スノーボーダーと北極圏に生きる人々の共通項を探る雪の写真家『NEW SNOW PEOPLE』遠藤励

BACKSIDE (バックサイド)

BACKSIDE (バックサイド)

https://backside.jp/movie-2009/
38674

MOVIE

スノーボーダーと北極圏に生きる人々の共通項を探る雪の写真家『NEW SNOW PEOPLE』遠藤励

2024.12.17

  • facebook
  • twitter
  • google

長野・大町に生まれ育ち、90年代後半から独学でスノーボーダーの撮影をスタート。白馬のライダーやロケーションを中心に多くの作品を世に放ち、筆者が以前に勤めていた今はなき大手スノーボード専門メディア時代からこれまで、数え切れないほどの写真を誌面に掲載させていただいた。inner focusこと、遠藤励である。
2015年に自身の写真集「inner focus」を小学館から刊行すると、2017年よりもうひとつの顔「POLAR EXPOSURE」として北極圏の民族を撮り始めた。2023年には自主制作で「MIAGGOORTOQ」を発表。2024年には日本写真協会新人賞を、さらに、女性報道写真家の先駆けである笹本恒子写真賞をも受賞するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこのことだ。
inner focusとは、表面的な写真としての記録ではなく、被写体の内面にあるものにフォーカスするということ。遠藤の写真を観ていると、ライディングもポートレートも活きていて、メッセージ性が非常に強い。だからこそ世界中のスノーボーダーたちが彼のもとを訪れ、毎シーズン、シューティングに明け暮れているのだ。
アメリカのメディア「THE SNOWBOARDER’S JOURNAL」は昨シーズン、ブレア・ハベニットとマリー・ランドとともに白馬を訪れた。もちろん、お目当ては遠藤とのシューティングセッション。その様子が本記事で紹介するムービーに収めらている。
POLAR EXPOSUREとは、イヌイットと呼ばれる北極圏に住む雪の民を追うプロジェクトであると前置きしたうえで、彼らの狩猟生活は自然のサイクルに従っていて、スノーボーダーと同じだと遠藤は映像内で言い切っている。その例え話として、ストームが襲来してフレッシュパウダーが降るとトラックがリセットされ、スノーボーダーたちはその斜面を追い求める。北極ではポーラーベアの足跡が見えるようになり、それを追って狩りをする。スノーボーダーと同じストームサイクルでイヌイットも存在しているのだと、遠藤は力強く語る。
ブレアやマリーのライディングとともに、彼の美学と雪とともに生きる先住民とスノーボーダーの類似点について思いを巡らせてみてはどうだろう。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

RECOMMENDED POSTS

S