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五輪種目となるビッグエア世界頂上決戦「AIR + STYLE Beijing」大会レポ
2016.11.20
11月18、19日の2日間に渡って都市型ビッグエア大会「AIR + STYLE」が中国・北京で開催され、ノルウェーの17歳、マーカス・クリーブランドが初優勝を飾った。先日、イタリア・ミラノで行われたワールドカップ・ビッグエア大会に続いて今季2連勝となり、WORLD SNOWBOARD TOURのエリート(最上位)大会を通じても初優勝。クワッドコーク1800の成功や、キッカーのナックル部を利用した高回転スピンなど、映像を通じて大器の片鱗をのぞかせていた若手ライダーが、いよいよ大舞台でその真価を発揮した。
今大会のファイナルは、ひとり3本の試技のうちベスト2本の合計得点で争われており、8名がその舞台に進出。マーカスは1本目からバックサイド・トリプルコーク1440にステイルフィッシュを加えて88ポイントをマークして首位に踊り出るが、2本目のキャブ1440で転倒。2本目を終えた時点では、バックサイド・トリプルコーク1440とスイッチバックサイド・ダブルコーク1260を成功させていたダーシー・シャープ(カナダ)にリードを許していた。
しかし3本目、2本目と回転方向は同じだが難易度を上げたキャブ・トリプルコーク1620にメランコリーを加えてストンプ。筆者の推論になるが、この大技を成功させるための布石として、2本目のキャブ1440で調整を図っていたのではないだろうか。89.3ポイントを叩き出し、合計で177.3ポイントをマークして勝負を決めた。
2位には、1本目で十八番とも言えるバックサイド・トリプルコーク1440で転倒するも、2本目で同トリックを完璧にメイクすると、3本目でフロントサイド・トリプルコーク1440をミュートグラブでパーフェクトストンプしたセバスチャン・トータント(カナダ)が輝いた。セバスチャンの3本目のトリックが、今大会最高となる92.3ポイントを記録。3位には2本目までトップを死守していたダーシーが入り、カナダ勢が表彰台の両脇を固める結果となった。
昨シーズンにロサンゼルスで開催された同大会で大腿骨を骨折してしまったが、見事復活を遂げたトップランカー、マーク・マクモリス(カナダ)はまだ本調子ではなかったようで精彩を欠いてしまい、5位と涙を呑んだ。
いよいよWORLD SNOWBOARD TOURも開幕し、来シーズンのピョンチャン五輪から正式種目となるビッグエアの出場権を懸けた熾烈なるバトルが世界各地で繰り広げられる。今大会には、同大会の常勝ライダーである角野友基はケガのため出場できず、そのほかの日本人ライダーも出場していない。そのような状況下でファイナル進出者を見渡せば、8名中5名もカナダ勢が占めていた。加えて、今大会では予選敗退となってしまったが、もうひとりのビッグエア常勝ライダーとして名を馳せるマックス・パロットも同じくカナダである。カナダやノルウェーの独走を阻止するためにも、角野の復活を待ちたい。
大会結果
1st マーカス・クリーブランド(ノルウェー)
2nd セバスチャン・トータント(カナダ)
3rd ダーシー・シャープ(カナダ)
4th ローペ・トンテリ(フィンランド)
5th マーク・マクモリス(カナダ)
6th モンス・ロイズランド(ノルウェー)
7th アントワンヌ・トゥルション(カナダ)
8th マイケル・シサレリ(カナダ)
photo: AIR + STYLE