MOVIE
五輪金メダリストで表現者のレッド・ジェラード自ら編集した渾身のビデオパート
2023.07.19
昨秋公開された、ベン・ファーガソンが主演・監督を務める映像作品『FLEETING TIME』は記憶に新しいだろう。同作品にはベンの仲間であるトップライダーたちが名を連ねているわけだが、そのひとり、平昌五輪スロープスタイル金メダリストであり、コンテストと並行してバックカントリーを中心としたシューティングにも精を出しているレッド・ジェラードのフルパートが公開された。
FLEETING TIMEからレッドのビデオパートを抜き出した格好ではなく、同作品で撮影された未公開フッテージも含めて彼自身が編集し、新たな作品としてドロップ。FLEETING TIMEをすでに観たという読者も多いことかと思うが、まったくの別物として楽しめる。
レッドはこのオフシーズンに23歳になったばかりということもあり、バックカントリー撮影の経験値はほかのトップライダーたちと比べたら少ないほうだろう。しかし、飛びやすく整備されたチーズエッジ(キッカー)からのジャンプばかりでなく、手つかずのナチュラルヒットからテイクオフしているシーンも収録されており、バックカントリーフリースタイルにおいても着実にスキルアップしていることが理解できる。
とは言え、アイキャッチ画像に採用しているのだが、ラストに収録されたクリフから飛び出すFS720テールのシーンはインパクト大だ。映像を観ればわかるのだが、念のために説明しておくと、アイキャッチ画像の左上にキックがあるのがわかるだろう。ランディングエリアはこの画には写っていない。アプローチが整備されているとはいえ、そのスピードやジャンプの軌道と落差を鑑みれば、このフッテージのヤバさがきっと伝わるはずだ。
ソチ五輪スロープスタイル金メダリストのセージ・コッツェンバーグもそうだが、オリンピックで頂点に輝いた後に映像表現者として、スノーボードの本質を追究している姿勢に敬意を表したい。