MOVIE
レッド&ベンが表現するオリンピック金メダルの先にあるフリースタイルの本質
2023.11.28
平昌五輪スロープスタイル金メダリストのレッド・ジェラードと、同五輪ハーフパイプで4位と惜しくもメダルを逃すも、昨シーズン『FLEETING TIME』で主演を務めるなどバックカントリーフリースタイルシーンで活躍しているベン・ファーガソンのふたりが主役を務める映像作品『SHORT & SWEET』が公開されている。レッドの兄で映像作家のマラキ・ジェラードが本作を手掛けた。
アメリカ・アラスカ州バルディーズとカナダ・ブリティッシュコロンビア州ウィスラーの、いわゆるバックカントリーの聖地で撮影されたこの作品は、レッドとベンを中心に、マイキー・シサレリ、ブロック・クラウチ、ショーン・フィッツシモンズ、ヘイリー・ラングランド、ベンの弟であるゲイブ、そして、我らが片山來夢らをフィーチャー。レッド同様に現役コンペティターである傍らで、もしくはベンと同じく競技の世界からは身を引いているが、みながコンペティションを十二分に経験したうえでバックカントリーフリースタイルの世界に身を投じている、競技者と表現者を両立させてきたライダーたちだ。そこに、ミッケル・バングとマイキー・レンツという競技生活には早々と見切りをつけ、表現者として生きてきたライダーたちが交わっている。
レッドは北京五輪でスロープスタイル4位、ビッグエア5位とあと一歩のところでメダルは逃したものの、コンテストの第一線で活躍するいっぽうで、17歳で金メダルを手繰り寄せてからすぐにバックカントリーフリースタイルの世界に足を踏み入れた。年々、その活動は本格化している。オリンピックで頂点に立つために一年中トリックの練習に勤しむライダーたちが世界中にあふれる中、そうした生粋のコンペティターたちと肩を並べたうえで、このようにバックカントリーで映像を介して自己表現しているわけだ。
オリンピックの金メダル以上に価値がある、フリースタイルスノーボーディングの本質をジェラード兄弟の作品から感じとってほしい。