MOVIE
バックカントリーを攻めながら表彰台に立てる稀有な男。スヴェン・ソーグレン『INNER CIRCLE』
2021.10.08
近年の競技レベルを鑑みると、オン/オフスノー問わず一年中トリックの習得に時間を費やさなければ勝つことが難しい。スノーボードがオリンピック種目化してから23年の月日が流れ、その間絶えずトリックが進化し続けたことで、現在のビッグエアでは5回転以上のスピンが複数ないと表彰台に上れない時代だ。
ゆえに、ひと昔前のようにライディングスタイルに重きを置くムービーの撮影活動と並行してコンテストを転戦することが困難を極める中、世界トップランカーとして名を連ねるスヴェン・ソーグレンがビデオパートを所属ブランドのSALOMON(サロモン)からリリースした。昨シーズンはX GAMESとFISワールドカップのビッグエアで2位と表彰台を射止めるなど、コロナ禍にありながら8大会に出場。翌シーズンにオリンピックを控える大切な時期に、地元スウェーデン・リクスグレンセンのバックカントリーで撮影は敢行された。
スノーモービルの後部座席に乗ってスタートエリアまで搬送される大会とは異なり、運転が難しい新雪を切り裂きながら自ら撮影ポイントのアプローチ地点に立つスヴェン。キックを利用した巨大ジャンプや、ナチュラルヒットを活かした落差のあるダウン系ジャンプ、さらにクォーターパイプなど様々な地形を攻める姿は勇ましい。そして、競技者だからこそ操れるトリプルコーク1440などの高難度トリックをバックカントリーで繰り出すこともできる。スヴェンはスノーボードの本質であるスタイルを重んじた表現者として映像を発信しながら、アスリートとしてトリックの進化が絶えず求められるコンテストで勝つことができる、世界中探してもひと握りしか存在しないライダーのひとりである。
こうしたバックグラウンドをご理解いただいたうえで、彼が表現するフリースタイルスノーボーディングを観て、感じてほしい。