INTERVIEW
スノーボード仕様から進化したヒアラブル端末の最高傑作「BONX BOOST」とは
2021.06.24
クラウドファンディング初日で400%超の達成率を記録したことが、その期待値を表している。スノーボーダーであればご存知だろう音声コミュニケーションプラットフォームのBONX(ボンクス)が、何やらニューギアを開発しているという。BONXについて詳しく知りたいという方は「スノーボーダーが社会を変える。ヒアラブル端末で革命を起こすBONX代表 宮坂貴大」のインタビュー記事をご一読いただきたいが、本記事では、巷で噂の新製品「BONX BOOST」が何を持ってして“最高傑作”なのかに迫りたい。CEOの宮坂とカスタマーサポートを担当している山口未来を直撃した。
世界で類を見ないオンリーワンのヒアラブルデバイス
BACKSIDE(以下BS): 前回のインタビューでお話いただいたとおり、スノーボーダーというカスタマーに向けて作ったいわゆるBtoC商材が、多様な現場でBtoB商材として使われるようになり膨大なフィードバックを得たことで新たなるチャレンジに踏み切っている、そう伺いました。ずばり、新製品の特徴について教えてください。
宮坂貴大(以下TM): ここまで創意工夫が詰め込まれたヒアラブルデバイスは世の中にないと自負しています。現場でのコミュニケーションが最大のフォーカスポイントなので、それについて試行錯誤を繰り返しました。他社製品で優れた端末はありますが音楽に特化しているものだったりするので、コミュニケーションにコミットしているという点ではオンリーワンのプロダクトです。
BS: なるほど、期待感が高まりますね。
TM: 具体的に説明していくと、まずフィット性が高い。Gripのように耳に引っ掛けるパーツもオプションで用意していますが、なくても保持力は十分にあります。次に、上下対称のデザインが施されていて重力センサーを搭載しているので、左右の耳で付け替えても上がアップ、下がダウンに設定されている音量ボタンの機能が変わりません。
BS: オプションを使うことなく左右の耳で付け替えられるというのは、Gripではなかった機能ですね。
TM: オプションの話が出ましたが、ほかにもいろいろとラインナップしているのが大きな特徴ですね。アクセサリー類で機能拡張ができる世界でも類を見ないイヤホン、そう言って過言ではないでしょう。イベント会場など騒音の激しい現場でも、延長マイクを付けることでマイクが集音してくれる。また、スノーボードの滑走中や自転車での走行中の風切り音の対策としてスポンジのマイク風防、先ほど話したイヤーフックなどがそうです。雪山でのライディング中や自転車での走行時、医療や建築など、クルーがアクションする様々な現場からのニーズに対応して使いやすいカタチを目指した結果、BONX BOOSTが生まれました。
山口未来(以下MY): 小売の現場ではひとつの店舗につき10~20台、もしくはそれ以上で使っていただいているケースがあるのですが、充電するときにGripの場合ですと一つひとつの端末にケーブルを挿さないといけないため、そのスペースがごちゃごちゃになってしまうというお話をいただきました。そうした要望を踏まえて、充電するための台を作ったんです。集中充電ステーションといって、複数のBOOSTを台に置くだけで充電が可能になります。
スノーボードだけでは生み出せなかったBOOSTの真価
TM: BOOSTの開発を始めた経緯として、今年3月にminiを発売しましたが、より多くの人に“BONX体験”を提供するために機能を削ぎ落とし、価格を下げています。一方で、2016年からGripを作り続けて改善を図ってきたことで培ってきたナレッジやノウハウがものすごく蓄積されていて。最新の技術はもちろん、部材メーカーとのネットワークなども含めて、僕たちが持っているすべての武器を結集して一番いいと思えるものを作ったらどうなるのか。そう考えるようになりました。Gripを愛して使ってくれている人が多くいることは大変ありがたいと思う反面、“いまだにGripを使わせてしまっている”ことを申し訳なく感じていました。こうした想いをカタチにしようとスタートしたんです。
BS: 航空機や医療などの現場からのフィードバックが加わりBOOSTが誕生するわけですが、一般社会で利用されて進化した具体的な機能は?
MY: 防水性と防塵性ですね。スノーボードに特化して言えばボタンの押しやすさでしょうか。グローブを装着していてもかなり使いやすい仕様になっています。
TM: スノーボードでのライディング以上に、長時間使いたいというニーズが多くありました。12時間滑り続けることはほとんどないと思いますが、現場によってはそれくらいの時間の使用はよくあることなので、まずは12時間継続して使えることを目標に作っています。現在の検証段階では10時間を突破しました。さらに、充電ケースは急速充電に対応。スノーボードシーンからのフィードバックだけではこうした進化はなかったのかもしれませんが、スノーボーダーにとっても間違いなく喜ばれると考えています。
BS: スノーボードの現場から生まれたBONXがあらゆる社会活動に貢献している事実をいちスノーボーダーとして誇りに感じていましたが、それが僕たちにも還元されるわけですね。
MY: 法人向けのビジネスなので、毎月のようにフィードバックを得ることで“気づき”が生まれます。先ほどの話しに出た集中充電ステーションが、まさにそれです。直接ケーブルを本体に挿す必要がなくなったことで、端子が壊れることなくより手軽に充電できるようになりました。
TM: サブスクリプション型のビジネスなので、ユーザー様と継続的な関係性が築けます。日々接しているからこそ気づけたことがたくさんある。山口らが頻繁に電話することで気づきにいっているわけです。
コロナ禍が加速させたBONXの進化
BS: リモートワークでも利用価値が高いプロダクトだけに、社員たちのBONX使用頻度は高まっていると思います。そうした状況で変化は生まれましたか?
MY: リモートワークで仕事場は個々で違いますが、“つながっている”という安心感がかなりありますね。
TM: コロナ禍以前はBONXを毎日使っていたわけではありません。週末のアクティビティでは必ずと言っていいほど使っていましたが、仕事となると毎日じゃないですか。高級ブティックやラグジュアリーホテルからのフィードバックとしてもありましたが、自分たちも自宅で仕事をしていると環境が静かなので音質に対するこだわりが強くなりました。それ以外にもいろいろな改善点が見えてきて、社員みんなの意識としてよりよいものを作りたいという方向性になり、チームの総意としてBOOSTを作ろうと決まった。ハードウエアひとつ作るのはものすごい労力が必要になるので、チーム一丸となって納得感を持って取り組めているのは、日々自分たちが使っているからにほかなりません。
BS: BOOSTを通じて描いているスノーボードシーンの未来について教えてください。
MY: スノーボードに限らず、ビジネスとアウトドアどちらのシーンでもより使いやすくなっていると思います。Gripを使っていただいている方も多くなってきていますが、このBOOSTが出たことで、スノーボーダーはもちろん、より多くの方々にBONX体験をしてもらいたいと思っています。
TM: コロナ禍により、遊ぶことは人間にとって不可欠なんだと再認識させられた今、「遊びを遊び尽くせ」というキャッチコピーを掲げているように、遊び続けてほしい。そして、楽しんでほしい。先日のインタビューでフリースタイルマインドとはリスクを楽しむことだと話しましたが、もうひとつは与えられた環境をいかに楽しむか、ということなんだと思います。ライディングしていても、こういう地形だったらこう当て込んでやろうと創造力を働かせるように、コロナ禍という地形をいかにして楽しむか。そうした制約の中でどう遊び尽くすのか、スノーボーダーだからこそフリースタイルマインドで楽しんでほしいと思っていて。ソーシャルディスタンスを保ちながら利用できるアイテムなので、BONXを活用してほしいですね。こうした新しいテクノロジーを使って、新しい世の中で最大限、仲間たちと楽しむためにフリースタイルマインド全開でいってほしいと思っています。
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スノーボーダーだからこそ生み出せたプロダクトが社会に変革をもたらす中で研ぎ澄まされ、それらが新しいテクノロジーとして搭載されたことでスノーボードシーンに還元する。BONX史上、最高クオリティを誇るBOOSTのクラウンドファンディングが実施されているので、まだ“BONX体験”をしたことがないスノーボーダーはもちろん、すでにGripやminiを持っているという方も以下のページをご覧いただきたい。
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photos: Takashi Akiyama text: Daisuke Nogami(Chief Editor)