戦するも7位、國武大晃は2本とも決めることができずに12位で涙を呑んだ。今大会はレネ・リンネカンガス(フィンランド)やマーカス・クリーブランド(ノルウェー)といった表彰台の常連ライダーたちが予選落ちするなど、とても難易度の高いコースだったことを裏づけている。
女子は北京五輪スロープスタイル銀メダリストのジュリア・マリノ(アメリカ)が頂点に輝いた。CAB270オン270オフ@ダウンレール→FS50-50・FS360オフ@ドンキーレール→BS900メロン→CABダブルアンダーリップ900ウェドル→FSダブルコーク1080メロン→FSインディ→FSノーズマニュアルFS180オフというルーティンで83.08ポイントをマーク。ラストランで表彰台に食い込んだアニカ・モーガン(ドイツ)は、BS270オン@ダウンレール→FSリップスライド・プレッツェル270オフ@ハイレール→スイッチBS180テール→FS720メロン→BSダブルコーク1080メロン→FSノーズ→FSノーズスライドを決めて80.75を叩き出した。両名ともに、第5セクションでのジャンプの高さと飛距離が非常に大きかったことが勝因だったのかもしれない。
日本人で唯一ファイナルに駒を進めていた村瀬心椛は、FSボードスライド270オフ@ダウンレール→FSリップスライド・プレッツェル270オフ@ハイレール→スイッチBS180インディ→FSダブルコーク1080トラックドライバー→BSダブルコーク1080→BSテール→BSノーズスライド・テールタップオフを1本目に決めて59.21だった。先述したジュリアやアニカに比べると体重差なのか、ジャンプのアプローチ時のスピードが遅いように感じていたが、2本目はBSダブルコーク1440を含めた超攻撃的ルーティンで逆転を狙うも、着地に嫌われてしまった。
年末年始は國母和宏とともに、バックカントリーフリースタイルの修行を積んでいた心椛。今大会には出場していないがゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)を見ていればわかるように、間違いなくその滑走スキルがスロープスタイル競技に活かされるだけに、今後の心椛の躍進に期待したい。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
男子結果
1位 リアム・ブレアリー(カナダ)
2位 木俣椋真(日本)
3位 キャメロン・スポルディング(カナダ)
7位 木村葵来(日本)
12位 國武大晃(日本)
15位 大塚 健(日本)
18位 荻原大翔(日本)
54位 宮村結斗(日本)
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女子結果
1位 ジュリア・マリノ(アメリカ)
2位 アニカ・モーガン(ドイツ)
3位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
17位 鬼塚 雅(日本)
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