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首都圏からもっとも近い極上パウダーフィールド。35周年を迎える川場スキー場の本気度【KAWABA LIFE Vol.6】
2024.11.28
弊メディアの読者コミュニティを主体としたセッションイベント「BACKSIDE SESSION」を川場で行った際、スノーボード界の神と称されるテリエ・ハーカンセンが来場し、トップ・トゥ・ボトムでゲレンデ全体を楽しんでいた(記事はこちら)。その事実が川場のポテンシャルの高さをすでに証明しているわけだが、同リゾートの周年シーズンはこれだけでは語り尽くせない。
首都圏からおよそ2時間という好立地でありながら、時に北海道並みのドライパウダースノーが舞い落ちる稀有なスノーリゾート、川場が今シーズンにかける本気度を探る。
人工降雪機に2億円投資する川場の本気度
川場といえば標高1,870mを誇るため、関東とは思えない超ドライパウダースノーが降り積もることで有名だ。強風の日も多いが、軽いパウダースノーはツリーエリア内に溜まりやすく、そのエリアも解放しているため、どんなコンディションでも楽しめる。川場ウォールと称される壁地形を中心としたナチュラルヒットが多く点在しており、そのエリアをトップ・トゥ・ボトムで3.3kmのロングライドを堪能できるのだ。言うまでもなく、足腰はパンパン状態に陥る。
その3.3kmのロングライドを、なんと12月中旬には滑走可能にしてしまおうというのが、川場のひとつ目の本気度である。シーズン序盤から天然雪に恵まれれば話は別だが、そうでなければ12月上旬のオープンに合わせて、ゲレンデの中間地点からボトムまで滑ることができる全長1,300mの桜川コースに人工雪を降らせ、シーズン序盤としてはワイドなコースをスノーボーダーやスキーヤーにこれまで提供してきた。
時期を鑑みればこれでも十分なはずだが、シーズン序盤にトップからゲレンデ中間部まで2,000mある人気のクリスタルコースをオープンさせようというのが狙いだ。本章の冒頭で述べているように、身体が仕上がっているトップシーズンでもなかなかの滑りごたえなのだから、壁地形が整っていなかったとしても足腰が悲鳴をあげること請け合いである(笑)
それを実現するために川場は、人工降雪機を新たに6基追加。総額2億円を投じたのだ。標高が高いエリアだけに、言うまでもなく気温は低い。人工降雪環境の優位性を最大限に活かすためである。
導入された人工降雪機はスーパーポールキャットタワータイプで、高さ6mのタワーから降雪することができる。そのため、噴射された人工雪の滞空時間が長くなり、高い冷却効果が得られることで、人工ながらも良質な雪を大量に造ることができるようになるのだ。オシレーターと呼ばれる首振り装置の効果により、その良質な人工雪を広範囲に降らせることが可能に。結果、降雪作業後のゲレンデ整備が容易になり、圧雪車の負担を軽減させることにつながる。そのうえで、降雪機の重油消費量を従来から22%削減し、二酸化炭素排出量の削減にも成功。早いシーズンからロングランを味わえ、そのうえで、地球環境に優しいのだ。
今シーズンはラニーニャ現象が発生する確率が高く、12月に入れば日本海側では平年並みか例年よりも降雪が多いとの3ヶ月予報が出ている。川場は内陸に位置するため平年どおりもしくは少ないという予想だが、万が一の場合でもロングランが可能ということだ。盤石の体制で35周年に突入することになる。
全ジャンル老若男女が楽しめるサービスを提供する川場の本気度
ひと昔前は、板一本でどんな滑りでもできる人がもてはやされてきたが、近年は滑走レベルが高まったことで複数のジャンルを追求することが難しくなっており、さらに、遊び方に特化させた格好でプロダクトが進化していることも相まって、ライディングスタイルのカテゴライズ化が著しい。フリーライディングとひとことで言っても、地形に当て込みながら縦横無尽に滑る人もいれば、地形ではなくフラットバーンを狙ってカービングターンに注力する人もいる。キッカーやヒップで飛びたい人、ジブアイテムをコスりたい人、バンクに当て込みたい人、グラトリ愛好家、もちろんパウダーラバーに至るまで多種多様である。
さらに、冒頭で述べたようにバブル崩壊後の90年代初頭からフリースタイルスノーボーディングが隆盛を極め、1998年の長野五輪からオリンピックの正式種目に加わったという事実がある。そうした檜舞台を目指すキッズたちは3、4歳くらいからスノーボードにまたがりはじめるケースも多く、繰り返しになるがギアが進化したことで70代でもライディングが楽しめる時代に突入した。
そうした、あらゆる滑り手を受け入れられるポテンシャルの高さを川場は有している。パウダースノーが溜まりやすい自然の林の中で滑ることが許される「OFF THE PISTE」が4エリアもあり、フリースタイルパーク「FLUX PARK」、地形を活かした「THE FREE RIDE PARK」、近年流行しているバンクドスラロームの流れを汲んで春先に出現する「THE SURF RIDE PARK」、そして、今シーズンから「EASY PARK」改、トランジションなどで遊べる「QUARTER PARK」が新設される。
そのうえで、前章でも触れたように、クリスタルコースのフロント/バックサイドには豊富すぎる壁地形が存在する。特にレギュラーのバックサイドウォールは超ロングだ。前出のテリエも当て込みまくっていた。かの國母和宏がクリスタルコースを滑っている映像は、弊ウェブマガジンを読んでくれているライフスタイルスノーボーダーの心に刺さったと思うが、彼らグローバルレベルのライダーたちでも魅せることができ、かつ、楽しめるというわけ。
また、気温が低いため締まった雪質は、カービングターンやグラトリにももってこい。プロスノーボーダーの高橋烈男が開校している「パーク&グラトリ スノーボードスクール」が人気を博していることが、そのことを裏づけているだろう。レジャー層から世界トップレベルのスノーボーダーまでが、川場では共存できるということだ。
そして今シーズンより「NSDキッズプログラム」の対象ゲレンデに加わった。ご存知の方もいると思うが、このプログラムは4歳から小学生の子供限定で、なんとたったの1,500円で提携ゲレンデが滑り放題というもの。これまでも全国10カ所以上のゲレンデで利用が可能だったが、やはり首都圏在住のスノーボーダーがボリュームゾーンだけに、川場でも使えるというのはビッグニュースである。
全ジャンル老若男女のスノーボーボーダーたちが、雪が降っていても降っていなくても楽しめる。それが、本気を出した川場が贈る24-25シーズンなのだ。
フィールド以外も一切の妥協をしない川場の本気度
立体駐車場にクルマを停め、準備を済ませてエレベーターに乗り込むと、7階に位置するメインハウス「KAWABA CITY」に到着する。雪を踏みしめることも濡れることもなく、暖房が効いた館内を移動することができ、ストレッチなどの最終準備も快適そのもの。KAWABA CITYにはムラサキスポーツが入っているので、仮に忘れ物をしたとしても大丈夫。さらに飲食店のクオリティも高く、昨シーズンの時点で川場を訪れたことがある人に対しては、フィールド以外の充実度の高さについて説明不要だろう。しかし今シーズン、さらにパワーアップするというのだ。
立体駐車場だからこそ、降雪時でも快適に準備や片づけができることが川場の強みのひとつであり、駐車場の各階にも更衣室が用意されているのだが、KAWABA CITY内の更衣室がさらに広く快適になる。首都圏から近いため、バスツアーを利用する若者たちが多いことが最大の理由だろうが、個室も用意されるので、より快適に川場で過ごしたいという大人なスノーボーダーたちからも好評を博するだろう。場所は変わらず、KAWABA CITY 7階のエレベーターを降りてすぐのところをリニューアルしている。
さらに、専用ラウンジやクロークサービス、プレミアムなサービスが受けられる「POWDER LOUNGE」や、一日貸し切ることが可能な有料休憩室もこれまでどおり用意。休憩時や悪天候の場合など、家族や仲間たちと快適に過ごすことができる。小さなお子様連れの場合は、暖かい館内でキッズルームを無料で利用可能だ。
原材料の高騰や為替の影響によりプロダクトが高くなってきている昨今、川場が誇るプレミアムレンタルのサービスが今シーズン、さらに充実する。これまではパウダーライディングに特化したボードラインナップだったが、カービングやグラトリに特化したボードレンタルも可能になる。前章で述べたように、全ジャンルを楽しむためのプレミアムなギアたちを試すことができるようになるわけだ。高価なボードがラインナップされているため、購入前にじっくりと試すことができるのもうれしい。
また、STEP ON®のレンタルもスタート。ブランドはBURTON(バートン)ではなく、バインディングはFLUX(フラックス)、ブーツはDC(ディーシー)の組み合わせだ。BURTON製のSTEP ON®を試すことができるリゾートは増加傾向にあるが、FLUX×DCの組み合わせでSTEP ON®をレンタルできるのは川場だけである。
そして、KAWABA CITYの7階には牛タン専門店の「牛タン すずや」と北インド料理を提供する「タンドゥール」、クレープやコーヒーなどを取り扱う「ビーチ」が、8階には総合レストラン「ティンバーライン」とハンバーガーとビールを楽しめる「Good diner KAWABA」が、これまでと変わらずあなたの胃袋を満たしてくれる。さらに、2025年1月13(月)~27日(月)までは北海道フェス、2月8日(土)~21日(金)までは東海フェス、3月8日(土)からクローズまでは九州・沖縄フェスが月ごとにティンバーラインで行われ、メニューとしては緑茶専門店の「恵比寿tea-bucks」、台湾料理の「横濱民生炒飯」が追加される。
書いているだけでもお腹が空いてくるフードの充実具合も、川場の本気度の証。今シーズンの川場は12月7日(土)オープン予定なので、急いで計画を立ててみてはどうだろう。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)