北極圏に位置するノルウェー領の群島・スヴァールバル諸島でのライディングに挑むアンティ・アウティとエンニ・ルカヤルビを追ったムービー『SVALBARD UNPLUGGED』をお届けしたい。フィンランドに出自を持つ男女のトッププロたちの内面に迫ったドキュメンタリー作品である。
X GAMESやオリンピックなどで活躍しフリースタイルスキルを培った後、幾多の山々を滑りフリーライディングの豊富な経験を積んできた彼らでさえ、未開の地への挑戦は緊張感を高める。
現代のデジタル社会や過度なノイズから解放され、北極圏の急峻な山をいかに自由に滑るか。それだけに集中していく過程において、彼らは何を考えるのか。
「いつも夢を追い続けているけど、それは常に失敗するリスクを秘めている。自由を求めるためには、自分自身と自らを取り囲む環境について知る必要があるんだ。ここでは、孤独と自然の力に支配されているように感じてならない。すべて成功するには、フィジカルとメンタルの両方を犠牲にする必要があるから。たとえ1本のラインが完璧だったとしても、そのトリップは決して計画通りには進まない。結局は、成り行きにまかせることになる」
アンティは冒頭で、大自然と向き合うスノーボーディングの難しさについてこのように言及している。
恐怖心も入り交じる複雑な心境で挑み、そのうえで自らが望んだラインを描くことができたときの気持ちを、エンニは次のような言葉で表現した。
「すべてを出し切ったときは思考力を使い果たすことができる。でも回復したとき、再び新しいことにチャレンジしたいという強い衝動に駆られるの」
スノーボーダーの飽くなき探究心が可能性を大きく広げ、スノーボーディングの発展に貢献しているのだ。彼らの終わりなき旅はこれからも続いていく。