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堀井優作と読者たちが川場の営業前から最終リフトまで滑り倒した一日。「BACKSIDE SESSION #21 with DRAGON」【KAWABA LIFE Vol.10】
2025.04.03
そして、さる3月20日のアクションスポーツの日、5年連続となるBACKSIDE SESSIONを同リゾートで行った。今回はDRAGON(ドラゴン)とのコラボレートにより堀井優作をゲストライダーとして招聘し、FRESHFISHメンバー7名、STALEFISHメンバー2名、DRAGONを取り扱うストレートシックスの中村直史さんと僕(編集長)の総勢12名によるセッション。結果、営業前のファーストトラックから、最終的にはパトロールに追われながらのラストトラックまで、40代以上のベテランスノーボーダーが中心のCREWにもかかわらず一日を通して、川場を滑り倒した。

國母和宏率いる国内最強クルー「STONP」発足時のメインライダーのひとり、堀井優作
季節外れのドライパウダーよりも特筆すべき地形を活かしたコースデザイン
川場名物の「FIRST TRACK CAT SERVICE」は営業終了していたのだが、この日は特別に催行してもらったので、7時過ぎにはキャットに乗車してゲレンデのピークを目指す一行。当日は、雲ひとつない青空が広がった。


天候に恵まれ、朝からテンションはマックス(筆者は二日酔いでダウン中……)
前日の3月19日、SNSで「ラストパウダー」といった趣旨のワードが飛び交っていたように記憶しているが、いやいや、その翌日の川場にもパウダースノーが溜まっていた。面ツルにグルーミングされた「クリスタルコース」で気持ちよくカービングターンを切りながら加速させ、まずは優作がレギュラーのバックサイドウォールで特大スプレーを巻き上げる。「イェーーー」という大歓声とともに本セッションはスタート。誰もが「今日、川場に来てよかった!」と確信した瞬間だった。

誰もいない貸し切りのクリスタルコースにCREWたちの雄叫びがこだました瞬間
底当たりして硬いバーンを拾ってしまうかも、という不安を優作が完全に払拭してくれたおかげで、CREWたちは思い切り突っ込む。7時台だったからこそ味わえた、3月下旬とは信じられないほどの超ドライパウダー。CREWの表情は緩みまくり、優作を先頭に貸し切りの川場の面ツルバーンをトップ・トゥ・ボトムで堪能した。

この晴天のもとドライなパウダースノーが3月下旬に滑れるなんて、なんて日だ!
この日は祝日ということで、メインのクワッドリフト「クリスタルエクスプレス」の混雑を回避するため、すぐに「高手スカイライン」を目指した。フロントサイド側の壁にドライパウダーが降り積もっており、優作を先頭に当て込みまくるCREWたち。高手ペアリフトで数本おかわりを狙うも、時間の経過とともに表面は湿雪に。しかし、FIRST TRACK CAT SERVICEを特別に運行していただいたおかげで、この時期としては奇跡のランを数本、コース内で味わうことができた。

高手スカイラインのファーストトラックもゲットした

プロの本領を発揮できるラインが川場には無数に存在する。後ろからCREWたちはマネするも撃沈。だからこそ、プロのすごさを実感できる
「2月に行われたイベント『MOCHIYORI』も含めて、川場は3回目だったんですけど、この日はセッションが終わってからも結局リフトが終わるまで滑っていました(笑)。MOCHIYORIのときは天気が悪かったしパークがメインだったからわかりませんでしたが、この日はめちゃくちゃ天気がよくて、コース全体がどうつながっているか川場の全貌がわかったんですよね。それで最後まで滑っていたんですけど、一日の雪質の変化も楽しめたし、この日はけっこう気温が上がったにもかかわらず、日陰のポイントは最後までいい雪が残っていたのに驚きました。雪質がいいゲレンデなんだと実感させられましたね」
この日に川場のコースを理解したとは思えないほど、豪快かつスタイリッシュなフリーライディングを披露してくれた優作の言葉だ。前出した写真にあるように、比較的空いている高手スカイラインのフロントサイドウォールから、混雑の合間を縫ってクリスタルコースのバックサイドウォールに至るまで、川場が誇る壁地形を優作らしく攻略していた。

数々のヒットポイントでスタイルがにじみ出ていた優作
「フォールラインに落とすのではなくて、斜めに張りつくようなイメージで斜滑降を上手く利用すると、いい雪をずっと踏んでいけました。スピードはそこまで出せませんが、そういう風に遊べる壁地形が豊富なのは面白かったですね。ギルランデするみたいに、谷に向かおうとするGを感じながらターンでつなげていくことで、同じ向きの壁に対していろいろな種類のターンで進入して、サーフライクにも、スケートライクにも、もちろん飛んだり当て込んだりもできる。山全体の地形をどこでも楽しめるコースデザインで、しかもバランスがめちゃくちゃいい。山を見ながら滑れる感じって言うんですかね。コース内だけでそう感じられたので、ツリーエリア(OFF THE PISTE)やバックカントリーも含めたら、かなりすごい山だなって」

撮られている意識はなく何気ないターンでも、いちいちカッコいい
ストリートを主戦場としてきた生粋のフリースタイラーでありながら、バックカントリーでも自由自在のラインを描く優作のベースには、アルペンレースで培った滑走スキルがある。ギルランデというワードが出てきたのも優作らしい。斜面を斜め方向に連続してショートターンしながら蛇行して滑り下りることだが、やはり、繊細なカービングターンの延長線上に優雅なトリックが生み出されるということなのだ。それが、川場では十二分に表現できるということである。
DRAGONの視界で多様なパークを流しまくったCREWたちが川場を斬る
朝イチから季節外れのパウダースノーを喰らい、自然地形に思い想いのラインを刻んだところで、小休憩をとることに、中村さんは本セッションのために来季のゴーグルをCREWの人数分用意してくれており、このタイミングを見計らってボトムまで下りて準備してくれていた。ここからは、CREW全員がDRAGONを着用してのセッションとなった。

懇切丁寧に中村さんと優作がゴーグルについて説明してくれた

DRAGON CREW誕生
クリアな視界を手に入れたCREWたちは高手ペアを利用して、高手ダウンヒルに造成されている「THE SURF RIDE PARK」を流し、そのまま「THE FREE RIDE PARK」に当て込み、混雑していたので並びながら「FLUX PARK」で飛んだりコスったりという、滑り応え十二分なルーティンで楽しんだ。

THE SURF RIDE PARKを流しながら、ナチュラルの壁地形でスプレーを巻き上げる中村さん
前章で触れた優作の言葉はプロ目線だが、一般スノーボーダーであるCREWたちは本セッションを通じて川場をどう感じたのか。
川場でのセッションは「CREWの恒例行事」と語るのは、初年度からFRESHFISHメンバーとして活動している三熊直樹(クマ)さん。さすがは元ジバー、優作に刺激を受けたのかレインボーレールを攻めていた。

「やっぱりパークが非常に楽しいですね。ゲレンデのあちこちにヒットポイントがあるので、スノーボードが上手くなるゲレンデだと思いました」
毎シーズン4、5回は川場を訪れるというFRESHFISH1シーズン目の豊島雄樹(トヨ)さんは、「まさにフリースタイラーの遊び場であり、遊び尽くせるサイズ感も好きです」と語る。筆者と同じ時代に大会を転戦していた彼はアラフィフ世代ながらパークで飛びまくる、生粋のフリースタイラーだ。

「センターハウス内で流れる映像や、いろいろなブランドのポスターやキャットのビジュアルなどもテンションが上がりますね。そして、川場の魅力はなんといっても地形の豊富さでしょう!」
筆者とともに前泊し、優作&中村さんと盃を交わした星貴浩(ホッシー)さんも、初年度からFRESHFISHメンバー。創造力を発揮してレインボーレールの法面にFORUM SNOWBOARDS(フォーラム スノーボード)のソールが見えるように当て込み、アピールする。

「山頂からロングランができ、壁が楽しみを倍増させるクリスタルコースや、まさかのパウダーランが楽しめた高手スカイラインのクオリティの高さは、また来たいと思う理由になりました」
もうひとり、初年度からFRESHFISHに参加してくれている佐藤潤一(サトジュン)さんは毎シーズン数回、川場を滑っているそうだが、「パークは上手い子が増えたイメージ」という印象を持ったようだ。

「川場は意外と雪が多いですね。今回もそうでしたが、朝イチの雪は軽くてよかったです。ゲレンデ自体も遊べるポイントが多い」
「川場は自分の中では外せないゲレンデ」と言い切るのは、2シーズン目からFRESHFISHにジョインしてくれた根本清(ネモ)さん。CREWの中でもっとも川場を滑り込んでいると言える存在だ。

「川場は毎シーズン、いろいろと滑り手のことを考えてくれている感じがします。堀井さんと滑って、また違った川場のラインを見ることができ、楽しみ方はアイデア次第だし、懐が深いゲレンデだと改めて思いました」
3シーズン目からFRESHFISHメンバーとなった高松将人(マサ)さんは、THE SURF RIDE PARKでバンクに当て込む。「とにかく人気なゲレンデというイメージ」を持っているため、混雑を避けてハイシーズンにはあまり来ないそうだが。ビジネスマン的な視点も交えて川場について、以下のように答えてくれた。

「今年はよすぎるシーズンとはいえ、3月末であの雪の軽さは……侮れないですね。毎年、センターハウスがバージョンアップしていて、広告の使い方が上手いなと感じます」
昨シーズンまで弊メディアのスタッフだった西村悠友(ユウト)さんは毎シーズン川場でのセッションに参加しているだけに、「レベルを問わずみんな同じラインで遊べるゲレンデだからこそ、BACKSIDE SESSIONのように大人数で滑るときにうってつけ」だと分析する。

「毎シーズン数回は来ていて、もともとヒットポイントが多いゲレンデだと思っていたんですが、ライダーズラインを見たことで、新しいポイントをたくさん知ることができ、さらなる魅力に気づけました!」

STALEFISHから参加してくれた加藤さん夫妻も川場の地形を楽しんでいた


THE FREE RIDE PARKのバックサイドウォールにハイスピードで当て込む優作
THE FREE RIDE PARKについて優作は、「スピードを落とさずにデカいターンが安全にできたので、めっちゃ気持ちよかったですね。バックカントリーで大きいターンをしているような感じ」と評する。FLUX PARKは、「自然地形の中に人工物を活かすようにレイアウトされているので、すごく自然で安全な設計だと感じました。そのうえで、滑り手にとっては大きすぎず小さすぎすのちょうどいいサイズ。アイテムの間隔もよくて、すべてのアイテムに入りたくなるパークでした」と太鼓判を捺してくれた。

レギュラーのバックサイドヒップで空中遊泳を楽しみ↓

レインボーレールへつなげることができるレイアウトを優作は楽しんでいた
プロライダーの創造力と本気の滑りが拝めた素晴らしきセッション
ランチ休憩中、優作が狙っているポイントがあるとフォトグラファーのZIZOと話していた。内容を聞いてもピンと来ないので具体的に確認すると、どうやらMOCHIYORIで使用されていたが、現在のFLUX PARKにはレイアウトされていないレールが保管されている場所があり、それに当て込めそうとのこと。川場の支配人の顔がよぎりながらも、まずは現場を見てみることにした。
現場に到着すると、そのレールは安全を確保したうえで保管されている状態だった。多くのスノーボーダーたちが壁に当て込んではいるものの、そのレールには見向きもせず。僕もそうだが、まさかあのレールに当て込もうなんて考えも及ばない。「OK、やってみよう」ということで、CREW全員がオーディエンスとなり、優作の真骨頂であるストリートさながらの撮影が始まった。
「MOCHIYORIのときにパークから(ゲレンデの)ボトムに行くまで、スピードを落とさずにいけばバックサイドの壁が軽く飛べる地形になっていたという記憶があって、それでスピードを保ちながら滑っていったらテイクオフできそうなポイントがありました。そしたら、その横にレールが置いてあって。リップをわざわざ作ったり、アイテムを移動させたりせずに、このスピードだったらいける!ってなっちゃったんです(笑)」

このボードのねじれを見れば、テイクオフしたポイントがどれだけ遠いのか、お察しいただけるはずだ
「あれにはマジでしびれた(クマ)」「あのシーンは熱かった(ネモ)」「あのスポットを見つけるところとか、スノーボードを楽しんでいると感じた(サトジュン)」「あのバックリップはイケすぎてました(マサ)」など、プロスノーボーダーの偉大さを生で観ることができたCREWたちは大興奮。「よーし、これでセッションは終了!」と僕は即決。最高すぎた本セッションは、これにて閉幕となった。
15時頃にセッションは終了したのだが、別件の撮影をホッシー、ネモ、マサ、トヨ、ユウトらに手伝ってもらうことになっていた。冒頭で述べたように、優作と中村さんも最終リフトまで滑っていたそうだ。あまり人が映り込まないようにラストトラックを狙っていると、パトロールからのプレッシャーを感じながらトップ・トゥ・ボトムで撮影しながら下山。結果、7時から16時半まで川場を滑り倒したとさ。

この時間帯になるとゲレンデのボトムは影で覆われていた。左からトヨ、ホッシー、ネモ
「KAWABA CITY」に戻り、支配人に挨拶するため事務所へ。本セッションのフィナーレを飾った優作が攻略したレールの話をすると、即断即決でOK。スノーボーダーの創造性を十二分に理解している川場ならではの対応が素敵だった。
最後に。私事で恐縮だが、過去に負った左ヒザの大ケガから復帰したのが2014年3月22日、川場のパウダーデイだった。11年ぶりの同じ時期に、再び川場でパウダースノーが滑れるなんて──個人的にも感慨深い最高のセッションとなった。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: ZIZO=KAZU