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アメリカに生きる日本人プロスノーボーダー 角野友基が大きな存在感を示す。主演作『AIRLOOM』を観る
2024.12.27
2020年に行われた「BURTON US OPEN」スロープスタイル優勝を最後にコンテストシーンから姿を消し、その後はアメリカに拠点を移して撮影活動に勤しんでいる角野友基。ワイオミング州ジャクソンホールに出自を持つキャム・フィッツパトリックとクーパー・ブランナムらと撮影クルー「THIS IS US IN」を形成しており、最新ムービー『AIRLOOM』が公開された。
英語力もスキルアップしていることだろうが、友基のライディングがさらに進化しているのがよくわかる。長きに渡り競技生活で培ってきた世界最高峰のトリックを繰り出せる技術と、トラビス・ライスのお膝元であるジャクソンホールを滑り込んで鍛え上げられた滑走力との融合だ。バックカントリーで天高く宙を舞いながら、スタイリッシュなスピントリックを連発している。加えてメソッドトゥイークなど、ライディングにおける表現力にも磨きがかかっているように感じた。
本作にはジャクソンホールを代表するレジェンド、ブライアン・イグチも出演している。カリフォルニアから移住するほどジャクソンホールに魅せられたイグチ、そうした地から輩出された超大物ライダーのトラビス、そして、その雪山を滑り込み進化を遂げた友基は、イグチとの共演を果たした。ちなみに本ムービーのタイトルであるAIRLOOMは、近しい発音のHEIRLOOMをもじったもので、意味は「(先祖伝来の)家宝」。イグチから友基へ──そういう意味合いもあるのだろう。
本場のスノーボードシーンの中枢に身を投じ、日本人プロスノーボーダーとしてアメリカに生きる男、Yuki Kadono。15分あまりの時間、彼の生き様を垣間見ていただきたい。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)