FEATURE
滑りとカルチャーが交差するフィールド、川場。VOLCOMの視点から見えてくる、その価値とは?
2026.02.12
川場は、都心から車で約2時間という好立地に位置し、立体駐車場からリフトへと向かう動線には、数多くのスノーボードブランドの広告ビジュアルが並ぶ。それは、川場がスノーボードを軸としたカルチャーを歓迎してきたことを感じさせる。そんな雪山で長年にわたり強い存在感を放ってきたのが、VOLCOMだ。
今回は、元プロライダーであり、現在はVOLCOMのマーケティングを担当するロッキーこと石原寛規に、滑り手としての視点と、ブランドサイドの立場から川場の魅力や価値を語ってもらった。
滑り手として見た、川場という山の完成度
これまでにシグネチャーボードをリリースし、「HOTDOGG FILMS」などの映像作品にも出演してきたロッキー。ライダー時代には群馬エリアを拠点にしていた時期もあった。
「川場って比較的コンパクトなゲレンデですが、山全体の完成度がすごく高いと思うんです。まず雪質。トップシーズンは、湿気の少ない軽いパウダーを堪能できるし、ゲレンデトップで標高が約1,800mもあるから、いい雪が長くキープされる。『OFF THE PISTE』では非圧雪のツリーランや天然地形を楽しめるのもいいですね」
国内外のスノーリゾートを転々としてきた経験があるからこそ、川場の雪質は日本でも指折りクラスだと絶賛する。もちろん、その魅力はパウダーだけに留まらない。
「グルーミングの質も高いので、特に『FIRST TRACK CAT SERVICE』のノートラックの圧雪バーンをカービングするのも最高に気持ちいいんですよ。さらに最高なのが、ファーストトラックを滑り終えてレストハウスに戻ると、朝の早い時間帯なのにオープンしてる飲食店もある。これが本当にうれしい」

誰のラインも入っていないバーンで、キレのあるカービングをハイスピードで堪能
朝食難民になることなく、朝イチの極上の一本を振り返りながら仲間と乾杯もできる。このルーティンがたまらないそうだ。そしてリフトが動き始めたら、トップ・トゥ・ボトムでゲレンデすべてを楽しむのがロッキー流。
「降り積もっていればパウダーを滑って、地形で遊んで、そのままの流れでパークに入る。この動線が成立してるゲレンデって、実はそんなに多くないと思うんですよ。それにパークに関して言えば、キッカーやヒップは土台からしっかり造られてるし、様々なサイズのアイテムが並んでいるから、レベルを問わず遊べるのがいいと思うんです」

壁地形で繰り出したスタイル全開のメソッド・トゥイーク
川場の魅力は、決して規模の大きさではない。一本のランにフリーライドもフリースタイルも様々な要素が凝縮されているから、何度も滑りたくなる。気分に合わせて、いろいろな遊び方、滑り方ができるのだ。
「一日を通して山全体を遊び尽くす。それを可能にする懐の深さが、川場の一番の強みだと思います。雪がいいところ、遊べる地形、グルーミングが気持ちいい斜面を探す。ゲレンデとして開放してくれている場所が多いから、自分たちで遊び場を発掘してクリエイティブに滑れるのも川場の面白いところ。これってスケートボードの遊び方に近い。だから、魅力的に思えるのかもしれないですね」

そそり立った地形を活かしたハンドプラント

名物のレインボーレールでフロントサイド・リップスライドを華麗にメイク
プロモーションを超えたパートナーシップ
VOLCOMのマーケティングの立場から見たとき、川場の一番の魅力は何か。川場サイドの目線と柔軟な対応力、そしてスピード感だ。
「川場の担当の方って、本気でスノーボードを楽しんでる人なんですよ。だから、『こんなこと一緒にやりませんか?』ってアイデアを投げたときも、僕らと同じスノーボーダー目線で受け止めてくれる。しかも、すぐ動いてくれるんです」
多くのゲレンデでは、企画を形にするまでに稟議や調整で時間がかかることも少なくない。しかし川場では、驚くほどのスピード感で実現することもあるという。
「アイデアが机上で終わらない。この感覚は、ほかではなかなか味わえないですね」
こうした柔軟さと決断力があるからこそ、VOLCOMにとって川場は単なるプロモーションの場では終わらない。
「以前、オフシーズンには立体駐車場にスケートパークがあったり、ランプにはアートが施されていたり、音楽フェスを開催していた時期もありました。ラウンジにはブライアン・イグチのアートが飾られていたり、新しく設置された7階入口のネオンサインも、横乗りのシーンと関わりの深いアーティストが手掛けていたりする。だから、スノーボーダーはもちろん、スケーターやサーファー、音楽好き、いろんなカルチャーをバックグラウンドに持つ人たちが混ざり合える面白い場所だと思うんです」

(左上)パウダーラウンジの入口 / (右上)そこに飾られたイグチのアート / (左下)ラウンジ内にもイグチのアートが掛けられている / (右下)川場✕VOLCOMのTシャツも今季で10作目
スノーボードを起点に、アートや音楽、ストリートカルチャーが共存する空気感。それはVOLCOMが持つ信念にも共鳴する。だからこそ川場は、VOLCOMブランドの世界観を自然と発信できるフィールドなのだ。
VOLCOMが掲げるメッセージのひとつに「TRUE TO THIS」という言葉がある。この“自分の信じる道に忠実であれ”というブランドの哲学は、流行や他人の評価に流されることなく、自分たちが愛するカルチャーを信じて追求するという姿勢を表している。そのスタンスは、川場の取り組みともどこか通じ合っている。
その象徴的な取り組みのひとつが、FIRST TRACK CAT SERVICEで使用されるキャットのラッピングだ。

FIRST TRACK CAT SERVICEで利用されるキャットを撮影するロッキー
「成功するかわからない段階、各方面から批判があったかもしれないような段階から、川場はそこに賛同してくれました。そんな場所だからこそ、僕らもやり続ける意味があると思うんです」
キャットラッピングは、今季で10シーズン目を迎える。ただ広告費を支払ってビジュアルを掲出するのではない。ブランドとリゾートが同じ目線で、スノーボードや横乗りのカルチャーをどう育んでいくのかを考え、実行してきた結果が、ひとつの歴史としていまに至るまで続いている。
都内からのアクセスのよさや、ゲレンデとしての総合力の高さだけでは語りきれない価値が、川場にはある。同じ目線でカルチャーを信じ、続けていく覚悟があること。その姿勢こそが、VOLCOMが川場と歩み続ける理由なのだ。
人が交わり、カルチャーが育つフィールド
川場には、初心者からコアなスノーボーダーまでを受け入れる環境が揃っている。滑りのレベルやバックグラウンドを問わず、誰もが同じ山を、それぞれの楽しみ方で遊べるからだ。
ただし、誰とどう滑るかによって、体験の濃度は大きく変わる。山のポテンシャルが高いからこそ、VOLCOMはこれまで何度も「SHRED TOGETHER」というイベントを川場で開催してきた。先日も、久保田空也、吉野あさひ、大坪脩三郎という遊び上手な3人の若手ライダーたちとともに、VOLCOMファンが川場を滑り倒した。

キャット前での集合写真。「SHRED TOGETHER」にて
「川場みたいに遊べる地形が豊富なリゾートだと、やっぱりライダーにしか見えないラインってあると思うんですよ。それを間近で見られるイベントはすごく大切だと思っていて。もっとスノーボードが好きになるチャンスでもありますからね」

SNSにアップする動画を残すべく、先頭を滑りながら撮影するロッキー

あさひのライディングを見守る参加者たち

あさひ、脩三郎、空也がパークでトレイン
ただ一緒に滑るだけではない。今までなら通り過ぎていた地形をヒットし、これまでトライできずにいた遊び方に挑戦する。この体験こそが、スノーボードの奥行きを広げてくれる。
さらに現在、VOLCOMと川場では、新たなプロジェクトも静かに動き始めているという。
「整備されたコースを滑るだけでも川場は楽しいです。でも、もっと自然に触れ合いながら、雪山を探検するように滑る体験をキッズにしてもらいたいんですよね。そういった自然とワクワクするような、新しい入口を用意できたら面白いなって」
この提案を川場にしたのはシーズンに入ってからだそうだが、早ければ今季のスプリングシーズンに実現するかもしれないという。ブランドを“スポンサー”ではなく“パートナー”としてともに成長しようとする川場のスタンス。そして、スノーボードを次の世代へと紡いでいく姿勢は、VOLCOMと川場、両者に共通する価値観でもある。
だからこそ、VOLCOMにとって川場は、単なる雪山でのプロモーションの場を超えた、特別な場所であり続けているのだ。
text + photos: HaruAki




