BACKSIDE (バックサイド)

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タイガーこと長谷川帝勝が記録より記憶に残る全スイッチランで魅せたW杯スロープ速報

2023.02.13

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カナダ・カルガリーで行われていたFISワールドカップ(以下W杯)スロープスタイルは、長谷川帝勝と鬼塚雅がファイナル進出。先ほど決勝が行われ、それぞれ4位と惜しくも表彰台を逃したが、帝勝については語弊を恐れずに言えば、表彰台を射止めていてもおかしくない衝撃のランを披露。6セクション用意されたコースを、すべてスイッチスタンスで攻略したのだ。
 
そのコースの中身は、ジブセクションが4、ジャンプセクションが2というコースレイアウト。通常はジャンプが半数の3セクション用意されている大会が多い中、今大会はジビングに比重が置かれていた。ひとり3本のランを行い、ベストポイントで争われるおなじみのルールだ。
 
帝勝は1、2本目ではルーティンを完遂することができなかったが3本目、スイッチBSリップスライド→スイッチFSブラント270オフ→CAB270オン450オフで前半のジブセクションを攻略すると、続く2連ジャンプではスイッチBS1440インディからCAB1440ウェドルという高難度スピンをスタイリッシュにつなげ、ラストのジブセクションではスイッチBSボードスライド630ウェドルオフというハイパフォーマンスを披露。確実に表彰台を射止めたと確信したのだが、ポイントは76.8。上位3名の得点には及ばなかった。
 
セクション2のキャノンレールからトランスファーで乗せ換えるトリックで高ポイントが続出しており、帝勝はスイッチランにこだわったためキャノンレールを使わずにフラットダウンレールのみで勝負に出ていた。こうした部分でポイントが伸び悩んだのかもしれない。
 
J SPORTSの番組で解説を務めていたため、大会直後に帝勝を話す機会を得られたのだが、ずばりポイントについて納得しているかたずねてみた。すると、「もともと観ている人が(自分の滑りのカッコよさを)わかってくれればいいと思っています。点を出しにいく滑りをすることは考えていなくて、そうすると回転ばかりを求めてグルグル回すだけになってしまうので、そういうのはイヤなんです。だから、こだわりのスイッチBSリップ(スライド)などを入れて滑り切ることができたので納得しています」と頼もしいコメントが。フリースタイルスノーボーディングの大切な部分である“表現力”を重視したうえで勝てるライダー。弱冠17歳の帝勝は、そうした稀有なスノーボーダーとして今後、さらに羽ばたいていくのだ。期待したい。
 
近年はコンペシーンから一定の距離を置いており、ムービーシーンでも活躍しているダーシー・シャープ(カナダ)が自国開催ということもあってか参戦し、見事優勝。ポップが効いた高さのあるCABハードウェイ270オンなどジブで高得点を叩き出し、ジャンプセクションでもバック・トゥ・バック(連続)トリプルコーク1440を決めるなどして88.85ポイントを記録。CABハードウェイ270オンやBS360オンなど脱力系スタイルでジブセクションを完璧に流し、ジャンプでもFSダブルコーク1440タックニーインディやBSダブルコーク1440ノーズ&インディの2グラブを決めてトップにつけていたダスティ・ヘンリクセン(アメリカ)の82.66ポイントを上回り、そのまま逃げ切った。

3位には同じくカナダのキャメロン・スポルディングが入った。ハーフパイプで2位となりスロープスタイルは惜しくも6位に終わったヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)、そして帝勝と同世代にあたる17歳のキャメロンが、スロープスタイル大国・カナダの今後を担っていくのだろう。

女子4位となった雅は1本目に、ジブセクションではFSノーズスライド・プレッツェルオフやスイッチBSボードスライド270オフなどを決め、ジャンプセクションではCAB900インディとBS720ウェドルを成功させて70.86ポイントを叩き出し2位につけるも、ローリー・ブルーアンとジャスミン・ベアードのカナダ勢に2本目で抜かれて4位に沈んだ。逆転を狙った2、3本目のセクション5のジャンプではBSダブルコーク1080を繰り出すも着地に嫌われてしまい、あと一歩のところで表彰台に届かなかった。
 
優勝はジュリア・マリノ(アメリカ)。ジブセクションではFSボードスライド270オフ、キャノンレールからのトランスファーFSリップスライド・フェイキーオフなど、ジャンプセクションではCABダブルアンダーフリップ900ウェドルとBS720メロンをメイクして78.36ポイントを1本目でマーク。そのまま逃げ切った格好だ。前回のマンモスマウンテン大会に続き、W杯スロープスタイル2連勝を飾った。

ローリーとジャスミンも含めて上位3名とも、セクション2でキャノンレールからトランスファーを決めており、そのセクションポイントで9ポイント前後を叩き出していた。両サイドに設置されたキャノンレールから、FS/BSを選択してフラットダウンレールのダウン部にトランスファーするため落差があり難易度が高いわけだが、男女ともにここが勝敗の分かれ道になっていたように感じた。

男子結果
1位 ダーシー・シャープ(カナダ)
2位 ダスティ・ヘンリクセン(アメリカ)
3位 キャメロン・スポルディング(カナダ)
4位 長谷川帝勝(日本)
12位 宮村結斗(日本)
22位 飛田流輝(日本)
32位 濱田海人(日本)
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女子結果
1位 ジュリア・マリノ(アメリカ)
2位 ローリー・ブルーアン(カナダ)
3位 ジャスミン・ビアード(カナダ)
4位 鬼塚 雅(日本)
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