ビデオからDVDへ、近年ではYouTubeやInstagramでムービーが消費されるように時代が移り変わっていく過程において、多くのスノーボード映像プロダクションが制作活動を断念。そうした中、1997年からシーンに君臨し続けるプロダクションがABSINTHE FILMSである。
今作のテーマは、ヨーロッパのフリースタイルスノーボーディングにとって伝説の撮影スポットと化した「THE ZONE」について。英語の“THE”にあたるフランス語の冠詞が“LA”にあたるため、本作のタイトルにあるとおりだが、2000年代初頭に映像作家のデビッド・ブラディカが数人のスノーボーダーたちとともに、このポイントを発見。一般的には標高1,921mに位置する「Le Col de Cou」という、スイスとフランスの国境をまたぐ峠として知られているのだが、ティザー動画内でデビッドは次のように語っている。「オレたちはそれを秘密にしておくために“THE ZONE”と呼ぶことにしたんだ。誰にも見つからないように、自分たちのために」
さらに、デビッドはこう続ける。「ヨーロッパのフリースタイルスノーボーディングの歴史は、そこで作られた。そんな風に思っている」とも。
ABSINTHE FILMSが表現してきたバックカントリーフリースタイル黄金期は、このポイントとともにあった。スイス人ライダーのマット・スカエルは「バックカントリーの黄金期であるTHE ZONEは、もう二度と見ることができないだろう。今は主にスキーツアーのルートとして活用されている」としながらも、現在でも時々撮影を行っているようだ。「THE ZONEの物語はまだ書き続けられている。その1ページがめくられた」とは、ティザー動画を締めくくっているマットの言葉。
欧州フリースタイルスノーボーディングの歴史が紐解かれると同時に、新たなるストーリーが始まる。