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相澤亮が世代やレベル差をこえて再びシーンを盛り上げた「GEDO」なセッション
2022.10.17
さる10月8日、神奈川・スノーヴァ新横浜に全国各地から猛者たちが集結した。相澤亮の主宰で行われた「GEDO」である。「LAST JAM」「UZUMAKI」といったイベントで大成功を収めてきた勢いそのままに、キッズを含めた一般スノーボーダーから大会を中心に活動している競技者、撮影を生業にしている表現者に至るまで、年齢や肩書きなど関係なく、2022-23シーズンの開幕を告げるにふさわしい熱きセッションイベントと化した。
スノーヴァ新横浜や過去に存在した同系列の室内ゲレンデをご存知という方には説明不要だが、スペースはかなり限られている。しかし、岐阜から西日本のスノーボードシーンを支えてきた、今はなきスノーヴァ羽島で「コスっていないところはない」と語るほど室内ゲレンデで滑り込んできた亮。彼の創造力がスノーヴァ新横浜のポテンシャルを最大に引き出し、レベル差をこえて誰でも楽しめる特設コースを生み出したのだ。
ひと際目をひく「モンスター缶」セクションなどから始まり、コースサイドにはバンクとボックスを組み合わせた創造力を掻き立てる複合的なアイテムを用意。さらに、ハーフパイプとコースをセパレートしているハンドレールに当て込めるようにキックが設置されるなど、ライダーたちのクリエイティビティを刺激した。
「(UZUMAKIで)カズ(國母和宏)くんからコースのどこに“魅せ場”を作るか考えるキッカケをもらいましたし、ゴロウ(小松吾郎)さんからはアイテムの配置や数、アプローチのスピードを工夫して様々なレベルの人が楽しめるようなレイアウトを考えるということを教えてもらいました。GEDOのコースレイアウトを考えるときにも、先輩たちの影響は受けましたね」
このように振り返る亮。UZUMAKIで巻き起こした渦の中心にいたカズや、“掘り師”としてアサインした小松吾郎のアイデアに影響を受けてクリエイトされたコースは、セッションに参加していたライダー全員に等しく魅せ場を与え、楽しませた。
セッション後半には賞金をかけたライダーバトルが用意されており、参加ライダーたちはここぞとばかりに存在感をアピール。ハイクアップを繰り返しながらのセッションは、まるでスケートボードを見ているかのよう。トリックの難易度以上に、アグレッシブかつスタイリッシュさが求められている空気感が漂っていた。
否が応でも他人の滑りが目に飛び込んでくることもあってか、自然とプッシュし合い、会場のボルテージもそれに合わせるように徐々に上がっていく。段々と繰り出されるトリックの難易度が上がってくる中、拮抗を打ち破ったのは“8931(ハクサイ)”こと松下大知だった。
ライダーバトルはコース下部の変形ボックスとシングルレールで行われていたのだが、発想ひとつで異なる遊び方が生まれる。そのラインも亮が用意した魅せ場なのだろうが、上部からスピードをつけてアプローチすれば、角度がつけられたボックスからテイクオフし、レールへのトランスファーが可能な配置だったのだ。数度のトライで8931はトランスファーでの衝撃をものともせずにレールを抜ききり、このセクションを見事攻略した。
それに対する新進気鋭の山田悠翔も、同じくトランスファーで勝負に出た。8931よりも難易度の高いフロントサイド270オンで攻めるも、ややレールへの当て込みが浅かったように映った。
開催前に「滑る人以外も楽しめるように、観るもよし、飲むもよしと、みんなで集まれる空間にしたいと思っています」と亮本人が語っていたように、セッション終了後も盛り上がりは収まらない。亮とのジャンケンによる協賛品の争奪戦を、大人も子供も関係なく楽しんでいた。
相澤亮のスタイリッシュなラインを育み、様々なカルチャーが混ざり合う場でもあった室内ゲレンデは、現在、日本に2箇所(スノーヴァ新横浜、山梨・カムイみさか)を残すのみとなってしまった。日本のインドアシーンについて、亮は次のように思いを馳せる。
「去年なくなったスノーヴァ羽島(岐阜)が僕にとってそうだったように、室内ゲレンデはみんなにとっても貴重で大事な場所だと思うんです。インドアシーンを盛り上げるために、これ以上なくさないために、ライダーが滑りに来ることや発信していくこと、雪山に比べて難しいと思われているイメージを変えていく方法など、スタッフを含め関係者全体で考え行動していくべきだと思います。育ててもらったこの環境に少しでも恩返しをしていきたい。今回のGEDOが今の僕にできることのひとつです!」
自らを“GEDO(外道)”と称するメンツが作り上げた、「スノーボードを愛する者が集まって楽しむ」という“王道”なセッションイベント。セッションの熱を伝えるために、亮の専属フィルマーである”極楽坊主”こと大村優生が制作したオフィシャルムービーがリリースされている。参加できなかった方も、もう一度あの盛り上がりを感じたい者も、要チェックだ。
photos: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)