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キャンピングカーで北海道パウダーベルトを旅する。関功ファミリーが体感した「星野リゾート トマム」と「OMO7旭川 by 星野リゾート」の贅沢な冬【前編】
2025.11.11
筆者も家族を持ついちスノーボーダーとして、毎年紹介している「北海道パウダーベルトをめぐるキャンピングカープラン」が気になっていた。そんな矢先、プロスノーボーダー・関功の妻で、元Fine専属モデルの高橋菜摘さんが「子供たちとキャンピングカーでスノーボードトリップをするのが夢」という記事を発見。これは、行くしかない。
このプランは「星野リゾート トマム」と「OMO7旭川 by 星野リゾート」の施設を利用できるという特典がついている。関ファミリーはキャンピングカーをピックするため新千歳空港から、取材班は旭川空港からそれぞれ、一路トマムを目指した。
大雪とともに始まった“夢”のキャンピングカートリップ
今年2月3日から4日にかけて、トマムと隣接する十勝地方では12時間降雪量として国内観測史上1位となる120cmを記録した。そして、4日の早朝に北海道入り。筆者はフォトグラファーと旭川空港からトマムへ向かうも、農道に吹き溜った雪でスタックしてしまい、1時間あまり立ち往生。功と連絡をとると、道東自動車道は通行止めだったため、関ファミリーも下道でトマムへ向かっていた。
菜摘さんは当時をこう振り返る。
「正直、不安もありました。でも“北海道に入れた時点でなんとかなる”と思えたんです。子供たちは“ヤバいじゃん!”って言いながらも、ハプニングを楽しんでいました(笑)」
集合時間からだいぶ遅れをとったが、双方無事到着。ホタルストリートの「Café & Hamburger つきの」で合流した。特製フルーティソースで仕上げたハンバーガーをほおばりながら、お互いの苦労話に花が咲く。長男・いっきくん、長女・らんりちゃんも、美味しそうにハンバーガーに食らいついていた。

なんとかたどり着いたトマムで、まずは腹ごしらえ
「お肉大好きな子供たちが、撮影されているのも気にせず大きくほおばってました。旅の最初の食事が“ご褒美”のようで、忘れられません」と菜摘さん。

“本来の味・姿”を追求した「ライダーズバーガー」は1,900円
30年以上のスノーボード人生でも、最高難度の移動だったわけだが、コンディションは間違いく“当たり”だ。当日トマムにたどり着けたスノーボーダーやスキーヤーは少なかったので、パウダースノーは保存されているはず。
功は「今まではライダーとして滑りに来ていた北海道でしたが、家族と来ると滑りよりも旅がメイン!って感じが強いと思いました」と話す。
本来はゲレンデ撮影を予定していたが、旅の疲れを癒やしてもらうため「ミナミナビーチ」へ向かうことにした。

最上級の真冬から一気に常夏へワープできる
真冬の中の真夏。家族で味わうトマムの“非日常”
ガラス張りの館内は常時30℃以上に保たれ、日本最大級の30×80mのウエーブプールを備えたインドアビーチ「ミナミナビーチ」は、まさに天国。猛吹雪から一転、関ファミリーは真夏を体感した。

常夏の外は真冬。このギャップがたまらない
「こんな非日常なかなかありませんよね。子供たちは大好きなプールで全力ではしゃいでいました。フライト疲れも豪雪ドライブも全部吹き飛んでいましたね」と菜摘さんは回想する。
いっきくんとらんりちゃんは大はしゃぎ。功と菜摘さんも旅慣れているせいか、子供たちと真夏のセッションを全開で楽しんでいた。

絵に描いたような幸せ家族
その後、「木林の湯」でお風呂を済ませ、キャンピングカーでつかの間のブレイク。ディナーは森のレストラン「ニニヌプリ」へ。その名のとおり森に囲まれているので、雰囲気は抜群だ。

エンジンを止めても使えるFFヒーターや換気扇を装備しているため、凍てつく寒さの北海道でも快適
「ニニヌプリは私たち夫婦にとって特別な場所。15年前、付き合いたての頃に訪れたレストランなんです。家族でここに戻って来られたことが本当にうれしくて」
ライブスタジオでは、スタッフがモッツァレラチーズの仕上げを実演している。目の前に広がる光景に、子供たちは大興奮。ファーム星野のチーズを使ったピッツァ・マルゲリータやジンギスカン ピッツァ、牛肉の鉄板焼き、トマム牛乳のソフトクリームなど、豊富なメニューを堪能した。

チーズが伸びる、伸びる! 主成分である網目構造のカゼインが加熱によって柔らかくなり、絡み合って糸状に伸びるんだって

思い出のレストランに子供たちと来ることができる幸せ

キャンピングカープランには含まれていないが、トマムでの夕食はニニヌプリで決まり
お腹も満たされ、身も心も温まったところで「アイスヴィレッジ」へ。食後のデザート代わりに、まずは「氷のBar」で甘い飲み物をいただく。

普段ではあり得ない異空間で深まる、家族の絆
家族団らんを楽しんだあとは、「氷のホテル」に潜入した。
「“ここ泊まれるの!?”と子供たちのテンションは最高潮。氷のコップでジュースを飲んで大はしゃぎでした。半年経った今でも、“また氷の場所行きたい!”って言うんですよ」と菜摘さんは笑う。

いっきくんとらんりちゃんのテンションは爆上がりだった(笑)
天候はすでに回復しており、明日の“THE DAY”を確信していると、それを祝うかのように花火が上がった。

「トマムサイコー!」と家族全員が心の中でつぶやいたことだろう
こうして、トリップ初日は大雪によるトラブルから始まったが、真冬の真夏を体験し、北海道の食材を味わい、締めは氷の世界。関ファミリーにとって忘れられない一日を終えると、憧れのキャンピングカーへ戻っていった。
雪と遊び、雪に学ぶ。トマムで過ごす家族の“THE DAY”
翌朝、初日のディナーと同じくニニヌプリで朝食を摂る。関ファミリーは和食派のようだが、名物のフレンチトーストは欠かせない。前夜とは打って変わり、海鮮などの和食中心に腹ごしらえを済ませた。

牛乳をたっぷり使用したアパレイユ(卵液)に、厚切りのパンをじっくり浸して焼き上げている

朝イチから最高のスマイルでフレンチトーストをゲットする菜摘さん
「前夜の雪の降り方を見て、パウダースノーは間違いないとわかっていました。功はワクワク、私は子供たちが埋もれないかなって心配していました(笑)」
いよいよ待望のスノーボーディングの時間。功は別行動で朝イチの雲海ゴンドラでトマムマウンテンのピークを目指し、ドラゴンリッジから上級コース「グローリー」へ。ドライパウダーでスプレーを巻き上げながら、ライダーとして、父としての姿を見せた。

ファーストトラックを刻んだ、功の疾走感あふれるライディング

パウダーバターもお手のもの。菜摘さんも惚れ直したことだろう
「トマムは広大で雪質も最高。パウダーもパークも揃っていて、ファミリーでも本気でも楽しめるゲレンデですね」と、功はトマムに太鼓判を捺す。

父としても、プロとしても、やはりスノーボードは最高だ。と言わんばかりの表情を見せる功
その後、アドベンチャーマウンテン「チョッカリ山」で家族と合流した。アドベンチャーマウンテンとは、11のアイテムを楽しみながらクリアすることで子供たちの好奇心やチャレンジ精神を刺激し、楽しさと上達の喜びを提供するストーリー型ファミリーゲレンデ。その名のとおり、直滑降で高台に上ることに挑む「チョッカリウェーブと見晴台」やコブ斜面の「コブコブ」、バンクに当て込む「スーパーカベカベ」など、7アイテムが用意されている。
ここは、兄・いっきくんの出番だ。見晴台に立つチョッカリ大魔神のプレッシャーに負けじと、功と併走しウェーブでパンピングしながら加速させていく。こうした経験を積むことで、楽しみながら上達することができるわけだ。

遊びの延長線で練習できる環境が整っている。プロスノーボーダーの父がいれば、その上達スピードはさらに加速

チョッカリ大魔神がいる見晴台まで、いっきくんは行けるのか!?
もうひとつのアドベンチャーマウンテン「ニポの山」は、初心者キッズが対象。妹・らんりちゃんに打ってつけだ。4つのアイテムが点在しており、ゴールエリアのスタンプをすべて集めると、森の妖精「ニポ」からプレゼントがもらえる。らんりちゃんはニポに見守られながら、菜摘さんと一緒にスタンプラリーに夢中。

雪が激しくなってきても、らんりちゃんはイヤな顔ひとつせずに楽しんでいた
「長男はいろんなコースに挑戦して“オレすごい!”と誇らしげでした。娘もパウダーで転んでも痛くないってわかって、怖がらず滑っていました」と菜摘さん。

アドベンチャーマウンテンを攻略し、子供たちも大満足の様子
家族4人で「森の迷路」と題されたツリーランコースを体験したり、トマム特有のドライパウダースノーを味わいながら、ゲレンデ内の移動中はファミリーセッション。功は家族を横目にコースサイドでスプレーを巻き上げ、父親としての威厳を保っていた(笑)

安全に管理されているので、家族でツリーランにチャレンジできる
「ホテルやレストランの雰囲気、関東とはまったく違う雪質。家族で北海道の“冬のスタイル”を体感できたことが大きな収穫でした」と功は微笑む。

ファミリーセッションに興じる功と菜摘さんの表情が、すべてを物語っている
タイトスケジュールにもかかわらず、関ファミリーは笑顔が絶えない。「来年も絶対来ようね」と約束しながら、一路旭川へ向かった。
キャンピングカーの窓に映る白銀のトマムは、関ファミリーにとって“また戻りたい冬”になった。
「OMO7旭川 by 星野リゾート」編につづく
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Ken-now HARADA




