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FEATURE
藤森由香が最高級のパウダースノーを求める道北への旅【前編】星野リゾート トマム
2020.12.29
北海道の内陸に位置する道北エリアは道内でも一段と気温が低く、海からの距離もあるため、極上のパウダースノーが降り積もる地域として知られている。その道北の魅力を改めて探るべく、編集部ではふたつのスポットに注目。道北最南端・占冠村に位置し、その雪質や山のスケールはもちろん、高級リゾートとしても名高い星野リゾート トマム、そして、道北の中心地であり個性的なゲレンデが周囲に点在する北海道第二の都市・旭川を旅することにした。そこで、滑りが上手いことはもちろん、これまで競技者として世界中を転戦してきた経験から“旅のプロ”とも言える藤森由香をナビゲーターに迎え、まずは新千歳空港から電車で最速90分、車でおよそ100分と好アクセスを誇るトマムに向かった。
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ゲレンデ内でこれほどまでに楽しめる異空間
雪質だけでなく地形も面白い
「すごく軽い雪でした。乾燥した雪だったから、軽くターンを切っただけで簡単にスプレーが舞い上がってくれる。ほどよく急斜面で、パウダーを滑るのがすごく楽しかったですね」
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軽くトウサイドを切っただけで、この特大スプレー
滑り応え十分なトマムマウンテンとリゾート感あふれるタワーマウンテンという雰囲気の異なる2エリアから成り、全29コース、最長滑走距離4.2kmを誇るゲレンデ。トマムマウンテンのピークから滑り出す、最大斜度32°のドラゴンリッジを滑った際の感想だ。
「グルーミングされているバーンでも、端のほうはあえて残してくれてるんですかね? 端パウが豊富にあるからパウダーターンはもちろん、サイドヒットを利用してジャンプするのがすごく楽しかった。朝イチは絶対に外せませんね」
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サーフライクにアップス&ダウンを繰り返しながら、極上スノーに当て込む
世界中の雪山を滑り込んできたオリンピアンをも唸らせる雪、そして地形がトマムにはあるということだ。
幻想的な光景が眼下に広がる
ドラゴンリッジにアクセスする手前、雲海ゴンドラを降りてすぐのところに氷と大自然が織り成す絶景を拝むことができる「霧氷テラス」が広がる。霧氷とは、氷点下の環境で空気中の水蒸気や霧が樹木などを覆う現象で、よく知られている樹氷も霧氷の一種だ。
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青い空には霧氷がよく映える
そのテラスには、トマムの象徴とも言えるタワーなどを眼下に臨めるよう高いイスが設置された展望スポット「Cloud Bar」が用意されている。
「非日常とはまさにこういうときに使う言葉なんでしょうね。山頂にあんな高いイス、普通ないですよ(笑)。本当に絶景でした。天気にも恵まれたので、サンピラーがタワーに刺さってて。ものすごく神秘的な景色でしたね。こんな体験は初めて」
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一生忘れない、そんな景色
一定の気象条件が整わないと拝むことができないだけに、オレ(編集長)たち持ってるなとニヤニヤしながら取材を進めていくことに。
オイシイだけじゃ物足りない
ランチタイムということで、ゲレンデ中腹に店舗が並ぶ「ホタルストリート」に滑り込む。しかし、そんじょそこらのレストハウスとはワケが違う。日本初のスキーインスキーアウトができるヴィレッジとして2017年12月にオープン。イタリアンやスープカレー、ステーキハウスにスイーツカフェからラーメンや寿司に至るまで、和洋折衷のレストランが軒を連ねる中、今回はcafe&bar「つきの」の特別メニュー「メガこぼれ寿司」をいただくことに。
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豪華絢爛とは、まさにこういうときに使う言葉なのかもしれない。「メガこぼれ寿司」12,000円。12:00~16:00 は「海鮮五目のこぼれ寿司」の1品のみ提供となる
「味がオイシイのはもちろん、見た目のインパクトがすごかったですね。間違いなく思い出に残ります。“あのすごいお寿司食べたのトマムだったよね”みたいに、旅のフラッシュバックに結びつきやすいと思います。そんな印象深い食事でしたね」
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見た目のインパクトだけでなく、思わず笑みがこぼれるほどの美味
主にイクラ、カニ、マグロ、ウニが食材に使われている。冬のカニは身が詰まっており、マグロは上質な脂がのっているため味わいが増すそうだ。付け加えておこう。
「絶景シャンパンバー」ってナンダ?
吹雪いていたので諦めかけていたが、奇跡的に雪と風がやんだ。というわけで、晴れの日限定イベント「絶景シャンパンバー」に乗れたのだ。乗れた? そう、このシャンパンバー、なんと圧雪車がバースペースを牽引してくれる移動式。絶景を拝みながらシャンパンが飲めるバー、略して絶景シャンパンバーというわけ。
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景色を楽しみながら20種のシャンパンを味わえる贅沢空間
「ドンペリなどのお酒をキャットの上で飲むことができるなんて贅沢すぎますよ! 海外でもこんなサービス見たことないですね。普通に外でお酒を飲むよりも、流れる景色を楽しみながらみんなでワイワイ飲めるのはスペシャルな体験だったし、ここでしかできない。ピステンに引っ張られてお散歩できるだけでも贅沢なのに」
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凍てつく寒さの中、スーツを身にまとったバーテンダーが迎えてくれる
3、4月の晴れた日にだけ、ゲレンデのどこかに突如現れるそう。朝イチのパウダーを食い終えた頃合いに、ぜひ体験してほしい。今シーズンは2021年4月4日(日)まで営業している。
非日常を演出してくれるラグジュアリー空間
ジャグジーに浸かりながら絶景を味わえる
「大会で訪れた(スイス)ラークスで大きな窓から雪景色を見たことはあるんですけど、高いところから見ることってなくて。ものすごく広い窓からのこの景色、とても開放的でしたね」
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自身のライディングを振り返りながらゲレンデを見下ろせる、至福のひととき
今回のトリップで宿泊したのは、リゾナーレトマム。高層タワーが2棟並んでいるのは同じだが、タイプの異なるザ・タワーもあり、こちらが幅広いニーズに応えるために様々な客室535室を用意しているのに対し、リゾナーレは1フロアに4室しかなく、全室100㎡以上を誇るスイートルーム。少なくとも、筆者の自宅より確実に広いのだ。
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リビングとベッドルームがセパレートされているので、有意義な時間が過ごせること請け合い
そして極めつけは、全室に完備されている展望ジェットバスとプライベートサウナ。値段を聞くのが怖くなるほどのラグジュアリー仕様となっている。
「こんなジェットバス入ったことなかった。すごい部屋でしたね(笑)」
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ラグジュアリーにもほどがある展望ジェットバス
幻想的な氷の世界「アイスヴィレッジ」
1998年に誕生して以来、トマムの冬の風物詩として人気を博するアイスヴィレッジ。32,000㎡の敷地に10棟の雪と氷でできたドームが立ち並び、濃厚な牛乳が味わえる「氷のMilk Cafe」や「氷のフルーツショップ」、「氷のBar」、さらには一枚氷で造られた教会など、様々なニーズに応えてくれる氷の街である。
「氷のプレートの上でコネコネ混ぜながらジェラートが作れて、自分の好みにトッピングできるのがいいですね。寒いけどオイシかった(笑)。ワークショップのような体験型のものが多いなって感じました」
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ミルクジェラートづくり(1,100円)を体験できるのは「氷のMilk Cafe」。もちろんドリンクもある
ほかにも、クラフト体験ができる「氷のアトリエ」では氷のグラスづくり(1,650円)も楽しめる。
そして特筆すべきは、天井や壁などすべて氷でできているのはもちろん、ベッド&イスまでが氷という「氷のホテル」に、1日1組限定で宿泊体験できること。
「隣には氷の教会があって、本当に幻想的でした。寒いはずなのに、ベッドに寝そべったりイスに座っていると、なんだか暖かい気がしてくるから不思議ですよね。ここでしかできない特別な体験をしたい人にはすごくオススメ」
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今年はなんと愛犬も一緒に宿泊体験可。ドームのそばにはドッグランが広がっている
日帰り客でも入場できる(有料)ので、トマムを訪れた際にはアイスヴィレッジで非日常を体験してほしい。
スノーリゾートで味わえる超本格イタリアン
リゾナーレトマムのタワーサウス最上階に構える「OTTO SETTE TOMAMU(オットセッテ トマム)」では、北海道の大自然で育まれた食材を活かした独創的な超本格イタリアンを味わえる。海の幸から山の幸まで、スノーボード専門メディアが語るのはおこがましいほどの絶品グルメ。料理の選択肢は1コースのみで、料理ひと皿ごとにワインを厳選してくれるこだわりのペアリングコースを追加すれば、超ゴージャスなディナーが堪能できるのだ。
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一流のプロスノーボーダーには、一流の料理がよく似合う
「北海道の食材は最高でした。見た目も味も本当に素晴らしかった。ワインが好きなので、料理ごとに合わせて持ってきてくれるのはとてもうれしいですね。雪山をモチーフにしたデザートも素敵だったし」
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北海道の森の幸であるエゾジカは、秋から冬にかけてもっとも美味しくなるそう。「タヤリン 鹿肉のラグー」
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栗のクリームを生クリームで包み込んだ“白い山”という意味を持つデザート。「モンテビアンコ ブネ メリンガータ」
トマムと同じ山岳地帯に位置する、イタリアのピエモンテ州やリグーリア州の郷土料理を、北海道ならではの食材と掛け合わせて提供してくれる。山で味わう最高級のイタリア料理、ぜひご賞味あれ。
ライディングもランチもおかわりしたくなる“大人の遠足”
安心・安全に自由なラインでバックカントリーを楽しめる
トマムから20分ほど車を走らせると到着する狩振岳のバックカントリーエリアを、最大12名で貸し切れるという「狩振岳CAT TOUR」。雪質については言うまでもないが、特製ランチが付いていることは特筆すべき点だ。それについては後述するとして、山の印象はどうだった?
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このキャットが、最高の斜面へと誘ってくれる
「斜度は全体的にほどよくて、滑りやすかったですね。一本一本のランも長い距離を滑れるので、かなり充実していると思います。“この辺だったらどこを落としても大丈夫”といったようにガイドの方が丁寧にアドバイスしてくれるから、自分の好きなラインで安心して滑れました」
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昨シーズンは暖冬・雪不足に苦しめられたシーズンだったが、あるところにあったということ
オープンバーンだけでなく、ツリーやバリエーション豊富な自然地形に降り積もったドライパウダーを、ハイクアップなしで思い思いのままに堪能できる。まさに大人のスノーボーディング、言うなれば“大人の遠足”だ。
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午前2時間、ランチを挟んで午後2時間ほど、滑ってはこのキャットが面ツルバーンまで連れていってくれる
「関東からひとりで参加されてる方もいましたよね。こういう機会って大切。ひとりでも楽しめて、同じ最高の時間を共有した人たちとの交流も深められ、安心・安全に山全体を使って遊べて、さらに自分のライディング写真まで撮ってもらえる(購入時に別途料金発生)」
ビーコンやショベルなどのアバランチギアは無料で貸し出してくれるので、バックカントリーに興味津々というそこのアナタ。今シーズンこそチャレンジしてみては?
大型テントに入るとそこは一流レストランだった
「キャットツアーの食事って簡単なものかと思ってたら、とんでもない! かなり充実していてビックリしました。ビーフシチューやスープは、オイシイうえに冷えていた身体を温めてくれて最高でしたね。でも個人的には、フタを開けた瞬間にエビが入った海鮮サラダが目に飛び込んできて、長野県民としてはビックリ箱を開けたような感覚でした(笑)。お腹いっぱい食べれて、しかもフルーツまでついているのはうれしいですね。キャットツアーって男くさいイメージだったけど、全然違いました。本当にオシャレで」
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「ドレッシングもすごく美味しい」とうれしそうにほおばる
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身体だけでなく心も温まる極上ランチ。シェフのアイデアによって毎シーズン、メニューが変わる
これほどまでに大絶賛するランチは、モンゴルの移動式住居であるパオの中でいただける。扉を開けるとゴーグルが一瞬で曇るほど暖かく、ブーツを脱いでくつろげるゆったりとしたスペースが広がっていた。そこで、ドライパウダーをシェアしたスノーボーダーやスキーヤーたちとの交流も深まっていく。
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雪も山も食も最高。まさしく“大人の遠足”だ
「もちろんパウダーを求めてキャットツアーに行ってるんですけど、人里離れた山に特別なランチをしに行く、みたいな。それくらいインパクトがありましたね」
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「何もかもが驚きの連続でした。ホテルの食事もそうだし、キャットツアーもそう。写真を撮るにしても映えるポイントがたくさんあって、個人的には女子の旅にすごくいいなと感じました。アイスヴィレッジも絶景シャンパンバーも、すべてがかわいくて、そして刺激的。もちろん、雪質も地形もいいから、中上級者も満足感のあるライディングを楽しめる。朝イチのグルーミングバーンは最高に気持ちいいし、パウダーだったら言うことないですね。すべてにおいて、非日常的なものを驚きとともに味わえる空間でした」
NAVIGATOR
藤森由香
Yuka Fujimori
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生年月日: 1986年6月11日
出身地: 長野県長和町
スポンサー: BURTON、ABSOLUTE PARK、OAKLEY、GALLIUM
問い合わせ:
星野リゾート トマム
TEL 0167-58-1111
www.snowtomamu.jp
photos: Akira Onozuka
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高級リゾートに後ろ髪を引かれながら、いざ旭川へ!
〈明日公開〉
藤森由香が最高級のJAPOWを求める道北への旅【後編】星野リゾート OMO7旭川