BACKSIDE (バックサイド)

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https://backside.jp/howto-015/
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HOW TO

トーションを制する者がターンを制する

2016.08.18

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両足でトゥエッジに加重しながらフロントサイドターンを描き、抜重した後に、両足でヒールエッジに力を加えながらバックサイドターンに切り替える。これを繰り返すのがカービングターンである。……この話を聞いて何も疑問に思わなかったスノーボーダー諸君。実のところ、これは間違いだ。上手いスノーボーダーが実践しているカービングターンとは、前足寄りのトゥエッジから雪面を捕らえ、フロントサイドターンのピークに向けて両足加重に切り替え、ターンの後半では後ろ足寄りのトゥエッジに加重してヒザを押し出しながら抜重(バックサイドターンではエッジがヒールに変わる以外同様)している。この動きを実現するためには、ボードのトーション(ねじれ)を活用しなければならない。そこで当ページでは、そのトーションとターンの関係性について深く掘り下げていくことにする。それは「トーションを制する者がターンを制する」からだ。

エッジの切り替えし、いわゆるエッジ・トゥ・エッジだけでターンしているスノーボーダーの動きはぎこちない。それは、ターンの切り替え時にボードがズレてしまうからだ。反対に、“板に乗れている”上手いスノーボーダーの滑りを見ていると、その動きにはまったくの力みが感じられず、とてもスムースである。ノートラックのグルーミングバーンであれば、そのトラックは美しいほどに一本のラインで繋がっている。なぜエッジからエッジに切り替えているのに、ズレた跡がないのか。それは、トーションを活用しているからなのだ。

ぞうきんを絞る動作を想像してみよう。片方の手で絞った方向とは反対側にもう一方の手で絞る。これをスノーボードに置き換えて考えてみると、前足をトゥサイド側に踏んだとしたら、後ろ足をヒールサイド側に加重するということ。ここで生じるねじれがトーションだ。これを活用することで、あなたのターンがネクストステージへと昇華するというわけ。もちろん、ボードにはサイドカーブ半径が設定されているので、トーションを利用しなくてもボードは曲がる。だが、それではターンを切り替えるときにエッジがズレてしまうのだ。

バックサイドターンを例に解説していこう。ソールが雪面に対してフラットの状態から、まずはヒールエッジを使って前足から雪面を捕らえる。このとき後ろ足はフラットのままが理想なので、慣れるまではつま先側へ少し加重する意識を持つのもアリだ。このときすでに、ボードはわずかながらねじれている。これにより、前足寄りのヒールエッジがスムースに雪面を捕らえているのだ。

そのままトーションを活かしてターンを継続し、少しずつ後ろ足でヒールエッジを踏んでいきながら両足加重になったときがターンのピーク時。なかなか見る機会はないかもしれないが、雪面に刻まれたトラックをチェックしてみると、このときが雪面に対してもっとも圧力がかかっているため、一本のライン全体で比較したときに太く、そして深くなっているはずだ。

そして、前足は徐々に抜重していくのでフラット(つま先側)に戻し始めると同時に、後ろ足加重に切り替えながら雪面に食い込んでいる状態のヒールエッジを、その溝(=トラック)に押しつけるように進行方向側へ送り出す。このときに加速感が得られるのだ。フロントサイドターンでは、その反対の動きを実践することになる。

このようにトーションを活かしたターンとは、両足を交互に動かす必要があり、重心位置の移動はもちろん、エッジへの加重・抜重がとてもシビアなアクションだ。しかし、その動きをマスターできれば、あなたは驚くほどキレのあるターンを手に入れることになる。

rider: Hiroshi Sakuma / photo: Akira Onozuka

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