MOVIE
裏山・街中・大会問わず己を表現するクールなアラサーライダーたち『RUMBLE』
2021.12.15
ライディングレベルが高まり続けていることに比例するようにして、そのライディングスタイルのカテゴライズ化が著しい昨今。コンテストで上位を狙うのであれば四六時中ニュートリックの修得に励む必要があり、バックカントリーで命を落とす危険性と隣合わせの状況で人々に感動を与えるフッテージを残そうとすれば、ストリートで撮影に精を出す時間の確保は難しい。その逆も然りである。
そうした中、回転数を競い合うコンテストシーンには多くの若手ライダーが台頭しているわけだが、大会も含めたすべてのジャンルで己を表現する稀有なアラサーライダーのふたりが本記事の主役たち。ともにノルウェーに出自を持つステール・サンドベックとトルゲイル・バーグレムだ。ステールは言わずと知れたソチ五輪スロープスタイル銀メダリスト、トルゲイルは平昌五輪に出場しビッグエア7位、スロープスタイル8位とトップランカーとして名を馳せ、今なおコンテストを転戦し続けている。
そんな彼らがバックカントリーはもちろん、ストリートにも繰り出し、コロナ禍の2021年冬に地元ノルウェー、スイス、アメリカで撮影を行った。コンテストで培われた高難度なトリックを操る技術と、それと並行して行ってきた撮影での経験値が掛け合わさった見事なフッテージが多く散りばめられている。前述したことを踏まえて彼らのライディングを観ることで、きっとスノーボード観が広がることだろう。
少しだけ余談をさせてほしい。往年のスノーボーダーであればご存知のはず。アメリカでの撮影時に伝説のチーム、FORUMの一員として名を馳せた現在45歳のチャド・オッターストロムがカメラを片手に参加。撮影の合間を見て自らもバックカントリーキックから宙を舞い、見事バックサイド・ダブルコーク1080を完璧に決めているのだ。
ジャンルにとらわれるなんてもったいない。競技に対して一線を引くのもおかしい。そして、スノーボードの遊び方は無限大。そんなメッセージが彼らの滑りから伝わってくる。