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日本が強すぎる。男子表彰台独占&女子ワンツーフィニッシュを果たしたW杯ビッグエア
2023.10.22
ついに開幕したFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ初戦となるビッグエアで、日本人ライダーたちが快挙を達成。スイス・クールの地で、男子が表彰台を独占、女子がワンツーフィニッシュを飾るという日本人ライダーの強さを世界中に知らしめる結果となった。
雨が降りしきる中、ひとり3本のジャンプを行い、回転数の異なるベスト2トリックの合算で争われるおなじみのルール。男子はワールドカップ初優勝を飾った荻原大翔が1本目からスイッチBS1620ステイルフィッシュを、2本目にはCAB1620ウェドルをともにクリーンに決めて2本目を終えた時点でトップに。結果としてはそのまま逃げ切った格好だ。ウイニングランとなった3本目は、BSコーク360インディを披露し、喜びを爆発させた。
「去年はバックサイドを仕掛けたんですけど全然ハマらなくて、今年はスイッチで勝負にいこうと思っていました。キャブとスイッチバックで。それを日本で練習してこっちに持ってきて、結果を出せたのでよかったです」
J SPORTSのライブ中継で解説を務めさせていただいていた筆者は、大会直後に大翔からこのようなコメントをもらうことができた。
大翔は世界初となるBSクイントコーク2160を決めて大きな話題を集めたが、同い年の長谷川帝勝が昨シーズン絶好調だったため一歩出遅れていたものの、ここにきて巻き返してきた。その帝勝はまさかの予選で涙を呑む結果に。
2位にはワールドカップ2戦目の参戦となった木村葵来が、前回大会の3位に続いて表彰台を射止めた。さらに、両大会とも日本人が表彰台を独占という偶然も。もしかすると彼が引き寄せているのかもしれない。1本目からCAB1620ウェドルを成功させると、2本目はスイッチBS1260インディでしっかりと合わせてから、3本目にスイッチBS1620インディを完璧にメイク。大塚健を逆転して2位に食い込んだ。
昨年大会で優勝を飾っている健は、1本目に本当はBS1620メロンを狙っていたそうだが1440どまりとなるも、2本目にスイッチBS1620ステイルフィッシュをパーフェクトストンプ。3本目にはしっかりBS1620メロンを決めるという貫禄ある滑りを披露。葵来との差はわずか0.5ポイントだった。
女子の優勝は村瀬心椛。1本目からBSダブルコーク1080ウェドルをクリーンに成功させると、2本目に放ったFS1080トラックドライバーは雪面を捕らえるも、勢い余り前方に投げ出されるように転倒。このとき顔を強打してしまい血がにじんだ状態ながらも、3本目は2本目での失敗をしっかり調整しFS1080トラックドライバーを見事に決めた。
「先シーズンはいい滑りができないまま終わっちゃったんですけど、今シーズンは初戦から1位を獲れて満足です。一般の方々が観てもカッコいいと思ってもらえる滑りを目指しているので、そこを今回はできたのかなと思います」
このような会話を心椛と交わすことができた。
2位は健同様、昨年の同大会の覇者である岩渕麗楽。1本目に決めたBSダブルコーク1080ウェドルは心椛の1本目よりも完成度が高く90ポイント超を叩き出す。2本目はFS1080メロンで着地するも、回転力を抑えこむことができずにボードがドライブしてしまった。それを修正したうえで3本目に同トリックを繰り出したが、やや着地時に手をついてしまう形に。結果、このFS1080の精度により、心椛に軍配が上がった。
3位には、スタイリッシュなライディングスタイルに定評のある16歳のミア・ブルックス(イギリス)が入った。心椛&麗楽に逆転を喫するも、CAB1080ステイルフィッシュやBS900インディといった表現力豊かなスピンを成功させた実力は本物だ。
こうして幸先のよいスタートを切ったスノージャパン。今シーズンも彼らの活躍を見守っていきたい。
男子結果
1位 荻原大翔(日本)
2位 木村葵来(日本)
3位 大塚 健(日本)
8位 木俣椋真(日本)
10位 國武大晃(日本)
23位 宮村結斗(日本)
33位 長谷川帝勝(日本)
全結果はこちら
女子結果
1位 村瀬心椛(日本)
2位 岩渕麗楽(日本)
3位 ミア・ブルックス(イギリス)
5位 深田茉莉(日本)
6位 鬼塚 雅(日本)
全結果はこちら
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
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