BACKSIDE (バックサイド)

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MOVIE

工藤洸平率いるNOMADIKが示す“継承”と“更新”。國母和宏を中心に『GYPSY II』が映し出すフリースタイルの今

2025.12.29

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試写会で大きな反響を呼んだNOMADIK(ノマディック)によるムービー『GYPSY II』が、ついに公開された。シーンを揺るがした前作『GYPSY』から3年。工藤洸平率いるNOMADIKクルーが、再びひとつの答えを提示する。
本作の中心にいるのは、國母和宏だ。そのカズと洸平、このふたりを軸に、大久保勇利、長澤颯飛、藤倉海人、嶋崎珀、村瀬心椛、浅谷純菜、柿本優空、SRUSH BOMB、渡辺雄太、村瀬由徠といった世代もスタイルも異なるライダーたちが集う。
ただの“チームムービー”ではない。NOMADIKが担っているのは、フリースタイルスノーボーディングというカルチャーを、次の世代へと手渡していくための場づくりだ。そこには上下関係でも、単なる横のつながりでもない、セッションを通じた継承のカタチがある。
年齢を重ねることで、カズや洸平のスタイルには確かな変化が見える。しかし、その爆発力は衰えるどころか、30代半ばを過ぎた今もなお、若い頃と同等か、それ以上の説得力を持っている。若手に背中で示しながら、その若手たちに突き上げられ、さらに更新されていく。その循環が、このクルーの強さだ。
約25分にわたって展開される『GYPSY II』には、厳冬期から春へと移ろうシーズンの流れとともに、フリースタイルスノーボーディングの最前線が刻まれている。バックカントリーからストリートまで、一枚の板で雪上を遊び尽くす。その姿勢は前作から変わらないが、表現は確実に深化している。NOMADIKが描いてきた“旅”と“自由”の世界観を、いまの時間軸で更新した記録だ。
『GYPSY II』は、完成された答えではない。むしろ、これからも続いていくセッションの、ひとつの通過点。
フリースタイルスノーボーディングが、どこへ向かっているのか。そのヒントは、この25分の中に確実に刻まれている。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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