BACKSIDE (バックサイド)

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MOVIE

父の死と向き合いより深くスノーボードに生きるNZのオリンピアンであり表現者の物語

2023.09.29

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ニュージーランド・クライストチャーチに出自を持つ26歳のカルロス・ガルシア・ナイト。平昌五輪の予選ではスロープスタイル2位、ビッグエアでトップ通過を果たし2種目ともに決勝へコマを進めるなど、世界中にその名を轟かせた。その後、2020年2月を最後に競技シーンから姿を消すと、元来から定評のあったスタイリッシュなライディングを武器に、表現者として映像制作の道を歩み始めていた。
しかし、2022年6月に父親を亡くしたカルロス。映像内で語っているように、多くの時間を父と過ごした。すると、同じく父をガンで亡くしているオーストラリア出身のスケートボードフィルマー、32歳のイズライル・ブリンスドンがカルロスにコンタクトをとり、本記事で紹介する作品『NOW IS NOT A GOOD TIME』を制作する運びとなった。イズライルはカルロスのファンで、より深いスノーボードムービーを作りたいと考えていたのだ。
昨シーズン、彼らの姿は北海道にあった。カルロスのライディングスタイルは90年代後半のスノーボーダーたちと同じニオイがするという観点から、デジタルではなくすべて16mmフィルムで撮影。当時の作風を目指した。
映像内でカルロスが語っている言葉に耳を傾けてほしい。以下に翻訳を記すので、ご一読いただいたうえで映像をご覧いただきたい。
 
「子供の頃からスノーボードのビデオを観ていたんだ。幼い頃から競争心が強かったから、大会に出たいと思っていた。プレッシャーはあったし、そのプレッシャーの多くは自分から生まれるものではなかった。ただ、純粋にスノーボードがしたかったんだ。コンペティションに出るためにはとても時間がかかるし、エネルギーも必要だった。でもあるとき、それを横に押しやり、クリエイティブにスノーボードを捉えることができるようなやり方で、スノーボードを違った側面から探求する機会があったんだ。そのときから、オレの中で何かが動き始めたんだと思う。
言わないほうがいい。たぶんね。昨年、父が1年半の脳腫瘍との闘病の末に亡くなったから、大変な年だった。僕は基本的に半年間、父とスペインで過ごした。ニュージーランドでの撮影が始まってから、初めて自由を取り戻せたと思う。それまでは、何かにエネルギーを注ぐことに必死だったから。
スノーボードって、人と競うためのものじゃないと思うんだ。スノーボードについて人に答えなければならないのではなく、自分が決めるんだ。それは、自分が正しいことをやっているという安心感のようなものなのさ」
 
よりディープにスノーボードとともに生きていく、カルロスのこれからの活動にも注視していきたい。

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