BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

【連載Vol.2】丸山隼人流「斑尾高原」の楽しみ方〈前編〉

2023.03.02

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2日続けて積雪があった2023年1月のある日。朝8時、丸山隼人と塚田隆弘と斑尾高原のボトムにあるレストハウスで合流した。挨拶や世間話はそこそこに、すぐにその日の流れを擦り合わせる。リフトのファーストチェアの時間が迫ってきていたからだ。果たして、MADA POWの質は? 斑尾のツリーランの実力やいかに。

まずはMADA POWを堪能

時計の針は8時15分を指した。スーパークワッドリフトの営業開始を狙って、レストハウスから移動を開始する一行。

「いつもはリフトの運行開始時刻を待って、『よーい、ドン』でパウダーを狙うっていうスタイルじゃないんですけどね。ただ、今日はせっかくだからワールドカップコースのオープンバーンのノートラックを狙ってみようかな、と。リフトも一番乗りでしたしね。もしスーパークワッドリフトに人がすごく並んでいたら、第2クワッドリフトで面ツルのグルーミングを滑りに行ったりもします。そうこうしているうちに、ゲレンデトップに向かうリフトがオープンしますし、そこからでもパウダーは狙えますから」
 
北斜面が多い斑尾は、朝イチでなくてもパウダーを楽しめる。丸山たちからは、そんな心の余裕を感じられた。
 
ワールドカップの上部に到着すると、前日のパウダーが喰われた上に、30cmほどのフレッシュパウダーが積もっているコンディション。ややバンピーではあったものの、ボードを踏んでも弾かれることはなさそうだ。それを確認した丸山と塚田は、コース中央部ではなく、コースサイドへと迷わず向かっていく。よく目を凝らせば、コース脇にはいくつかのバンク形状があるからだ。ふたりは軽やかな身体の動きと正確無比なボードコントロール、自然地形に合わせたラインどりで、巨大なスプレーを舞い上げながら滑り下りていった。

 

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前日にワールドカップのバーンは少し荒らされていたものの、塚田はモノともせずフレッシュパウダーを勢いよく舞い上げた

 

パウダーが残っている面を狙って何本か滑っていると、上部へと向かう第3リフトがオープン。そして、ありがたいことにジャイアントコースでもノートラックを駆け抜けることができた。ほどよくドライで踏み応えがあり、ボードをコントロールしやすいパウダースノー。自分が上手くなったのかと錯覚を抱くような雪質だった。

 

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ジャイアントコースの上部で雪飛沫と戯れる丸山

 

丸山と塚田のふたりはハイスピードのパウターンをしたかと思うと、あちこちでフリースタイルに遊びまくっている。まさに縦横無尽という言葉がふさわしい。

 

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パウダーでもフリースタイル魂は全開。塚田によるパウダージブ

 

「コース内にはうねりや起伏がありますし、たとえコース上部から見えるバンクが荒らされていても、大きく横に振って滑りながらその先や裏側まで見ると、地形とフレッシュな面が続いていたりします。ターンを楽しみつつ少しラインを変えることで違った当て込み方、遊び方ができたりもしますよ。斑尾は私たちのそうした滑り方にマッチした地形が豊富なんです」

 

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コース脇のノートラックを丸山はリラックススタイルで味わった

 

オープンバーンでパウダーを堪能し、コース脇のバンクや地形と戯れ、そのまま迂回路などのギャップでジャンプを繰り出す。トップ・トゥ・ボトムでヒットポイントを繋げて遊ぶからスノーボードは面白いし、奥深いということを教わったような気がした。そして、そんな滑り方を斑尾はさせてくれる場所だ。

 

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絶景のアングルを発見したカメラマンのリクエストに、塚田は120%のライディングで応えた

 

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迂回路のギャップを利用したインディ。丸山の色褪せないスタイルに撮影クルーの誰もが感動した

 

いざ魅惑のツリーランコースへ

オープンバーンやコース脇のパウダーがギタギタになってきたところで、斑尾のなかでも丸山がお気に入りだというツリーランコースへと向かうことに。ナチュラルパイプのような沢地形が続くエリア、SAWAだ。

「ツリーランはパウダーコンディションがベストだけど、SAWAの場合は中途半端な降雪直後よりも、人が入ってボトムやトランジションが滑りならされた午後や降雪翌日以降のほうが実は面白いんですよ」

 

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パウダーコンディションの壁を利用した丸山(右)の当て込み。それに続いて狙いを定める塚田

 

沢地形を存分に遊ぶためには、ある程度はトラックが入ったあとのほうが向いているという理由があるからこそ、朝イチのパウダーコンディションのときにSAWAへと向かわなかったのだと改めて理解した。SAWAを含めたゲレンデが整ってくるタイミングが気になったので、SAWAに向かうリフトの上で「斑尾のトップシーズンはいつか?」を丸山に聞いてみた。

「そのシーズンによっても異なるけど、例年であれば、まとまった降雪もあって細かな地形やブッシュが埋まってくる、1月中旬から2月の半ばくらいがパウダーを当てやすいし滑りやすいですね。沢地形はシーズン序盤は薄い地形や狭さも楽しめますが、メインの沢が仕上がってくるのは、積雪量が増えてボトムが仕上がってくる2月以降、3月のゲレンデ終了時期までが面白いと思います。遊び方次第でトップシーズンの幅は広がりますが、パウダーも沢地形も併せてて狙いたい人には2月中がおすすめですね」

SAWAコースを何本か滑ったのだが、丸山と塚田は行くたびに異なるラインを描いて魅せてくれた。こういったライディングを可能にさせるのも、リゾートサイドがツリーランをより楽しめるように、木々をバランスよく間伐してくれているおかげだろう。

「ツリーランコースとしてちゃんと整備してくれているからこそ、無数にラインを選べて遊べるんです。例えばSAWAだったら、上部からいきなりボトムに向かわずにサイドを流してツリーランを楽しんだり、好きな繋ぎ方で地形に入る。視野を広げて、自然地形の滑りのコツを掴めばいくらでもラインのバリエーションは増えていきます。SAWA以外にもリバーラインやラビットといった、面白いツリーランや沢コースが斑尾にはたくさんありますよ」

 

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SAWAの全地形が頭に入っているんじゃないかと思えるほど、スピーディかつスムースに駆け抜ける塚田

 

丸山が語るとおり、斑尾のツリーランコースのバリエーションは本当に豊かだ。例えば、NINJA。ラダーが設置されているポイントがあり、その様相はまるで「NATURAL SELECTION TOUR」のよう。そのほかにもボウル形状のコースや起伏の激しいコースなども存在するので、ぜひ冒険しながら堪能していただきたい。

もっと斑尾を楽しむために……

沢地形で遊んでいると、自然と総合滑走能力や地形を見る目が養われていくだろう。ただ、沢地形の楽しみ方がわからないという人もいるはずだ。上達の近道は何と言っても、その道の達人の滑りを見ること、そしてラインを知ることにある。そういった人たちにオススメしたいのが、丸山率いるSLOPE PLANNINGが開催するセッションだ。

 

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仲間とセッションをするのに最適な地形が揃うSAWAで魅せる丸山(左)と塚田

 

斑尾のSAWAコースをフル活用したSAWA MASTERS CAMP、ライダーのプライベートセッションなど様々なプランがラインナップされているので、ご興味のある方はこちらのSLOPE PLANNING公式ページからチェックしていただきたい。

「SLOPE PLANNINGではゲレンデガイドのメニューを用意しています。普通にマップを見ればコースはわかるけど、どこに面白い地形があって、どうアプローチすればいいのかまでは、すぐに理解するのは難しいでしょう。そこで、どういった目線で地形を見ているのか、どう遊べるのかについてレクチャーします。ただのコース案内ではなく、こういう滑り方や楽しみ方をセッション的に案内する、ゲレンデガイドサービスなんです」

この日だけでも撮れ高は十分だったが、朝イチからグルーミングを楽しむという日のルーティンも知りたいということで、翌日も丸山と塚田の両名に撮影とアテンドをお願いした。そして、より深く思い知らされることになる。斑尾がフリーライドの理想郷であることを!

 

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ゲレンデオープンして間もない時間帯に撮影した丸山(左)と塚田のカービングターン

 

text: HaruAki
photos: Gaku Harada
edit: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)

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