BACKSIDE (バックサイド)

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BacksideCrew_EyeCatch

SPECIAL

フリースタイル&サーフライクに遊び尽くした40代の男たち「BACKSIDE SESSION #5」@川場ルポ【FREESTYLE PARADISE Vol.5】

2022.04.08

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2021年の春分の日でありアクションスポーツの日だった3月20日、初となる「BACKSIDE SESSION」を群馬・川場リゾートで開催。それを契機としてスノーボードコミュニティ「BACKSIDE CREW」を生み出し、これまで4回に渡り彼らとともにセッションを重ねてきた。そして、5回目となるBACKSIDE SESSIONを1年越しとなる3月21日、同じくアクションスポーツの日に川場で行うことにしたのだ。セッションと同じく4回に渡ってこれまで、連載「FREESTYLE PARADISE」で川場の魅力を紐解いてきたわけだが、最終回は編集長であるワタクシ、野上大介が同世代にあたる40代のBACKSIDE CREWとともに滑り込み、そして、BACKSIDE SESSIONを通じて見えてきたリアルな川場について筆を執る。

やっぱり「FIRST TRACK CAT SERVICE」は贅沢だった

やっぱり「FIRST TRACK CAT SERVICE」は贅沢だった

8年前の2014年3月22日、僕は川場でパウダーに恵まれた経験がある。左ヒザの粉砕骨折をしてから2年以上経過したうえで初のパウダーライディングだったことと、3月下旬に“当てた”ことから鮮明に記憶に残っているので淡い期待を寄せていたが、降雪はさすがになし。しかし、例年よりも間違いなく気温は低かった。
 
7時出発の「FIRST TRACK CAT SERVICE」を利用するため少し早めに到着すると、続々とCREWが集まってきた。今回はFRESHFISHの曽根和広(ソネチン)さんと山口卓哉(タクヤ)さんが#3の栂池高原に続いて、その栂池まで足を運んでくれたものの足首の負傷によりセッションに参加することなく家路(遠路はるばる秋田へ!)に着いた三熊直樹(クマ)さん。そして、#2の北信以来の参加となった冨内俊卓(トシ)さん、STALEFISHとして#1の苗場に参加して即FRESHFISHにジョインしてくれたものの、それ以来の再会となった佐藤潤一(サトウ)さんの5名。STALEFISHメンバーとゲストも加えてキャットに乗り込み、揺られることおよそ20分。ピークに到着した。

 

FirstTrackCatService

 

降雪があれば迷わず最大斜度25°を誇る「西峰ダウンヒル」を目指すのだが、本セッションでは両サイドに壁地形がありフリースタイルに流すことができる人気の「クリスタルコース」を貸し切りで滑ることにした。季節外れの締まったドライスノーは想像以上にボードを走らせ、キレイにグルーミングされたバーンが安全かつ気持ちよすぎて、思わず今シーズン初のビッテリーターンに興じた。

 

DaisukeNogami_EuroCurve

 

#1の苗場セッションで豪快にパウダーバーンを攻めていたクマの滑りを知っているだけに、本調子でないことはすぐにわかった。バーンが荒れてくると負傷している足首へのダメージは大きいはず。そうした意味でも、朝イチの面ツルバーンは気持ちよさだけでなく、比較的足首に優しかったはずだ。

 

NaokiMikuma

 
 

NaokiMikuma_Portrait

「ベストコンディションではありませんでしたが、ケガを忘れてしまうくらい楽しく滑った結果、帰り道が大変でした(笑)。今回もめちゃくちゃ楽しかったです」──クマ

 

BACKSIDE SESSIONを通じてソネチンと滑るようになってから、毎回勉強させられる。“板に乗れてる”とはまさにこういうことを言うのだろう。以前にも綴ったような気がするが、ターンしているだけでここまで画になる男をあまり知らない。

 

KazuhiroSone_Turn

 
 

KazuhiroSone_Portrait

「川場のFIRST TRACKは初めてでしたし、毎回新しいメンバーが参加してくれるので、今回も楽しいセッションでした。残りのシーズンもあとわずかですが、最後のBACKSIDE SESSIONまで楽しみたいと思います!」──ソネチン

 

STALEFISHからは嶋田匡洋(スライダー1枚目)さんと知恵さん(スライダー2枚目)のご夫婦が参加。貸し切りのグルーミングバーンをパウダーボードで切り裂いていた。

 

ShimadaHusband
ShimadaWife
 

パウダーに恵まれた日であれば両サイドの非圧雪エリアを攻め、朝イチでも雪が緩むこの時期であれば本来は壁を当て込みながら攻めたいところだが、この日は硬すぎたため気温が上がるまでとっておくことに。クリスタルコースを滑り終えてCREWが合流すると、ソネチンが停止している状態からフラットバーンで突如、ハンドプラントを披露。僕と同い年のソネチンだが、その年齢を微塵も感じさせない。身体キレすぎでしょ!

 

KazuhiroSone_Handplant

photo: amphibios mask

 

そして「桜川コース」を流しながらボトムを目指しているとき、来シーズンのCREW募集に使えそうないいカットが残った。貸し切り感とCREW感が見事に表現されているのではないだろうか。

 

BacksideCrew_Turn

 

3,300mを駆け抜けてボトムにたどり着くと、すでにリフト営業開始を待つ長蛇の列ができていた。この瞬間にちょっとした優越感に浸れるのも、FIRST TRACK CAT SERVICEの醍醐味だろう。


人工地形から自然地形まで“壁だらけ”だから面白い

人工地形から自然地形まで“壁だらけ”だから面白い

3連休最終日ということで、最長2,000mを誇るクリスタルコースは混雑するだろうと予想。加えて、バスツアー組が遅れて到着するためボトムまで下りてしまうとリフト待ちが懸念される。というわけで、高手ペアリフトを利用して「THE SURF RIDE PARK」から「THE FREERIDE PARK」を流せるラインで滑ることに。

 

FreshfishOnTheChairLift

高手ペアリフトに乗車するFRESHFISHの面々。手前のリフトに乗るのがタクヤ(左)とサトウ、その奥のリフトはクマ(左)とトシ

 

高手ペアリフト眼下に広がる最大斜度29°の「高手スカイライン」は、降雪時には最高のパウダーバーンと化す。筆者イチ推しなのだが、降雪がないとハードなコブ斜面。本セッションでも怖いもの見たさもあり1本だけ滑ったのだが、ヒザがもげるかと思うほどのボコボコだった(笑)。ただ、前半のグルーミングバーンはロケーションもスロープも最高なので、後半はボードコントロールの修行と割り切って滑ってみるのもいいのかもしれない。

 

TakuyaYamaguchi_Turn

フラットバーンでもフリースタイルに魅せるタクヤ

 

高手ペアリフトを降りて正面方向に進んでいくと、「高手ダウンヒル」にぶつかる。バンクや自然地形を利用しながらフリーライディングが楽しめる、THE SURF RIDE PARKのスタートだ。
 
レギュラーのフロントサイドに天然の壁が続くので当て込みながら加速させ、連続するバンクへと突入していく。バンクの使い方やラインどり次第ではどんどんスピードを乗せることができるため、自然とボードコントロール術が高まっていくことだろう。

 

DaisukeNogami_KazuhiroSone_TakuyaYamaguchi

先頭から僕、ソネチン、タクヤのバンクでのトレイン

 

サトウはハイスピードでバンクに進入していくと、アウト付近で豪快なスラッシュで美しいスプレーを巻き上げていた。仕事が多忙なようで滑るのは、#1の苗場セッションを含めた年末年始以来なんだとか。とてもそうは思えない、攻めの滑りが印象的だった。

 

JunichiSato

 
 

JunichiSato_Portrait

「いつもはのんびりファミリースノーボードですが、BACKSIDE SESSIONに参加するとメンバーに刺激されて、今回は普段あまり入らないキッカーを飛んだりもしましたね。憧れのプロライダーと一緒に滑ることができて幸せな時間でした」──サトウ

 

#1の苗場と#2の北信セッションにも参加してくれた福地正明氏(スライダー1枚目)は、ムービー撮影にも協力してくれている、もはやCREWの一員である。#2の北信セッションに続いての参加となった油井隆宏氏(スライダー2枚目)も、ライディングを楽しんでいた。

 

MasaakiFukuchi
TakahiroYui
 

THE SURF RIDE PARKが終わるとクリスタルコースの後半部を経由して、THE FREERIDE PARKに続いていく。このパークにはメインアイテムとして、レギュラーのフロントサイドに大きめのウォールが用意されている。壁を上るように使って当て込んで楽しむもよし、回り込むようにしてオーリーをかけてダウン系アイテムとして遊ぶもよし。

 

KazuhiroSone_Layback

ソネチンは挨拶代わりとばかりにレイバックで当て込んだ

 
 

KatsuakiShimono

かつて一斉を風靡したブランド、ATLANTISをご存知だろうか。そのボードにまたがるのは、ゲスト参加の下野勝昭氏。どうやら再始動を手伝っているんだとか

 

何本か流していると遅れての参加となるS.I.さんが到着し、クリスタルエクスプレスの乗り場で合流した。毎月行っている「BACKSDIE TALK SESSION」を通じてオンライン上では何度もお会いしているのだが、リアルでは初対面。いきなりリフトが停止してしまうトラブルもあったが、S.I.さんにとっては逆に有意義な時間になったようだ。

 

S.I.

 
 

S.I._Portrait

「合流した直後に乗ったリフトが15分ほど止まってしまったため、FRESHFISHメンバーの人たちと長くリフト上で話すことができました。やはりスノーボード熱が高く、一気に打ち解けましたね。何の接点もなかった人たちが集まって、いい歳したオッサンたちがワイワイ楽しく刺激を受けながら滑る。濃い時間を過ごすことができました」──S.I.

 

クリスタルエクスプレスが止まっていたことから、混雑を回避するために無名峰トリプルリフトを利用して「白鳥ダウンヒル」に広がるレギュラーのバックサイドに位置する壁地形で撮影しようという話になった。先述したクリスタルコースの後半には同じくバックサイドに壁地形が長く続いていることは有名だが、ほかにもそうしたポイントが点在している川場。自然地形の豊富さを物語っている。

 

ToshitakaTomiuchi_Layback

豪快にスプレーを上げながら当て込むトシ

 
 

DaisukeNogami_SwitchLayback

左ヒザがしっかり曲がらない僕にとってレイバックはスイッチのほうが得意

 

本連載のVol.2で言及しているように、川場はまさに“ウォール・パラダイス”なのだ。


40代のオヤジたちがパークでセッションしてみた

40代のオヤジたちがパークでセッションしてみた

THE FREERIDE PARKの下部には、群馬に出自を持つプロスノーボーダー・長谷川篤がプロデュースする「FLUX PARK」が広がる。FLUX PARKを流すためにはボトムまで下りなければならないため、「バスツアーのお客さんがいるから混んでるかもよ」とか言いながら、僕は極力パークに入ろうとしなかった。それは、冒頭で述べたケガをして以来、キッカーを飛んだことがないからだ。
 
なかなか気温が下がらなかったため想像以上に雪のコンディションはよかったが、パークに入るならむしろ緩んでくれ。軟らかいと言えるほど緩んではいなかったものの、ちょうど12時に差し掛かったタイミングでFLUX PARKに入ろうということになった。今回集まったFRESHFISHメンバーは全員40代。オヤジたちによるパークセッションが始まった。

 

BacksideCrew_FluxPark

 

僕の思いとは裏腹に、水を得た魚のようなタクヤ。なぜかと言えば、雪を必要としないジャンプ練習施設でフロントサイド1080を放っている動画がSNSに投稿されており、先日、パークキッカーでメイクしたという話も聞いていたからだ。必要ないと思いながらも「1080回してみてよ!」と煽ってみると、いきなり一発目からフロントサイド900ステイルフィッシュを繰り出した。しかも、尾てい骨を痛めている状態にもかかわらず、である。40代経営者、大したもんだ。

 

TakuyaYamaguchi_Frontside900

 
 

TakuyaYamaguchi_Portrait

「朝イチのFIRST TRACKからのクルージング。そして地形、バンク、パークラップ。フリースタイルが詰まった一日だったと感じています。プッシュし合ってみんなで盛り上げて、セッション要素が一番詰まっていたBACKSDIE SESSIONだったと思います。満足でした!」──タクヤ

 

飛ぶつもりがなかった僕は、本セッションでおなじみのフォトグラファー・ZIZOが構えるナックル付近に移動。セッションごとにボードを乗り替え、ウエアも異なる出で立ちで登場するトシがアプローチしてきた。彼の上手さは十分に理解しているつもりだったのだが、まさかいきなりバックサイドロデオを放つなんて想像もしていなかった。しかもメイク。これを目の前で見てしまったら、立場的に飛ばないわけにいかないでしょ!

 

ToshitakaTomiuchi_BacksideRodeo

 
 

ToshitakaTomiuchi_Portrait

「川場は遠方のため行くことのないはずのゲレンデでしたが、BACKSIDE SESSIONのおかげで行くことができました。初めて圧雪車に乗って頂上へ! FIRST TRACKを仲間たちと楽しんで、地形も豊富なのでいつまでも滑っていたいゲレンデでした。BACKSIDE SESSIONは行ったことのないゲレンデや、僕の知らない体験を思う存分味わわせててくれる場でもあります」──トシ

 

ということで、3本トライして2本転倒。帰りのサービエリアではヒザが曲がらず、びっこを引かないと歩けない状態になったものの、バックサイド180でメロングラブをしながら、10年ぶりにキッカーを飛ぶことができた。キッカーのサイズは10m足らずと小さいものの緊張感を味わうとともに、ひさしぶりの浮遊感を堪能することができた。これもタクヤとトシにプッシュされたからこそ。加えて、飛びやすく安全設計のパークが用意されていたからにほかならない。

 

DaisukeNogami_Backside180Melon

 

ほかのメンバーもそれぞれの空中遊泳を楽しんでいた。40代のオヤジたちによるパークセッションは、意外にも美しいものだったような気がする。
 
3月下旬にもかかわらず、雪が締まった状態のグルーミングバーンを気持ちよく駆け抜けることができ、無数に点在する壁地形で思い思いのライディングスタイルを表現し、THE SURF RIDE PARKとTHE FREERIDE PARKでサーフライクに滑り、そして、FLUX PARKではフリースタイルに遊ぶ。40代が中心のセッションでも、ここまでフリースタイルにもサーフライクにも楽しめる川場。これらに加えて、トップシーズンであればドライパウダーを楽しむことができるポテンシャルの高さを誇るのだ。
 
東京23区内にある僕の自宅からGoogle Mapsで川場まで検索すると、所要時間は2時間を切る。そのうえで、フリースタイルスノーボーディングのすべてが楽しめると言って過言ではない。川場と縁がないエリアに住んでいるCREWも口を揃えて、また滑りたいと言っていた。
 
川場リゾート、まさにフリースタイルの聖地である。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: ZIZO=KAZU

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