BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

【連載Vol.2】小西隆文が斑尾のツリーランコース「SAWA」を心ゆくまで冒険する

2024.02.20

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国内外で撮影されたバックカントリーライディングのフッテージを数多く収録し、現在まで17作品をリリースしてきた映像プロダクション・HEART FILMS。その主軸ライダーであり世界の山々を滑り込んできた小西隆文が、今年2月某日、長野・飯山と新潟・妙高をまたぐ位置に存在する斑尾(まだらお)マウンテンリゾートを訪れた。

今回のお目当ては、限りなく自然に近い状態が残されつつも、整備が行き届いていることで有名な斑尾のツリーラン。そのなかでもファンが多い「SAWA」コースだ。暖冬少雪と言われる23-24シーズンでも面白い冒険心くすぐるツリーランと、無限のR地形からなるこのコースを遊び尽くした小西いわく、SAWAはスノーボードが上達する要素に溢れているとのこと。今シーズンからさらなるパワーアップを果たした、SAWAが秘める魅力とは。
 

アップデートされた魅惑のSAWAコース

ボトムからスーパークワッドリフトで中腹まで上がり、ライダーズレフト側に伸びるトラバースコースへ。コース幅が広くカービングが楽しいクリスタルコースを堪能したのち、第15リフトに乗車すれば、タングラム斑尾との境目にあるSAWAへのドロップポイントはもうすぐそこだ。その名のとおりナチュラルパイプのような沢地形が続くこの場所には、全部で3本の沢筋が存在する。昨シーズンまではそのうちの2本が「SAWA I」「SAWA II」としてオープンしていたのだが、23-24シーズンから3本目も「SAWA III」として開放された。
 

第15リフトを降り、写真右側のコースへ
photo: Yuto Nishimura (HANGOUT COMPANY)

 

その先に出てくる分かれ道を左に進んでスカイビューコースに入ればSAWA IとIII、右へ進んでスカイラブコースに入ればSAWA IIのドロップポイントが見えてくる。入り口は設定されているものの、ツリーへはどこから入ってもOKだ
photo: Yuto Nishimura (HANGOUT COMPANY)

 
2009年から開拓が始まった斑尾のツリーランコースはこれで全12コースとなり、それぞれが異なったコンセプトを持つ。なかでもSAWAは「パウダーがなくても楽しむことができるコース」として開拓が進んだエリア(詳しくはこちら)だ。たとえ新雪が溜まっていなくとも、地形に沿って雪が積もったナチュラルパイプでは3Dにラインをとってライディングを楽しむことができる。当て込んでくれと言わんばかりのバンクや、飛べそうなヒットポイントが無数に存在しているのだ。

また沢筋が3本あるということは、言わずもがな、その間には2本の尾根がある。コースにドロップしてすぐにボトムへ向かうのではなく、ノートラックの斜面を探しながら尾根沿いにコースを進み、ツリーの間に自由なラインを刻むことだってできるわけだ。それぞれ特徴がある3本の沢筋がすべて開放されたことによって、これまで以上に遊び方の自由度が上がったSAWA。世界中の山を知る小西は、このエリアをどう楽しんだのか。彼のクリエイティビティ溢れるライディングとともに、それぞれのコースの特徴を紹介しよう。


3本のSAWAそれぞれの攻略術

最後の降雪から少なくとも3日が経っており、ノートラックの斜面は期待できそうにない。小西が斑尾を訪れたのはそんなコンディションの日だった。とはいえ、そこは日本を代表するフリーライダー。今シーズンから新しくオープンしたSAWA IIIへとドロップしていった小西は、わずかに残っていたノートラックの斜面を探し当て、見事にスプレーを巻き上げた。

「パウダー、残っていましたね。(SAWA IIIでは)尾根が前に伸びているような感じで、ゲレンデのコース内ではあまり見ない地形でした。だからこそ尾根沿いに進んでいけば、いくつかいいポイントを見つけることができたんです。パウダーハントのような雰囲気で楽しむことができました」

太陽光を浴びにくいツリーランコースだからこそ、適度に水分を含んだ極上パウダー「MADAPOW」が長く維持されるのだろう。SAWAコースは残パウ狙いでも楽しめるわけだ。
 

今シーズンから開放されるエリアが広がった影響なのか、パウダー競争率は低いのかもしれない

 

ご褒美パウダーを引き当て笑顔の小西は、続いてSAWA Iへとドロップ。こちらはSAWAのなかでも一番長い沢筋があるコースで、ボトムには数々のヒットポイントが存在する。多くの映像作品で観ることができる彼の独自性が強いラインを見ればおわかりかと思うが、目の前の斜面を余すことなく遊び尽くすのが小西流。この日もヒットポイントでは己のスタイル全開のフリースタイルアクションを繰り出し、流麗なボトムターンでポイント同士をつなぎ続けていた。


「いい感じの沢地形がここまで長く続くポイントは、国内ではなかなかないですね。上から下までしっかりGを感じながら滑り切ることができれば、めちゃくちゃ楽しいと思います。沢地形を楽しむコツは、縦気味のラインで壁に入って、スピードがあるうちにエッジを切り替えて下りてくること。ボトムで潰されてしまうとスピードがなくなるので、低い姿勢でボトムを滑れるとなおいいですね。上手くいけばスピードを維持したまま、Gを感じながら滑り続けることができます。SAWA IIIに比べると壁も立っていて、トリックを仕掛けられるポイントも多かったので、上手く攻略できれば楽しいコースだと思います」


上手く滑り切るにはテクニックが必要だが、多様なヒットポイントでフリースタイルを楽しむにはうってつけのコース。SAWA Iが一番人気であることにも納得がいく。
 

自身のコメントにもあるとおり、立っている壁が多いSAWA Iでお手本のようなハンドプラントを披露した

 

「最後に入ったSAWA IIに、今年はスネークみたいに左右に振られる地形があって。バンクドスラロームみたいですごく面白かったですね。沢地形はいろいろなRの組み合わせなので、とりたいラインによって踏み方を調整するのが大切です」


スカイラブコース側からアクセスするSAWA IIは、ほかのSAWAと比べてもボトム部分が広いポイントが多い。スカイラブからライダーズレフトの森を覗き込めばその全景もつかめるため、SAWAデビューにはもってこいのコースだ。ただし沢筋に沿って進みすぎると、コース復帰が難しくなってしまうので注意が必要。出口付近まで進んだら、ライダーズレフトに用意されたフラットなトラバースラインを伝って、第11リフトの乗り場に向かおう。
 

多様なラインで遊べるSAWA。いかにスピードに乗せて滑り切れるかが、このコース攻略のカギを握る

 


SAWAを滑り込めばスノーボードが上手くなる

斑尾のすべてのツリーランコースでは、夏季に滑走者の目線で木々の間伐が行われている。それゆえリアルな森の姿は留めながらも、ラインどりの自由度が非常に高いことが特徴だ。自然地形を自由に冒険したいスノーボーダーにとっては、最高の遊び場だろう。


「ツリーランでは木々の間を縫って自分でラインを決める必要があります。目の前のこの斜面を止まらずにスムースに滑り切るために、どんなラインをつなぐべきか。そう考えながら滑れば、自然とボードコントロールスキルとラインを見る目が養えると思います」
 

タイトなツリーの間にノートラックのフレッシュスノーを見つけ、スピードをつけて飛び込んだ小西。脳内でヒットポイントまでのラインをつなぎ、イメージどおりに滑れたときの喜びはひとしおだ

 

雪山の冒険を楽しみながらスノーボードの上達に必要なスキルを磨くことができるツリーランコースだが、SAWAにはツリーに加えて、様々なR地形が複雑に絡み合って存在している。フリースタイルアクションには欠かせないR地形の攻略も無限に楽しめるわけだ。そのなかにヒットポイントが無数に隠れているため、小西も満足感が高かったようだ。その様子はいわば「フリーライディング道場」。


「SAWAには遊べるR地形がたくさんあります。さっきのツリーランと一緒で、自分が滑りたいポイント同士をどうやってつなげば気持ちよく滑ることができるか。それを考えながらライディングできれば、スノーボードの上達につながるかもしれません。SAWA Iは特に長いので、上から覗き見るだけでは先の地形まではわからない。刻々と状況が変わっていく目の前のコースに、自分の滑りを合わせられるかどうかも大切ですね」
 

連続するR地形をどう攻略するかはあなた次第だ。写真で小西の背を追いかけるように滑っているのは、この日一緒に滑っていた息子の蒼生(あおい)くん。小西親子のライディングの様子は、連載Vol.3でお届けする

 

ラインの自由度が高いがゆえに、ツリーランとR地形を心ゆくまで堪能できるSAWA。ぜひとも「ラインをつなぐ」という意識を持ったうえでドロップしてみてほしい。縦横無尽にSAWAを楽しめるようになる頃には、スノーボードのスキルが数段上がっているはずだ。

photos: ZIZO=KAZU
text: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)

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