昨年4月、ひとりの小学生が「アマチュア動画投稿」企画に殴り込みをかけてきた。撮影時は小学3年生だった当時9歳の北山博仁（はくと）を覚えているだろうか。詳細はこちらの記事でご確認いただきたいが、BS720を完璧に操り、低回転スピンをスタイリッシュに繰り出すなど、年齢を凌駕するライディングスタイルが印象的だった。
そんな北山少年は現在小学5年なので、4年時に撮影されたビデオパートが父・正樹さんから送られてきたので早速チェックすると、その成長幅は想定以上。すべてがパーフェクトとは言い難いが、全方向900を成功させている。その中でも特筆すべきは、得意としているBSスピンだ。しっかりと回転軸をコントロールできており、なんと1080を完璧に操るのだ。
さらに言えば、BS900→CAB900やCAB720→スイッチBS720のコンボも成功させている。難易度の高いトリックにも関わらず、“点”ではなく“線”で考えて練習しているのだ。ここ日本は全国に点在するジャンプ施設で通年練習できる好環境を有するためビッグエア大国と言えるが、キッズ時代からこうした練習を重ねていくことで、ビッグエアだけでなくスロープスタイルでも強くなることだろう。
アンダーフリップやバックフリップなども持ち技として追加されており、その急成長ぶりに驚かされる。乾いたスポンジが水を吸うかのごとく多くのことを吸収しているスーパーキッズは、3月に行われたJSBA（日本スノーボード協会）主催の全日本選手権スロープスタイルU-18を制した。
2学年上に10歳の時点でBSダブルコーク1080を成功させた井口和友がいる。また、イタリアが生んだ“スノーボードの未来”と称されるニコ・ボンディは同じく10歳。気は早いが、2026年にイタリアで開催される冬季五輪スロープスタイル＆ビッグエアでどこまでメダル争いに食い込めるか、彼らの進化を見守っていきたい。