コンテストで勝つためには回転数を求めなければならず、その数が増えれば増えるほど難易度が高まるため、画一的な回し方やグラブになりやすい。そのため、フリースタイルスノーボーディングでもっとも大切な価値観とされてきた“個性”が失われやすい傾向にあることは、想像に難くないだろう。
こうした時代だからこそ、彼の存在価値は高まるいっぽうなのだろう。バックカントリーでもストリートでもなく、コンテストと同じくスノーパークやハーフパイプを主戦場とし、繰り出すトリックは大会では決して観ることができないものばかり。個性と意外性と創造性をいかんなく発揮する、ゼブ・パウエルだ。
彼が昨シーズン残した、クリエイティビティあふれる数々のトリックたちをご覧いただきたい。スピンの回転数や技の難易度ではなく、ゼブがいかにフリースタイルスノーボーディングを楽しんでいるか──これに尽きるムービーだから。