K2 SNOWBOARDING（ケイツー スノーボーディング）が公開したムービー『TUMBLEWEED』は、派手な演出や過剰な編集に頼ることなく、バックカントリーというフィールドそのものの魅力をダイレクトに伝えてくれる映像作品である。
舞台となるのは、アメリカ・アイダホ州とユタ州、そしてカナダ・ブリティッシュコロンビア州。いずれもスノーボーダーにとっては馴染み深いエリアだが、本作では“名所”をなぞるような視点ではなく、自然の起伏や雪質と正面から向き合うライディングが積み重ねられていく。
名を連ねるライダー陣も強力だ。カーティス・シスゼック、パーカー・スモウスキー、ゲイブ・ファーガソン、ジェイク・クジック、ケネディ・デックといったK2グローバルチームを象徴するライダーたちが揃うなかで、日本人ライダーの佐藤亜耶が大きな存在感を放っている点も、本作を語るうえで欠かせない。
深いパウダーを美しく切り裂くラインどり。バックカントリーの地形を読み切ったスピードコントロール。
そして、フロントサイド360ステイルフィッシュなどで宙を舞うその姿は、グローバルチームに溶け込みながら、自分の滑りを確かに提示している点が印象的だ。
『TUMBLEWEED』の尺は8分あまり。多様なバックカントリーの地形を使い、無理に見せ場を作ることなく、自然な流れのなかで遊び続けるK2クルーの滑りが、高い没入感を生み出している。
トリックを誇示するでもなく、危険性を過剰に強調するでもない。ただ、そこにある雪と地形をどう楽しむか。その問いに対するひとつの答えが、この映像には記録されている。
本格的なシーズンを目前に控えた今、雪山へ向かうモチベーションを確実に引き上げてくれる。『TUMBLEWEED』は、そう断言できる一本である。

text: Daisuke Nogami（Chief Editor）