アメリカ中西部、ミッドウエストと称される地域は丘陵地帯。山がないためスノーボードを楽しむエリアとして一般的ではないが、ウィスコンシン州に位置する標高360m、最長滑走距離760m程度しかないトロールハーゲンでは、スノーボーダーたちがロープトゥを利用してパークライディングに興じながら切磋琢磨を繰り返している。
決して恵まれた環境ではないからこそ、彼らは独創的なラインを見極めるスキルを身につけることができたのかもしれない。そうした中からクリエイティビティなライディングスタイルが生まれ、それらをストリートにトレースする個性的なスノーボーダーたちが輩出されてきた。
そのひとり、ベニー・マイラムが本記事の主役だ。真夏のトロールハーゲンの森に、ボード数本程度の幅しかないコースを雪で造り、丸太で作られたジブセクションやジャンプセクションを攻略していく。ショートターンすらできない超細長いオンスノー上で巧みなエッジコントロールを駆使し、鍛え上げられた創造力あふれるライディングスタイルを遺憾なく発揮するベニー。見応え抜群のムービー『ENCHANTED FOREST（魔法の森）』が完成した。
さすがはRed Bull作品といったわけだが、この撮影は5日間かけて1日3ラン程度のペースで行われていたようだ。その理由は、トロールハーゲンの日陰に保存していた雪を毎日トラックに積み込んで運搬し、現場作業用の一輪車（ねこ車）で森の中まで運ぶという、気の遠くなる作業が数時間に渡って行われていたからだ。
ベニーのライディングスキルとスタッフの努力の賜物であるユニークな本作品。早速再生せよ。