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CREW
川場を知り尽くした中村貴之と120%楽しんだ「BACKSIDE SESSION #11 with FLUX」【FREESTYLE MOUNTAIN Vol.5】
2023.04.04
ゲレンデ全体を貸し切れる「FIRST TRACK」はいつでも贅沢
今回は川場のフリースタイルパークをサポートしているFLUXとのコラボレートということで、シーズン中に必ず川場に足を運んでおり、コースも熟知しているFLUXライダーの中村貴之(タカ)をゲストライダーとして招聘。
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CREWの全員とリフトに乗ったり、みんなを楽しませ続けてくれた
今回はFRESHFISHから10名、STALESIFHから3名が参加。さらに、編集部やFLUXのスタッフなど関係者8名を加えた総勢22名という、過去最多の大所帯でのセッションとなった。
3月後半に突入したと言っても、そこは標高が高い川場。朝晩は冷え込むため、ガチガチに締まったハードバーンが待っていると予想していた。だが、今シーズンは季節の進みが早い。結論から言うと、そのおかげで最高の一本となったのだ。
7時過ぎに出発するキャットに乗るべく、集合時間は6時半。眠い目をこすりつつも、ひさびさの再会を喜ぶCREWから、オンライン上では繋がっていたが「はじめまして」のCREW、まったくの初参加で少し緊張気味のCREWまで、貸し切りのFIRST TRACKということで、早朝のKAWABA CITYには彼らの声だけが響いていた。
開会の挨拶とそれぞれの自己紹介を終え、2台のキャットに乗り込んで山頂へ。そして、集合写真を撮り終えると、すぐにセッションがスタートした。まずはタカが滑り出す。ノートラックのピステンバーンにエッジがほどよく喰い込み、見ているほうが気持ちよくなるくらいグイグイとターンを加速させていく。太陽の光を浴びたバーンはほどよく緩み、クルージングに最適なコンディションとなっていたのだ。なーんて油断していると、直前まで日陰だったバーンはエッジが入らないところも。特にクリスタルコースの両サイドの壁は、かなりガッチガチ。だが、タカを先頭にCREWは、そんなバーンの変化すらも楽しみつつ、ほかに誰もいないゲレンデをトップ・トゥ・ボトムで流し終えた。その贅沢感と言ったら……。
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CREW以外に誰もいないゲレンデでタカを先頭にクルージング
「天気に恵まれて朝の澄んだ景色は感動的でした。誰もいないピステンバーンをみんなで滑るのも気持ちよかったし、すごく贅沢な気持ちにさせてもらいました」とは、タカの言葉だ。
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朝イチの硬めのバーンでも地形を知り尽くしているタカはヒットポイントで遊び続けた
地形が豊富だから春のフリーライドも楽しめる
ゲレンデのボトムに到着すると、すでにリフトが動き始めていた。ただ、気温が一気に上昇する予報だったので、レイヤリングなどの身支度を再び整えたり、朝食を摂っていなかった人のために少し休憩時間をとることにした。
KAWABA CITYで流されていたWBCの日本vsメキシコのテレビ中継に後ろ髪を引かれながらも、プチ休憩は終了。再びゲレンデトップに到着すると、ここからは自身が手掛けるアパレルブランド・BREWでもイベントを主催するなど、おもてなし精神がハンパないタカがCREWにある提案をした。「眠気覚ましに、トップ・トゥ・ボトムのチョッカリ大会をしませんか?」と。前夜、タカはFLUXのスタッフや編集部と深い時間まで飲んでいて眠かったというウワサもあるが、実のところは「コースに人も少なく、バーンもキレイだったので、参加者の集中力とテンションを朝から一気にアゲて最高のセッションにしたかったんです(笑)。結果、みんなの雰囲気もよくなり笑顔が見られてよかった」とのこと。
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FIRST TRACKで気持ちよさそうなカービングを刻む
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「朝イチのチョッカリは、本当にシビれました。少し怖かったけどテンションはアガりましたね。みなさんとのセッションが始まったら、いつも滑っているゲレンデがまるで違う場所を滑ってるようで、すごく勉強にもなり楽しかったです。初参加だったけど、かなり刺激を受けた最高の一日になりました」──根本 清
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タカの後ろを誰よりも追い続けた星さん
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「朝イチのチョッカリのおかげで、その後に滑ったTHE SURF RIDE PARKやFLUX PARKでスピードに対する恐怖感がなくなってよかったです。朝イチからいいアドレナリンが出ました(笑)」──星 貴浩
ボトムに到着するや否や、リフトでゲレンデトップまで移動。「次はバンクに行きましょう!」とタカ。CREWを引き連れて、THE SURF RIDE PARKへ。いい感じに緩んだバンクのあまりの気持ちよさに、一行はクリスタルエクスプレスで山頂に向かい、おかわりクルージング。滑れば滑るほどCREWのテンションが上がるのは誰が見ても明らかだった。セッション開幕直後はタカの後方をベタづきで滑るCREWはいなかったが、その安定感の高いフリーライドスキル、地形で魅せる変幻自在なアクションを間近で見ようと、次第にCREWが積極的にタカの真後ろを滑りだしたのだ。
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このセッションのためだけに北海道からやってきた長谷川さん。壁地形でのレイバック
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「シリアスすぎず緩すぎない雰囲気がめっちゃよかったです。みんなで同じことをやるのも楽しかったし、タカさんが滑ってる途中にサラッとトリックするのもオシャレでテンションがアガりました! 川場はバンクがあったり、ハンドプラントができる壁とか地形が面白かったです」──長谷川達也
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回数を重ねるたびにバンクをスピーディに駆け抜けた
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「普段は思いつかないことや意識していないことを考えさせられたり、いつもならチャレンジしないことに挑戦させてくれたり、本当に楽しかったです。ひとりで滑る環境を変えたかったので、FRESHFISHになって参加できてよかった。自分より上手い方々と滑れることは刺激的で最高!」──矢野重明
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ARBOR THE FREE RIDE PARKの地形を拾ってターンを楽しむ小林さん
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「普段やらないことにも挑戦し、改めてスノーボードの面白さが感じられたセッションでした。どんどん雪質が変わっていく中で、その状況に合った遊び方や楽しみ方をタカさんが提案してくださり、終始、刺激をもらいながら楽しく上手くなれた気がします」──小林良和
年齢に関係なく仲間とプッシュし合えたフリースタイルセッション
キッカーのランディングが緩んできた頃合いを見計らって、タカはCREWをFLUX PARKへと誘導した。そこで、アイテムチェックというには飛びすぎのジャンプを披露。
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タカが繰り出したフロントサイド360にCREWは大歓声をあげた
ここからトリック合戦がスタートするのかと思いきや、FLUX PARKだけを回すことはせずにフリーライディングしながら、フリースタイルパークも楽しむことに。それが、トップ・トゥ・ボトムで川場を最大限に楽しむ方法ということなのだろう。
何本か滑っていると、タカは全員でスラッシュをしようと提案した。「あのサイズのキッカーは飛ぶのを控えている方もいたので、みんながチャレンジできるスラッシュでセッションしたかったんです。それぞれのスタイルが出て、見ているほうも楽しかったし、何より盛り上がりましたね」
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どシブなスタイルで雪飛沫を舞い上げた坂井さん
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「遊びの宝庫みたいな川場をCREWと滑れてよかった。これはタカさんの人間性だと思いますが、すごく盛り上げ上手で気がついたら彼の世界に吸い込まれていました。スラッシュセッションは十人十色の個性が出て、全員で楽しめたいい時間で最高でした!」──坂井 賢
その後もトップ・トゥ・ボトムでのセッションが続いた。カービング、バンク、壁遊び、ウェーブ、地形遊び、パークジャンプやジビング……。一本でかなり足にくるが、その分、満足度と充実度はハンパなく高い。40代が中心のCREWだが疲れなど微塵も感じさせることなく、誰もが喜びにあふれた表情を浮かべていた。
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キッカーでさりげなくウェドルグラブを決める三熊さん
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「大所帯でバラバラにならないかな?と心配していましたが、いろいろなスタイルが混ざりあって、かなりフリースタイルな楽しいセッションでした。川場にはレベルやスタイルを問わずに楽しめるパークがあるし、やっぱり何歳になっても飛ぶのって楽しいですよね」──三熊直樹
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星さんのメソッド・トゥイークとタイミングをバッチリ合わせてスプレーを舞い上げる星野さん。CREW同士の息もピッタリだ
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「過去に参加した2回のセッションはパウダーハントが多かったですが、今回は時期的にもゲレンデ的にもフリースタイル感が強かった。バンクをトレインしたり、壁遊びしたり、キッカーを飛んだり、とても楽しめました」──星野太郎
昼食を摂ることなく滑りまくり、いよいよラスト1本。THE SURF RIDE PARKに入る直前のこと。いきなりタカがワンポイントレッスンを開始した。お題は、壁地形でのターン。
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「バックサイドの壁のターンのときは手は……」というタカのレッスンに、一同は真剣に耳を傾けていた
photo: HaruAki
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セッションの最初から最後まで、とにかく彼女の笑顔が印象的だった
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「『上手く滑るアドバイスをください』って言ったら、ホントにプチレッスンをしてくれて嬉しかったです。川場はどんな地形があるか把握していたつもりだったけど、上手い人たちと滑ることで、今まで以上に遊び倒すことができました。失敗しても盛り上げてくれるタカさんとCREWのみなさんには感謝です」──藤波理紗
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編集部の若手・西村悠友に思いきり雪をぶっかけるイチニさん
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「タカさんとは、本人主催のキャンプに参加したりと、これまでも何度か一緒に滑ったことがあったのですが、チョッカリをしたり、トレインをしたりと、みんなの気分を乗せることが上手い人だなって改めて感じます。セッションの最後にプチレッスンを入れてくるところが、いい意味でタカさんらしいな、と」──イチニシゲカツ
「セッションということでレッスン的なことはするつもりなかったけど、最近になって僕の滑りに変化のあったターンのコツをみんなと共有することで、さらにスノーボードが好きになってもらえたらと思って」と、タカはレッスンを開催した理由を教えてくれた。
さらに、STALEFISHの嶋田匡洋と知恵さん夫妻(スライダー1枚目)がトレインで超楽しそうにバンクに突入すれば、かなり個性的なウエアを着こなしていた藤川美樹(同2枚目)さんはボードスライドで魅せてくれた。さらに、FLUXの生みの親である打江佳典氏(同3枚目)もFIRST TRACKから川場を楽しんでいた。
こうして足がパンパンになりながらも大満足でセッションを終え、閉会の挨拶……かと思いきや、FLUXからの記念品、タカからBREWのアパレル、さらに川場に店舗を構えているムラサキスポーツからも多くの協賛品が提供され、白熱のジャンケン大会が始まった。CREWの全員が両手パンパンになるほどのアイテムを手にしたところでセッションは閉幕。なかにはタカ直伝の滑り方を身体に覚えさせるべく、その後も滑り続けたCREWもいたようだ。
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ライディング同様にヒートアップしたジャンケン大会
先日、川場のクローズ日が4月9日だと発表された。いよいよラスト1週間を切ってしまったが、最後の最後までFREESTYLE MOUNTAINは、その山自体のポテンシャルの高さとリゾートの寛大なホスピタリティによって、すべての滑り手を満足させてくれることだろう。
タカと編集長の野上大介にセッションを振り返ってもらい、「BACKSIDE SESSION #11 with FLUX」と「FREESTYLE MOUNTAIN Vol.5」の締めとさせていただく。
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「川場は地形が豊富で、パークもしっかり造られているので、かなり濃厚なセッションになりましたね。みなさん、滑りが安定しているから、先導していても待つことはなく、かなりの本数を滑らせてもらいました。終わる頃にはヘトヘトで足が棒になるほど(苦笑)。参加者が荷物いっぱいで帰る姿は印象的でしたよ」──中村貴之
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「公私ともによく訪れる川場での3回目のセッションは、本連載のタイトルに銘打ったように、まさにフリースタイルマウンテンが表現されたと思います。豊富な降雪に恵まれるトップシーズンでも、雪解けとともに地形があらわになるスプリングシーズンでも、パウターンやカービングターンを刻みながらナチュラルヒットで遊び倒せる。弊誌が掲げる“フリースタイルスノーボーディングの再燃”に必要な要素が凝縮された、素晴らしいリゾートですね。CREWのみんなも大満足だったと思います」──野上大介
text: HaruAki
photos: ZIZO=KAZU
edit: Daisuke Nogami(Chief Editor)