BACKSIDE (バックサイド)

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MOVIE

フリースタイルシーンを生み出したSIMSが完全復活を告げる映像作品『QUASIMODO』

2021.12.30

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ベテランのスノーボーダーたちにとっては懐かしさを感じながらも、最先端のフリースタイルアクションを拝むことができる。ライディングレベルはそのままに、フリースタイルスノーボーディングが確立した90年代にタイムスリップしたような感覚に陥るのは、きっと筆者だけではないはずだ。
1963年、SIMS SNOWBOARDS(シムス スノーボード)創業者のトム・シムスは13歳のときに、雪上でのスケートボードを想像してスキーボードなるものを木工の授業で製作。1970年代に入ると世界同時多発的に雪上での横乗りが産声をあげるわけだが、そのほとんどはサーフィンからインスパイアされたものだった。だが唯一、トムだけはスケートボードがバックグラウンドにあったのだ。
1976年にSIMSを立ち上げると、1983年に世界初となるハーフパイプ大会を開催するなど、レースと共存していたフリースタイルシーンをSIMSが大きく前進させることに。往年のスノーボーダーであればSIMSのブランド価値を理解していることだろう。
その後、2012年にトムが他界するとSIMSは迷走した。紆余曲折を経て2019年、トムの誕生日にあたる12月6日に新生SIMSが誕生。そこには、日本から布施忠と佐藤秀平が名を連ね、ジョン・ジャクソン、キーガン・バライカ、スコット・ブラム、コディ・ウォーブルら6名が初期メンバーに選ばれた。そこに、ニック・バーデン、ブレア・ハベニット、マーティン・バションが加わり、シーンから一目置かれるチームが完成。2シーズンに渡り撮影が行われた。
近年、プロスノーボーダーたちの滑りは極限にまで達し、カテゴライズ化が余儀なくされているような気がしてならない。バックカントリーに特化、はたまたストリートに限定された作品があふれている。それは、ひとつのジャンルに絞らなければ、最先端のレベルで通用する滑りを表現することが困難だから。
しかし、SIMSが贈る『QUASIMODO』は全フリースタイルが表現されていると言って過言ではない。だからこそ、90年代当時のニオイがするのだろう。フィールドを問わず、冬から春へと移りゆく季節の流れに合わせるようにライディングを楽しんでいるフッテージが凝縮されている。
能書きが長くなってしまったが、腰を据えてご覧いただきたい。およそ40分間、フリースタイルスノーボーディングの原点であり、現在進行形を感じてほしい。

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