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小野光希が世界選手権ハーフパイプで銅メダル。男子は韓国の16歳 イ・チェウンが金
2023.03.04
ジョージア・バクリアニで行われているFISスノーボード世界選手権ハーフパイプ決勝が行われ、小野光希が銅メダルを獲得した。もうひとりの日本人ファイナリスト、冨田るきは4位でフィニッシュ。
ひとり3本のランを行いベストポイントで争われた今大会。光希は2本目、スイッチスタンスでドロップインすると、CAB720ウェドル→FS540テール→BS540ウェドル→FS720インディとつなぎ、ラストヒットは高さのあるCAB900ステイルフィッシュを決めてガッツポーズ。しかし、ポイントが出ると首をかしげたシーンが印象的だったが83ポイントと、1本目で高得点をマークして逃げ切った金メダルのツァイ・シュートン(中国)、銀メダルのエリザベス・ホスキング(カナダ)の得点に届かなかった。
CAB900の難易度を鑑みれば、エアの高さも然り、グラブもしっかり決めていたので逆転も期待できたが、ツァイはバックサイドロデオ軸で、エリザベスはフロントサイドへ、それぞれアーリーウープ540を成功させていた。女子ではあまりお目にかかれないトリックだけに評価が高かったのかもしれない。ツァイはFS900から入るルーティン全体の完成度が高く、エリザベスは安定感は物足りなかったがエアの高さが際立っていた。
男子は出場した日本人ライダー全員が決勝へコマを進めるも、平野流佳は4位、戸塚優斗は6位、平野海祝は7位、重野秀一郎は10位と、惜しくも表彰台を逃す結果に。
優勝は16歳のイ・チェウン(韓国)。FSダブルコーク1440インディ→CABダブルコーク1440ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドル→FS900メロンというルーティンを決めて逆転Vを飾った。
バック・トゥ・バック(連続)のダブルコーク1440を決められるライダーは数少なく、さらに言えば、この連続技からバック・トゥ・バックのダブルコーク1260を続けざまに成功できるのは、平野歩夢しか知らない。平昌五輪で銀メダルを獲得した際、歩夢はファーストヒットでストレートエアにこだわり、そこから今大会のチェウン同様に超高難度な4連続技を放っていたのだった。その平昌五輪で金メダルに輝いたショーン・ホワイト(アメリカ)はバック・トゥ・バックのダブルコーク1440と同ダブルコーク1260の間に、FS540を挟んでいた。低回転スピンを入れることでひと呼吸置き、スピードや体勢を回復させるためだ。
それを踏まえると、今大会でチェウンが決めたルーティンの価値をご理解いただけるだろう。しかし、昨年の北京五輪で歩夢は、ファーストヒットでFSトリプルコークを放ち、そこからCABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1440という常軌を逸したルーティンを成功させているということを忘れてはならない。
話はそれたが、銀メダルを獲得したヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)はスイッチ・メソッドから入ると、CABトリプルコーク1440ウェドル→FS1260テール→BSダブルコーク1260→FS1440テールという、難易度だけでなく、あえてファーストヒットにスピントリックを入れずにスタイルを重視するというこだわりのルーティンを決めて93ポイントと、惜しくも金メダルに輝いたチェウンに0.5ポイント及ばなかった。しかし、ファーストヒットやトリプルコークも含め、コークスピンとフラットスピンを織り交ぜるバラエイティと表現力の豊かさを示したヴァレンティノの滑りは、金メダルに値するものだった。
銅メダルは、BS900シャッフルやスイッチ・アーリーウープBSダブルロデオ900などを決めたヤン・シェラー(スイス)が獲得。北京五輪銀メダリストのスコッティ・ジェームス(オーストラリア)は5位に終わった。
女子結果
1位 ツァイ・シュートン(中国)
2位 エリザベス・ホスキング(カナダ)
3位 小野光希(日本)
4位 冨田るき(日本)
全結果はこちら
男子結果
1位 イ・チェウン(韓国)
2位 ヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)
3位 ヤン・シェラー(スイス)
4位 平野流佳(日本)
6位 戸塚優斗(日本)
7位 平野海祝(日本)
10位 重野秀一郎(日本)
全結果はこちら
photos: FIS SNOWBOARD
※ヴァレンティノ・ギュゼリの2ヒット目をCABダブルコーク1440と表記していましたが、CABトリプルコーク1440の誤りでした(3月6日0:00修正)
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