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LAAX OPENハーフパイプはアメリカ勢が頂点に。平野歩夢と平岡卓はなぜ欠場?
2017.01.22
今季はFIS(国際スキー連盟)ワールドカップとして開催されている、欧州最高峰の大会として名高いLAAX OPEN。前日のスロープスタイルに続いて21日にハーフパイプの決勝が行われ、男子は大逆転でチェイス・ジョージー(アメリカ)が制した。女子はもはや敵なしといったクロエ・キム(アメリカ)が圧倒的な勝利を収める結果に。
冒頭でお伝えしておくと、今大会には前回大会の覇者である平野歩夢、そして平岡卓は出場していない。出場していた日本人ライダーは全員、決勝へ駒を進めることができなかった。
ひとり3本のランからベストポイントが採用される方式で行われ、2本目でスコッティ・ジェームス(オーストラリア)がメソッド→FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FS900→ダブルマックのようにも見えたBS1260を完璧に決め、96.5ポイントで首位に躍り出た。全体的に高さのあるルーティンを成功させていたので、ポイントからしても誰もが彼の優勝を疑わなかっただろう。

エアの高さが際立っていたスコッティのラン
しかし3本目を迎え、その時点で90.25ポイントで2位につけていたチェイスは、ダブルチャックフリップ→FSダブルコーク1080→スイッチ・ダブルクリップラー→スイッチ・ダブルチャックフリップ→CABダブルコーク1080と、4ヒット目をスイッチBS900からアップグレードさせて、97.75ポイントという驚異的なスコアをマーク。高難度なトリックを連発していただけに高さはそこまで出ていなかったものの、トリックの難易度に加えて独創的なルーティンが評価されたようだ。

ファーストヒットでダブルチャックフリップを繰り出すチェイス
セミファイナルを1位通過したソチ五輪金メダリストのイウーリ・ポドラチコフ(スイス)は3本目、メソッド→FS900→BS900→FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→ダブルアーリーウープ・チャックフリップとラストヒットに新技を繰り出すも、91.75ポイントで及ばず。

今大会の高すぎるポイントは、一番出走だったスイスのヤン・シェラーの1本目に起因しているような気がしてならない。CAB1080→ダブルクリップラー→BS900→BSアーリーウープ360→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1080を決めて88.75ポイントを獲得したのだが、エアの高さや技の難易度も踏まえ、少し得点が高すぎるように感じた。2、3本目ともに転倒してしまったため比較はできなかったのだが、これにより、チェイスとスコッティのポイントが跳ね上がったのではないかと推測する。
そして女子優勝のクロエは、メソッド→FS720→CAB540→スイッチBS540→CAB720で1本目に88.25ポイントをマークし、結果的にはこの得点を本人以外は誰も抜くことができなかった。2本目で2ヒット目をFS1080に変更して90.5ポイントを獲得しての優勝だったのだが、彼女のベストルーティンであるバックtoバック1080を出す必要もなく圧勝に終わった。

クロエのメソッドはレイト気味にトゥイークしていたので、実際にはもっと高く飛んでいた
2位には同じくアメリカのアリエル・ゴールドが食い込み、チャックフリップ→FS900→BS540→FS720→CAB720→クリップラーで86.5ポイントを獲得したのだが、チェイス同様にエアの高さが際立ったルーティンではなかった。このことからも、今大会は迫力あるルーティンよりもテクニカルが重視されているように感じた。オリンピックを統括するFISのジャッジング方式によるものだが、ハーフパイプの醍醐味はエアの高さにあるだけに、ライブキャストを観ていて腑に落ちなかったという人もいたのではないだろうか。

冒頭で述べたように、FISワールドカップとして開催された今大会。よって、SAJ(全日本スキー連盟)が選手の派遣を行っているわけだが、男子ハーフパイプの日本チームは例の未成年飲酒問題によって5人の強化指定が取り消されている。これにより、プロ活動を優先させるために辞退していた平野と平岡が強化指定に追加されるというニュースが年始早々に流れたばかりだ。平岡のSNSを見るかぎり、大会直前にはラークスを訪れていたことが投稿されている。しかし、彼らが出場することはなかった。
ピョンチャン五輪を翌年に控えた大切なシーズンにも関わらず、彼らが自らの意思で重要な大会を辞退するだろうか。SAJのホームページやJAPAN SNOWBOARD TEAMのFacebookなどを見るかぎり、そのことについては何も触れられていない。不可解ではあるが、両名ともに来週行われるX GAMESに招待ライダーとして参戦する予定なので、スロープスタイル&ビッグエアの角野も含め、コロラド州アスペンでの躍動を心待ちしたい。
ハーフパイプ結果
男子
1位 チェイス・ジョージー(アメリカ)
2位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
3位 イウーリ・ポドラチコフ(スイス)
4位 ヤン・シェラー(スイス)
5位 ベン・ファーガソン(アメリカ)
6位 ジャン・イーウェイ(中国)
FISオフィシャルリザルト
女子
1位 クロエ・キム(アメリカ)
2位 アリエル・ゴールド(アメリカ)
3位 ツァイ・シュートン(中国)
FISオフィシャルリザルト
photos: FIS SNOWBOARD WORLD CUP, LAAX
チェイス・ジョージーのベストラン
大会ハイライトムービー
チェイス・ジョージー&クロエ・キムのハイライトムービー
イウーリ・ポドラチコフの新技ダブルアーリーウープ・チャックフリップ
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